【新宿店】4F一杯の珈琲商店 【コーヒー対談】世界チャンピオン・粕谷哲さんとコーヒー芸人・平岡佐智男さんの真面目な(笑)対談!前編

こんにちは。新宿店「一杯の珈琲商店」店主の向井です。
先日、コーヒーの抽出世界チャンピオン・粕谷哲さんとコーヒー芸人・平岡佐智男さんとの対談がありました。その内容を今回と次回の2回に分けてお伝えいたします。

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従来の大量生産されたコーヒーから、より原料や淹れ方に拘った良質なコーヒーである「スペシャルティーコーヒー」が、新たな定番となりつつある昨今。
このコーヒーの魅力を多くの方へ伝えようと活躍されている二人がいます。2016年にワールドブリュワーズカップ(ブラックコーヒーの抽出選手権)で世界王者に輝いた粕谷哲さん。そして、カフェ店長から芸人になるという異色の経歴を持つコーヒールンバ平岡佐智男さん。今回、粕谷さんのお店「フィロコフィア」に平岡さんをお迎えしての公開対談が実現!司会はプライベートでもコーヒー大好きな東急ハンズ新宿店「一杯の珈琲商店」店主の向井。畑違いのお二人の異色対談から、新しいコーヒーの楽しみ方が見えてきました。
 この対談の模様を前後編の2回に分けてお伝えします。

まずは一杯。こんな気持ちで淹れたら、コーヒーはもっと美味しくなる。

今回の司会進行は、「一杯の珈琲店主」向井。今回も緊張気味。

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向井:きょうはお時間いただきありがとうございます。今日は公開の対談でお客様にも参加頂けるという事で、個人的にもとっても楽しみです。
お二人はすでにお知り合いなんですね。

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フィロコフィアを拠点にご活躍の粕谷哲さん。今回の対談は、船橋市にある粕谷さんのお店「フィロコフィア」で行われました。

粕谷:出場したJBC(ジャパン・バリスタ・チャンピョンシップ)で平岡さんが司会をされていたこともあって、挨拶は何回かしていました。あと、川越コーヒーフェスティバルというイベントでそれぞれブースを出していたことがありましたね。

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松竹芸能所属のお笑い芸人・平岡さん。芸能活動のかたわら月1回、自らカフェ「サチオピアコーヒー」をお仲間の芸人さん達と開かれています。

平岡:あのイベントの時は、コーヒーのプロの中、一人だけ素人として参加していたので震えながら淹れてました(笑)
実はゆっくりお話するのは今回が初めてですね。
粕谷さんに自分のコーヒーを飲んでもらったこともまだないんですよ。
   
向井:では、実際にコーヒーを淹れて頂けますか?

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お客様と粕谷さんの為にコーヒーを淹れる事になった平岡さん。気合十分です!

平岡:今日は月一度営業している「サチオピアコーヒー」でお出ししている「お目が高いブレンド」を淹れていきますよ~。

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コーヒーを淹れる平岡さん。お客様から「いい香り!」と感嘆の声が挙がります。

向井:どのような事を考えながら、淹れているのでしょうか?

平岡:皆さんの事を想って淹れているんです!・・・あと、すっきり目で甘味が残る様に・・・。

粕谷:今、話がスベりそうになるのを、急に真面目な話に変えて回避する危機回避能力、凄かったですね。(一同爆笑)

平岡:いつでも動くことができるように、かかとを常に浮かせながらやってます。(笑)

お客様:あるバリスタさんが、「コーヒー抽出は人間性が出る」っておっしゃっていましたね。

平岡:人間がやる事だから、それは出ますね!

お客様:今日は平岡さんのコーヒー抽出が見られただけでも良かったです!

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皆さんで試飲。酸味と苦みのバランスが良いと好評でした。

お客様:ぶどうを感じさせる良質な酸を感じます。飲み易いですね。

平岡:ありがとうございます。いろんなところでコーヒーを振舞うので飲み易くかつ良質、というのをテーマにやっています。皆さんにそれが伝わった様で嬉しいです。

粕谷:美味いです。先ほど(リハーサル時)と比べて随分よくなりましたね。ちゃんと問題点を修正出来る平岡さんはスゴい、という事です。

平岡:今のところ、記事にする時、強調しておいてくださいね。(爆笑)
   
向井:コーヒーを前にして皆さんから沢山感想が出ましたね。どんどんお話が飛び出すこの雰囲気こそ、平岡さんが理想とされているコーヒーが創る空間そのものだと思いますが。

平岡:そうですね。大事なことだと思います。「喋れば喋るほど、コーヒーは旨くなる」って、思っているんですよ。

粕谷:なぜコーヒーの選手権でプレゼンテーションするかといえば、そのためです。提供するコーヒーの持つストーリーを知る事で美味くなるから、プレゼンするんですね。

平岡:今の様に質疑応答が始まるぐらい興味を持ってくれると、コーヒーから沢山の事を感じて貰えるという事ですから、嬉しいですね。

向井:どのようにしたら、おうちで淹れる一杯を、美味しい一杯にすることが出来るのでしょうか。

平岡:それにはまず、HARIOから出ているコーヒー器具・粕谷哲モデルを使う事です。(笑)

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粕谷:まあ、「正しい淹れ方」と言うのは無い訳で。 最近僕が行きついたところだと、「自分を許す力」。

平岡:なんですか!?それは。

粕谷:自分も含め、ほとんどの人は自分の淹れたコーヒーは「上手くない」って思うんですよ。みんな職人気質すぎて、「自分より、もっと美味く淹れられる人がいるはず、方法があるはず」って自分を責め過ぎちゃうきらいがあって。それを取っ払うだけで美味しくなる、と思いますね。 

平岡:あー、それめっちゃ分かりますね。もっとよく出来たんじゃないか、とか。

粕谷:まずは自分の淹れたコーヒーを許す。そして自分の好きな人のやり方を真似るところから入っていければいいと思いますよ。なんでもかんでも味だけでやっちゃうと、ツライ。

向井:粕谷さんから「味だけでは、ツライ」というお言葉が出てびっくりなんですが・・・。

粕谷:僕のプレゼンテーションのメインテーマは、「誰でも簡単に淹れられる方法」。味だけで見たらそういうテーマは出てこないですよね。美味いのを創りたいと思いますが、味だけではない、って分かっているからそうなります。

向井:味だけではない、というのはどういうことなのでしょうか。
   
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粕谷:平岡さんが仰っていた通り、「喋ったら喋った分、美味しくなる」という空気感だったり。コーヒーの選手権でいれば、その時間で僕たちが創っているのはコーヒーではなくて、「体験」。そのコーヒーを通じて体験を提供する事が、僕たち選手がやっている事です。BGMから使う食器、ワークフローに至るまで様々な要素を吟味する事で、プレゼンで得られる体験は、異なってきます。「味だけではない」というのはそういう事です。平岡さんに淹れて貰う、ということ自体が特別な体験じゃないですか!

平岡:ありがとうございます!

コーヒーと「何か」を繋げてチャレンジするのが、「コーヒー芸人」!

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向井:平岡さんは元々コーヒーが飲めなかったそうですね。それにも関わらず、コーヒーショップでバイトを始められたとか?

平岡:東京に上京してすぐ「タリーズコーヒー」でバイトを始めました。理由は、コーヒーを飲めなかったんですが、カフェモカ(エスプレッソにミルクとチョコソースを加えた飲み物)は飲めたんですね。それが休憩中に賄いで飲めると。あと、かわいい女の子がいるかなあ~と。(笑)最終的にアルバイト2年、店長を4年勤めましたが、店長の3年目までコーヒー飲めませんでした。当時の上司がハンドドリップで淹れてくれて、機械抽出のコーヒーは飲めないのに、そちらが飲めたことで「面白いな!」と、コーヒー自体に興味を持ちだしましたね。
チャレンジする事は大好きなので、コーヒーを通じていろいろな事にチャレンジしたいんですね。

向井:ただ美味しいコーヒーを飲んで欲しい、というのではなくて・・・?

平岡:美味しいコーヒーはすでにカフェを営む先輩たちが沢山作られています。僕は「コーヒー芸人」として何かをする時に、コーヒーと何か違うものを繋ぐことができる、と思っているんです。例えばダイエットする時にコーヒーを使うとか・・・。「バターコーヒーダイエット」※って言うんですけど、知ってますか。

粕谷:知ってますよ。急にやせて驚きました!

平岡:バターとオイルを混ぜたコーヒーを使いながら減量するんですが、ここで一番適していると言われているのが、中米産の「ウォッシュド」(コーヒー豆の精製方法の一つ)なんです。なぜこう指定して言うかというと、これを聞いたダイエットに興味がある人が、コーヒー専門店で、中米産の「ウォッシュド」を手に入れて、そこからスペシャルティーコーヒーに興味を持つきっかけを持って欲しいんですね。

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粕谷:スゴいなあ・・・。身をもって実践しているから、説得力が違いますよね。

平岡:面白いコーヒー体験でしたね。

向井:平岡さんの活動でスゴいなあ、と思う事の一つに「課題発見コーヒー」がありますね。

粕谷:出た!

向井:自分のお店を持っているだけでもスゴいのに、自分から出かけてゆく、ってスゴいですよね。

平岡:そうですね。スゴいです!(一同、笑)簡単に言うと、地方の町や村にスペシャルティーコーヒーを持参して淹れて、おじいちゃんおばあちゃん達に無料で振舞います。その代わり、その地域の事を色々教えてもらおう、という活動なんですけど。
  
粕谷:ヤバいですよね。まずその発想がスゴいと思うし、問題発見能力が凄まじいですよね。

平岡:「発見」するだけなんですよ。「解決」するのは別の人の役割で・・・。

粕谷:でも、課題を発見してくれることで誰かのビジネスチャンスに繋がってますよ、きっと。平岡さんの様な発信力がある人がやるべきことですよね。

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向井:でも、初対面の人にただコーヒーを出すだけではお話は聴けないのでは?

平岡:はい。だからめっちゃ喋りますよ。まず、「明らかにこれは違う!」って言ってもらえるだけの良質なコーヒーを自腹で持って行くんです。実際にそう言ってもらってそこからスタート。まずは、「ここ、いい土地ですね。自分も住みたいわ~!」て、めっちゃ褒める。そうすると、「いやいや、そんなことはないよ・・・。」って謙遜されるんです、皆さん。(笑)そこから地域の課題を聴いていくんですね。
 
粕谷:その持って行き方、良いですね。

平岡:なんでこんな事始めたかというと、自分はスペシャルティーコーヒー飲まして頂く機会があるのですが、自分の母親は香川県に暮らしていまして、スペシャルティーコーヒーをまだ飲んでいないんですね。息子である自分はこんなに「美味しい」と言っていても。「母ちゃんが普通にスペシャルティーを飲むようになれば、いいなあ。」というのが動機でしたね。最初は、持って行くコーヒーに対して「スッパ!」とか、「こんな味は、コーヒーでない!」と言われるか心配でしたが、逆に「これ、めっちゃ美味しい!」と言ってくれますね。不思議な体験でした。

向井:スペシャルティーコーヒーに対する事前情報が無い状態で、平岡さんがその場で淹れてくれる、という体験込みで味わうのが良いのかもしれませんね。

平岡:そうですね。飲んでみてから分かる、という事もありますから。まずは飲んでもらうのが早いですね。

後編(近日公開予定)に続きます。
 後編では、粕谷さんが語る平岡さんの魅力、芸人として見たコントのネタとしてのコーヒー、そして平岡さんの今後の野望を伺います!お客様からの質疑応答コーナーの模様もお伝えしますのでお楽しみに。

※バターコーヒーダイエット:バターとオイルを混ぜた特別なコーヒーを朝飲むことで、食欲を抑制しながら減量に挑むダイエット法。ここでは平岡さんの体験談としてご紹介していますが、効果を記事として保証するものではありません。

粕谷哲さんのお店「フィロコフィア」
https://philocoffea.com/
豆は東急ハンズ新宿店にて販売しています。

コーヒールンバ平岡 佐智男さんのブログ「読者様、淹れたてのコーヒーブログはこちらにご用意しております。」
https://ameblo.jp/hiraokadolu/
※カフェ開催は不定期です。

写真:小松 貴史
文責:一杯の珈琲商店・向井

新宿店4F 一杯の珈琲商店

珈琲を実際に挽くこともできるのでぜひお越しください。本当は鉄道が好きなのですが、そこにはあまり触れないでください。

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