こんにちは。4F「一杯の珈琲商店」店主の向井です。今回は素敵な靴の話題をお届けします。
店主同士の飲み会の席にて、「凄い靴職人がいる!」という話題があがりました。
手作りデッキシューズのオーダー会が開かれ、目利きのお客様の間でも評判になっているとのこと。さらにその職人さんは、笑顔が魅力的な女性!
東急ハンズ新宿店の6階は、素材や道工具、そしてシューケアのフロアです。
なぜ、DIYのフロアで、靴のオーダーなのでしょうか?
その謎を6階の「輝く足元商店」藤田康雄店主・「世界にひとつだけの商店」熊谷店主と共に解き明かしていきます。
中学生からの夢を叶えた靴職人・MOYOさん
向井(司会):今日は靴職人のMOYOさんにお越しいただきました。店主との対談ということで6階の「輝く足元商店」藤田康雄店主、「世界にひとつだけの商店」熊谷店主に集まってもらいました。2人ともMOYOさんの靴を絶賛されているということで、その魅力に迫っていきたいと思います。まずは、MOYOさん、自己紹介をどうぞ。
MOYO:デッキシューズをオーダーメイドで作っておりますブランド名「MOYO」の有田朋代と申します。中学校の時、足にハンデを負った方が身近にいたことがきっかけで、義肢装具士(ぎしそうぐし)という職業に興味を持ち、そこから「自分で靴を作りたい」という想いを持ちました。大学ではプロダクトデザインを学び、婦人靴店で仕事をしながら終業後に靴づくりの学校に通いました。今は実家で家業の仕事をしながら、サブワークの形でやらせてもらっています。
向井:中学校の時から、靴づくりに目覚められたとはすごいですね・・・!悩みを抱える人への支援がきっかけとは言え、ここまでくるには他にも理由はあったんですか?
MOYO:確かに他に仕事はいくらでもあるんですけど、何か「自分がやらなきゃいけない!」っていう気が、勝手にしているんですよね(笑)。靴のオーダーをやる理由としては、靴の悩みを持っている方が多い、ということがあります。それは既製品の靴では直しようがないので、オーダーを受けて作る形でサポートできるようになりたかったんです。
向井:お人柄が感じられるお答えですね。ところで、当店の6階はもともとDIYとシューケアのフロアで靴売場ではありませんが、そこでオーダー会やることは平気でしたか?
MOYO:最初はもうドキドキでした!他のスタッフさんと自分が余りに違う動きをしているので、「ここにいて良いのかな?」みたいな・・・
熊谷(世界にひとつだけの商店店主):直接関係ない革素材の接客をしてもらったりとか・・・
靴と一緒にシューケアの商品をセットでご紹介していたりもしましたよね。これはウチの店ならではかもしれないですね。
MOYO:シューケアの商品が豊富に揃っているので、それ目当てに靴にこだわりを持つお客様が集まっていらっしゃるんです。
向井:なるほど。靴はないけど、靴好きのお客様は集まっているということが、良かったんですね。
MOYO:ライバルがいなくて、私の靴だけしか目に入らない(笑)。だから「おいしい」環境なのかなあと(笑)。百貨店ではまずブランド名が先に来ますが、ハンズのお客様は靴自体を見てくれるのもありがたいです。
ひとりひとりの足とファッションに合わせて作る、オーダーメイドの魅力
熊谷:向井さんはMOYOさんの靴、履いたことあるの?
向井:まだないです。
熊谷:じゃあ、履いてみたら?サイズは?
向井:普段は27.5cmを選んでいるんですが、靴屋さんからは足の幅が広いと、よく言われます。
〇ここでMOYOさんのススメで27cmの幅広の靴を向井が試し履きします。
「スポン!」(履く時によい音がしました!)
向井:確かに、甲の所はぴったりです!
藤田康雄(輝く足元商店店主):ご成約ありがとうございます!(笑)
MOYO:皆さん大体普段より1サイズ小さくして幅を出しています。実際に測長してみると、大体今のような感じになりますね。
熊谷:今話したちょっとした情報で、向井さんにぴったりなサイズの靴を出すなんて凄いわね。
向井:1人1人に合わせて調整できるのですね。具体的にはどのようにするんですか?
MOYO:靴の木型をご希望に応じて、修正していきます。ベースとなる木型に革を切り出して貼ってから、やすりで削っていきます。この木型の修正が一番靴づくりで大変なところです。最初この修正が難しくて、自分では手に負えないケースが来た時には師匠に泣きついたり(笑)したこともありました。一通りの足のパターンをやり切るまでの修正は試行錯誤でした。
藤田康雄:自分ぐらいの年になると、まず左右でサイズが違う(苦笑)。むくみ具合も違うし。朝はインソールを入れて履いてきて、帰りは抜いて履くとか。ああ、おじさんだわっ~!
向井:ぴったりな感触を味わって、ぐっと欲しくなりました!自分の足にぴったりな靴をつくってもらえるって、お客様にとって心強いと感じます。さて、ここでMOYOさんの靴づくりのポリシーについても伺えますか?
MOYO:お客様の話をよく聴いてつくることです。お客様にぴったりなデザインを一緒に探すために、普段お召しのお洋服をご持参いただいたりして、その方のファッションに合ったデザインを提案していきます。
実は私、自分が職人だという意識が余りなくて。「案」を見つけてあげる仕事というか。
熊谷:スタイリスト的なところがあるんだよね。
MOYO:そうですね。スタイリスト的なイメージでやりたいです。
熊谷:分かるっ!そこが一番、MOYOさんにシンパシーを感じるところ。選ぶ色とか。この色味の絶妙なトーンを実際にその人が身につけて、合う合わないって、あるじゃないですか。ファッションって。
MOYO:そこが一番ファッションで好きなところですね。
熊谷:分かるわー!そこのところ!
MOYO:あとは海のイメージを大切にするところです。横浜出身ということもあり、小さい頃から海が大好きでした。最近では毎週のようにサーフィンをして休日を海で過ごしています。自分のブランドを立ち上げるにあたって、もちろん靴も好きだけれど、それに大好きな海のテイストを入れたら自分がワクワクできるのではないかという発想でした。お客様と一緒に靴をつくり上げていく中でワクワクしてほしいというのが私のポリシーなのです。それにはまず自分がワクワクしないとお客様にも伝わらないし感じてもらえないと思って自分自信も楽しむことを心がけています。
向井:靴の中でもデッキシューズをテーマにされているのはそういう理由なんですね。
MOYO:実際、お客様の中にヨット上で履かれた方がいらして、滑らなくていいという事で、お友達にも紹介していただきました。
向井:スゴイですね。MOYOさんの靴づくりを通じてのやりがいって、何ですか?
MOYO:最終的にお客様ができあがった靴を履いている所を見るのが好きですね。
だから私はなるべくお客様に直接お渡しして、その場で写真撮影をするんです(笑)。
オーダーの時になるべく細かくお話を聴いていることもあって、多くのお客様がお渡しの時に靴に合わせたファッションでいらっしゃるんです。それが嬉しくて。
熊谷:スゴイ!初耳!!そんな話、はじめて聴いた!
藤田康雄:靴好きの人に、ダサい人とか、へっぽこな人はいないよ(笑)。
MOYOちゃんの凄いところは、この「直接渡し型」。最後お客様が実際履くところまで見届けるまでやるのは、「この子スゴイなあ。」と思うよ。
向井:ただ宅配便で届ければ終わり、ではないんですね。
MOYO:実際に履いてみるとその時の足のむくみ方によって、中敷きで調整したりその場で調整が必要な場合もあるんです。一人でやっていているからには、他との差別化のためにそこまでやらないと!という想いがあるんです。
あと、お渡しした後も、しばらく履いた後でソールの色や、靴紐の色を変えてイメージチェンジしたり、一つの靴をながく楽しめる様アフターの対応もやっています。
熊谷:かっこいい!!
向井:目つきが鋭い!漢(おとこ)を感じました(笑)。
MOYO :結構、男前って言われるんですよ(笑)。
藤田康雄:ホスピタリティーがあるよね。元々の話の出どころが、足にハンデがある人へのケアだから。実際一人一人のお客様をサポートしていて。結構リピーターが多いんじゃない?
MOYO:現在リピート率約50%です。
一同:スゴイ!!
藤田康雄:「MOYOメンバーズカード」が必要だな!(一同爆笑)
2人の店主が語るMOYOブランドへの期待
向井:それでは店主の2人から、MOYOブランドの魅力を伺いますね。まず、熊谷店主からDIYの視点で語っていただきたいのですが。
熊谷:まず、靴のデザインと作ることを一緒にできる人って、意外に少ないんですよ。一般メーカーさんは分業ですし。
その上で、今のファッショントレンドを自分のものにしつつ、自分らしさも発信されていると思います。クリエイターって、周りに関係なく自分の作りたいものをつくる人も多いけど、トレンドと自分らしさを上手くMIXさせている人は、意外に少ないのかな、と思います。
MOYOさんと話していて感じるのは、ひとりのファッション好きの女の子としてトレンドを服装に上手に取り入れているなと。トレンドと個性のバランス感覚が、絶妙なんですよね。そういった事を2人で話題にして、楽しんでいます。
MOYO:熊谷さん、よく見てらっしゃるんですよ!(笑)
熊谷:お客様からDIYで服飾小物やバックの手作りのご相談を受けるのですが、ファッショントレンドの話になると、結構盛り上がるんですよ。MOYOさんのように、革素材売場もトレンドを意識した品揃えを心掛けたいな、と思っています。
向井:藤田康雄店主、いかがですか?
藤田康雄:一言でいうと、「先を見ている、新進若手シューズデザイナー」。 基ができているから。靴の学校を出て、紳士靴のビスポーク(オーダー)の修行もした。外見だけを見ると、「大丈夫なの?」ってなるけど、実は、結構な実力者。
実際の靴も、パーツ一つずつ拘りがあって、それが靴に集積されている。
あと、接客力が高い。笑顔のプロだね。
向井:MOYOさんの笑顔と聴く力で、お客様が相談しやすくて、それが靴に反映されてゆく。いい循環ができていますね。さらに要望に応えられるのは、基礎があるからこそなんですね。その笑顔はどのように培ったのですか。
MOYO:学生時代8年間、マクドナルドでアルバイトしていたんですよ。スマイル0円の(笑)。そこでマネージャーの役割を担っていました。
熊谷:なるほど、そこで培ったんだ!
MOYO:大きなお店の運営に携わったので、どのメンバーにどの役割を担ってもらうのが一番実力を発揮してもらえるか、常に観察してました。マクドナルドのアルバイトでは人に対する観察力が身に付きました。
藤田康雄:なるほど、「個別対応」の力をこうして磨いていったのか・・・
熊谷:これは将来、MOYOブランドが大きな会社になっても社長ができるわ!(一同笑)
10月8日からの受注会・注目の新商品
向井:MOYOさんの靴は、10月8日から始まる受注会で実際に注文できるんですね。
この受注会に合わせて新商品も投入するとか。
MOYO:皆さんからのご要望に応えてサンダルの新商品をつくってみました。
熊谷:このサンダル、かっこいい!!これ楽しみ!!
MOYO:これは絶対おすすめです!秋冬に靴下履いて履く様の・・・ パンプスの代わりに履ける感じですね。
熊谷:私コレ注文するっ!大人っぽいし。
向井:靴のデザインは、どのように着想されているのですか?
MOYO:先ほどお話の通り海のイメージ、デッキシューズっぽさを残しつつ、デザインしています。ここにハトメがあって、これは紐が通っているじゃないですか。その印象は残しつつ、ちょっと涼しくしました、みたいなイメージ。
あと、女性ってサンダルが足に合わないことが多いんですよね。なので、足を押さえる部分をなるべく調整できるように、あとつま先を出したくないとおっしゃるお客様が多いんです。なので、「指を出さないサンダル」をつくりました。
熊谷:ありそうでないよね。そういうサンダル。秋冬にこういったサンダルが出てくるとは思わなかった!いやー、楽しみ!私たちが楽しみになっちゃって・・・。
向井:お話を伺っていると、お客様からの要望を伺いながらつくられているんですね。
MOYO:まずは、「やってみよう!」という気持ちでチャレンジしています。上手くいかなければ止めればいいんですから。
熊谷:柔軟っ!
向井:自分の為ではなくあくまでお求めいただくお客様のため、ではありますが、この「やってみよう!」の心が、DIYの精神ですよね。
熊谷:そう。「やってみよう!」っていうスタンスが、相手の「教えたくなる」気持ちを引き出しているよね。お客様とMOYOさんとの間で、お互い引き出し合うことに繋がっているように感じてます。
向井:ここまでお話を伺って来て、最初MOYOさんと藤田康雄店主、熊谷店主という組み合わせが不思議な組み合わせに感じたのですが、もうジャストフィット!みたいな(笑)
靴LOVERの方と、DIYで「世界にひとつだけの逸品」を欲しい方の交差点に、MOYOさんがいらっしゃる感じがします。
熊谷:そうだね!交差点だね。
向井:最後にMOYOさん、将来の夢を伺えますか?
MOYO:将来の夢。「笑福亭鶴瓶師匠に履いてもらうこと」です。
一同:おおっ!
MOYO:もうめっちゃ鶴瓶さんに履いて欲しいんです。
向井:なぜ鶴瓶さん?
MOYO:鶴瓶さん、めっちゃおしゃれなんです。
藤田康雄:鶴瓶さんはスタイリストが半端ない布陣なんだよ!
熊谷:こういうコメントが渋いっていうか、いいとこついてるな、って思う訳ですよ。
鶴瓶さんこの靴が似合うと思いますよ。きっと、叶うんじゃないですか?
藤田康雄:今日の総括としては、向井の鼻の下が終始伸びていた、という事だな!(一同爆笑)
〇終始MOYOさんの明るい笑顔で包まれた楽しい対談でした。
足と心が同時に喜ぶ「世界にひとつだけのシューズ」を、この機会に手に入れてみませんか。
10月8日(火)~10月14日(月祝)12時~20時 最終日19時まで
東急ハンズ新宿店6階にてオーダー会
※オーダー会は不定期開催です。
MOYOブランドWebサイト
https://moyo-shoes.jp/?fbclid=
写真:小松貴史
文責:向井(『一杯の珈琲商店』店主)