昨今話題の"ご当地マンホール"を掲載した、ハンズ限定の「マンホールカレンダー」をご存知ですか?昨年登場して好評を博したこのカレンダー、新サイズも加わって、今年も発売されました。そこで今回は、その開発に携わってきた株式会社アートプリントジャパン 商品企画部デザイナーの三橋明子さんに、誕生の経緯や開発の裏話など、貴重なお話を伺ってきました!
すべてはハンズ担当者との雑談からはじまりました。
―本日はよろしくお願いします!
よろしくお願いします。
株式会社アートプリントジャパン 商品企画部デザイナーの三橋明子さん
―では本題に入る前に。三橋さんは普段、どんなお仕事をされているんですか?
カレンダー事業部の総括担当として、ほぼ365日カレンダーの製作に携わっています。6〜7人のチームで、いまは2020年のカレンダー製作に向けて動いていて、市場にどんなものが出ているか、どんなものをつくったら皆さんを驚かすことができるのかということを、日々考えています。
―もう2020年ですか!
そうです。各社の2019年カレンダーがそろそろ出揃う時期ですので、その傾向を踏まえながら、2020年はオリンピックなどいろいろなことがある年なので、そういうものをどういう風に取り込んでいくかを思案しています。
―毎年何種類くらいのカレンダーを製作されているんですか?
230〜250種類くらいですね。根強い人気の犬や猫の写真から、花や風景、作家さんやアーティストのもの、さらに立体的なカレンダーもあります。
―今回ご紹介いただく「マンホールカレンダー」は、その中でも少し変わったものの部類に入りますよね?
東急ハンズに限らず、企業のオリジナルカレンダーを依頼されることがよくあるんですが、やはりそれぞれの企業の特性があって。やっぱり東急ハンズは、ちょっとマニアックというか(笑)、他では売れないけれど東急ハンズなら売れる、という空気があるんです。
―わかります(笑)。では、この「マンホールカレンダー」はどんな経緯で誕生したんですか?
弊社の営業担当と東急ハンズのバイヤーとの雑談の中で、「最近、○○マニアとかが多くあるよね」という話が出て、ちょうど"ご当地マンホール"がテレビで取り上げられたりした頃だったので、「マンホール、アツくない?」という話になったらしく。ちょっとマンホールを掘り下げてみようかということになったのが、誕生のきっかけです。
―雑談から生まれた企画なんですね!
そうなんです。でも、そのバイヤーもマンホールの話が出た時に「これ、なんかイケそうな気がする」という直感があったそうで。それで私たちもいろいろと調べてみたところ、専門の本が出ていたりして、「マンホール、アツい」ということを確信し、本格的に製作がスタートしました。
マンホールの世界は、知れば知るほど深い!そして面白い!
―三橋さんは、そもそもマンホールに興味があったんですか?
全然なかったです(笑)。なので当初は、営業担当ほどの熱はまったくなく...
―では携わっていくうちに興味が出てきたと。
そうです。調べれば調べるほど、マンホールって意外と面白いかも、と思うようになりまして。これは結構いいかもしれない、と。鋳物でこれだけ大きいサイズのものというのは他にはあまりないらしく、日本の伝統技術という観点から見ても非常に興味深くて。しかもご当地マンホールは、カラフルでとてもきれい。実際、すごく重いですし、そこにひとつひとつ色を入れていく工程もすごく大変なのに、人に踏まれる(笑)。そういった「製作物」としても面白いなと思うようになって、ぐっと惹かれるようになりました。
―なるほど、いまではすっかりマンホールマニアなんですね(笑)。昨年発売する際、ターゲットはやはりマンホールマニアの方たちだったんですか?
もちろん初めはそうでした。マンホールについて調べていくと、"マンホーラー"と呼ばれる愛好家がたくさんいるということがわかりまして。
―マンホーラー!そんなカッコいい呼び名が!
愛好家や専門家が集まるイベントも毎年各地で開催されているんですよ。その名も「マンホールサミット」。私たちが知らなかっただけで、マンホールの世界はかなりアツいんです。マンホーラーは全国に2,000〜3,000人いるらしいので、その人たちみんながこのカレンダーを買ってくれたら万々歳だね、なんて話も社内ではしていました。
―では、実際に昨年発売してみての反響などは?
今年は10月の頭から発売しているんですが、昨年に関しては自治体への確認作業などに時間がかかってしまい、11月に入ってからの発売になってしまいました。にも関わらず、発売して1週間ほどでものすごい反響があり、すぐに増刷が決まったんです。マンホーラーの方たちはもちろんですが、そうでない方たちにも面白いと言っていただけて、反応がすごく良くて。
―東急ハンズじゃないと、売れないですよね。
ホントにそうなんです!東急ハンズさんとマンホールというものがすごくマッチしたのか、店頭でのディスプレイもインパクトがあって、たまたまそこを通りがかったという人にも手に取っていただけました。
―見た目だけで、なんだか面白そうですもんね。ところで、「ご当地マンホール」って、いつ頃からあるもので、全国にいくつくらいあるものなんですか?そしてどんなところに設置されているんですか?
諸説あるようですが、1970年代に沖縄の那覇市で作られたのが最初だそうです。全国で1,500種類ほどあり、公園や、公共の施設などの周辺に設置されていることが多いんです。
―もっと最近のものかと思ってました。意外と歴史は古いんですね!
卓上は53種類、壁掛けは12種類を掲載。お気に入りは...
―今年は卓上タイプに加えて壁掛けタイプが新しく登場しましたが、それぞれ何種類のマンホールが掲載されているんですか?
マンホールカレンダー
壁掛けタイプ 2,000円+税 卓上タイプ 1,500円+税
卓上タイプは週めくりなので53種類、壁掛けタイプは月ごとなので12種類です。
―掲載されたマンホールは、どんな基準で選ばれたんでしょうか?
カレンダーは季節感が大切なので、春には桜のモチーフなど、なるべく季節の特徴が出やすいものをセレクトしています。なおかつビジュアル的にインパクトがあるものを12種類厳選したのが壁掛けタイプです。卓上タイプはその要素に加えて、面白いもの、色のバランス、という観点でもピックアップしました。
―その決定権はどなたに?
このカレンダーに関しては、私ともう一人の担当者ですべて選別しました。
―あまり多くの人が関わると決まらなそうですもんね。私の地元を入れてくれ、とか(笑)
そうなんです。あまりいろんな意見を聞いているとバラけてしまうので。特に2年目の今年は「これを入れた方が良いんじゃないか」といった声も多くて。
―では、たくさんあって決められないとは思いますが、三橋さんのお気に入りマンホールを3つ教えてください!
全体としては、今年は昨年に比べてキャラクターものをたくさん入れられたのが良かったと思っています。中でもお気に入りと言うと...難しいですがあえて選ぶなら、まずは表紙にもなっている岡山の「桃太郎」モチーフですね。次に、色鮮やかで動物たちが可愛らしい神戸のマンホール。もうひとつは、シンプルですが鋳物の良さと技術が光る、鹿児島の切子をモチーフにしたものです。
三橋さんセレクトその1
三橋さんセレクトその2
三橋さんセレクトその3
―なるほど、どれもインパクトがありますね!では逆に、掲載したかったのに叶わなかったものなんてありますか?
川越の「時の鐘」モチーフのマンホール、それと広島のカープマンホールかなぁ。もろもろハードルが高くて...ぜひ来年こそは!
―では、製作するにあたって、いちばん苦労したのはどんなところですか?
先ほども話題に出ましたが、マンホールはすべて自治体の管轄なので、手続きとか、市長の承認とか、そういった確認作業がものすごく大変でした。でも、昨年はこちらがお話を持ちかけても自治体側は「何を言ってるんだ?」という反応だったのに、昨年の実績と経験があった分、今年は比較的スムーズでしたね。各所に完成品を飾ってくれたり、ホームページで紹介してくれたり、それも良い宣伝になりました。マンホーラーの皆さんもSNSで発信してくれたり。
―知らないところで、どんどん広まっていったんですね。
余談ですが、当初はこのカレンダー、ご当地マンホールの専門書の情報を拝借して作らせてもらおうと考えていたんです。でも、出版元と上手く折り合えず。後になってよくよく考えると、こんなに大変な確認作業が必要なものを、やすやすと他社には提供しないだろうってことに気が付きました(笑)
愛好家にも、そうでない方にも、魅力を伝え続けていきたい!
―今年は壁掛けタイプが新登場しましたが、ここを楽しんでほしい!というポイントはありますか?
やっぱり、このサイズ感ですね。当初は今年も卓上タイプだけの予定だったんですが、もっとインパクトのあるものはつくれないのかという話になり。それなら原寸大を作ってみれば、ということになって企画されたんです。ただ、直径60cmというのが一般的なマンホールのサイズなんですが、製作の都合でどうしても60cmを超えるものをつくるのが難しくて。少しだけ小さくなってしまいましたが「ほぼ原寸大」です!もちろん本来は壁に掛けるものですが、あえて床に置いてみる、なんていう楽しみ方もありますね。家の中で本物のマンホール気分が味わえます!
―卓上タイプはどのように楽しんでほしいですか?
卓上タイプは1週間ごとにたくさんのマンホールが見られるので、旅した気分が味わえるのが魅力です。私も実際に旅行に行ったときなどに、どこかにマンホールがないかなと探してしまうんです。それで本当に発見したときは、うれしくて写真を撮ったりして。そんな楽しみのきっかけになれば。あと、それぞれにしっかりと説明文が入っているのもポイントです。読んでみると、なるほどと思わされるものばかりです。
―カレンダーの他に、マンホールを題材にしたら面白そうなものって何でしょう?
インテリアのマットなんて面白いかも。やっぱり、お部屋で使えるものがいいですよね。
―では、マンホールをヒントに、他にカレンダーにしてみたいもの、できそうなものはありますか?
やっぱりご当地ものですよね。実際に、近頃にわかにアツい「地下水道」をテーマにしたカレンダーや、各地の人気神社の情報を掲載した「お守りカレンダー」といったマニアックなものも東急ハンズ限定で発売しているんですよ。ちなみに地下水道カレンダーは「マンホールの下」というつながりから生まれました!
地下水道カレンダー
壁掛けタイプ 1,500円+税 卓上タイプ 1,200円+税
このお守りがすごい!カレンダー 1,200円+税
―地下水道ですか、それはまたマニアックな(笑)。では最後に、ハンズのお客さま、そして全国のマンホーラーへ、メッセージを。
マンホールを通じて、私たちも楽しいと思えたことがたくさんあるので、これからも長く商品を提供していきたいです。そしてこのカレンダーで、マンホーラーの方にも、それ以外の方にも、マンホールの持つさらなる魅力が伝わればと思っています!
―本日はありがとうございました!
おわりに
当初は興味がなかったという三橋さんすら虜にしてしまったように、マンホールには人を引き込む不思議なチカラがあるのかもしれません。ぜひ、来年のカレンダーに!一度使えば、きっとあなたもマンホーラーの仲間入り!
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