あなたはもう、東急ハンズ新宿店内に誕生した19の商店(ショップインショップ)には行きましたか?ここでは、8階「万年筆のエフピー堂」の池内店主にインタビューを実施。美術系の学校出身で、これまでずっと文具に携わってきたという池内店主に、万年筆や文具の魅力を語っていただきました!
ビギナーにはパイロットのカクノがオススメ
―池内さん、本日はよろしくお願いします!
よろしくお願いします!新宿店8階「万年筆のエフピー堂」の池内です。
―「エフピー堂」という商店名ですが、エフピーって一体どういう意味なんですか?
万年筆を英語で言うとfountain pen(ファウンテンペン)なので、そこからFとPをとってエフピー堂としています。日本語にしてしまうと「万年筆の万年筆堂」ですし、ここだけなぜか「商店」ではなく「堂」だったりと、ツッコミどころもあるのですが、言いやすいのでこのような商店名になっています(笑)。
―その名の通り、万年筆を中心に取り扱っているんですね?
はい!数百円程度のものから何万円もするものまで多数ご用意しています。また、インクや万年筆に合ったノート、一筆箋など、万年筆ライフを有意義に過ごすためのアイテムもたくさんございます。
―どういったお客様がよくいらっしゃるのですか?
万年筆を使ったことがないという方からマニアな方まで、多くのお客様にお越しいただいています。例えば先日は学生さんとそのご両親がいらっしゃって、長く使える万年筆が欲しいということで、2万円程度のものをお買い上げいただきました。
―それはきっと一生モノの万年筆なんでしょうね!
そうかもしれませんね!一生モノでいえば、ご両親や祖父母の形見だった万年筆をお持ちになられる方もいますよ。ずっとタンスなどに仕舞われていたのか、ペン先がインクで固まってしまっていて、それを書けるようにしたいというご相談でいらっしゃいます。それを預かって洗浄するのですが、書けるようになったときはとても喜んでいただけるので、私も嬉しくなっちゃいます。もちろん修理に出さないといけない場合もあるのですが、もしそういった万年筆をお持ちの場合は一度ご相談にきていただければと思います。
―親から子に受け継ぐといったロマンといいますか、そういうことも万年筆のよさですよね。
そうなんですよ!ただ、これまで万年筆を使っていなかったのにいきなり一生モノを手にするのは少しハードルが高いと思うので、まずは数百円〜千円くらいのものから試してみるのもいいと思います。
―ビギナー向けのオススメ万年筆はありますか?
パイロットの<カクノ>という万年筆がオススメです。
パイロット 万年筆 カクノ(極細・細・中)1,000円+税
パイロット コンバーター CON-70 700円+税※グレー軸のカクノには、CON-40をご使用ください。
―オススメポイントは何ですか?
とにかくコストパフォーマンスがいいんです。ペン先は3,000円代の万年筆と同じくらい丁寧につくられているので、パイロットらしいこだわりの書き心地をしっかりと味わえるんですよ。あとはグリップのところが3角軸になっているので指にフィットし、書きやすい。もともとは子ども向けに開発されたものですが、大人が使っても全く問題ないクオリティなんです。
―極細、細、中と3サイズありますが、どのように選べばいいのですか?
手帳にスケジュールを書くなら極細、ノートにメモなどを書くなら細、手紙を書くなら中、でしょうか。シーンに合わせて使い分けるのもいいですね。
次々出てくるオススメ万年筆
―他にもオススメの万年筆はありますか?
個人的に好きな万年筆なのですが、ペリカンの<スーベレーン>というシリーズですね。これは万年筆好きの中ではもはや定番と言えるほど人気のものなので、ツウっぽいセレクトではないかもしれませんが(笑)。
ペリカン 万年筆 スーベレーン 35,000円+税より
ー定番と言われるほどの確かなクオリティということですね!
その通りです!初めてこの万年筆を使ったのはもう何年も前ですが、「こんなに滑らかに書ける万年筆があるのか」と衝撃を受けたことをいまだに憶えています。筆圧をかけなくてもスラスラ書けて、カリカリと紙に引っかかる感じもしません。多くの人々を虜にするのも頷ける、書き心地にとことんこだわった一本だと思います。
―なるほど!
あとはこちらのカスタムというシリーズもオススメです。
パイロット 万年筆 カスタム742 20,000円+税より
―先ほどのものと何が違うのですか?
こちらを手がけているのはパイロットなのですが、日本のブランドらしく、日本語がとても書きやすいんです。とめ・はね・はらいをつくりやすく、細かな文字も書きやすいので、ビギナーの方にもぴったり。インクカートリッジも気軽に手に入れやすいのもいいですね。あとは<ラミー2000>という万年筆もオススメで...。
―次々と出てきますね(笑)!
すみません、ついつい(笑)。<ラミー2000>は私自身、仕事をしているときによく使っているものなのですが、ラミーの万年筆はとにかくデザインが秀逸なんですよ。
池内店主の私物万年筆 LAMY2000
―確かにとてもかっこいいです!
特にペリカンと比べると、ラミーのものはある意味万年筆らしくない見た目なのですが、それがいいんですよね。つくりも精巧で、インクを入れるために後軸の部分を回して戻すと、その「つなぎ」の部分が全く見えないんです。
―本当だ、全然わからない...!
そういったところにもこだわっているからこそ、ここまでシャープで洗練されたデザインに仕上げることができるんですよ。この万年筆が生まれたのは1966年と50年以上も前なのですが、持っているだけで気分が上がるし、書き味も申し分ない、今なお色褪せない名作中の名作だと思います。
誰でも気軽に万年筆を楽しめる場所にしたい
―池内さんはもともと万年筆が好きだったのですか?
ハンズで筆記具担当になったのが10年ほど前なのですが、万年筆にハマったのはそこからです。それまでは万年筆よりもGペンの方が身近な存在でした。
―Gペンって、よく漫画を描くときに使うペンですよね?
そうです。というのも、ハンズに入社するまでは漫画家のアシスタントをしながら自分でも漫画を描いていたんですよ。
―へえ!
もともと美術系の学校を出て、漫画家を目指していたんです。それでよくハンズに画材などを買いに行っていました。その後色々あってハンズに入ることになって今に至りますが、ずっと文具に携わってきた人生だなと改めて思います(笑)。
商店内には万年筆の種類や使い方などをまとめたポスターがあるのですが、その中のイラストはすべて池内が描いています。
―池内さんにとって文具の魅力は何ですか?
特に万年筆はそうですが、商品一つひとつや、それを手がけるブランドそれぞれに物語があるんですよ。10年前に担当になった当時、勉強のためにブランドの歴史をひたすら調べていたのですが、そこにある物語がもうそれはそれは面白くて。なので単に商品のことだけではなく、そういった部分もお客様にお伝えできればと思います。
―ありがとうございます。では、最後に店主としての意気込みやこれからの目標を教えてください!
万年筆と聞くと敷居が高いと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、なるべくそう感じないような、誰でも気軽に万年筆を楽しめる場にしていきたいと思っています。特にビギナーの方は自分にあった万年筆がわからないと思いますし、数ある中でどうやって選べばいいのかもわからないはず。そんなときはこちらにお越しいただいて、ご相談いただけると嬉しいです。具体的なことでなくても、なんとなくこんなタイプとかデザインが好き、みたいなザックリした内容で OK。むしろそういったご相談の方が大歓迎です。一人ひとりにあった万年筆がきっとあると思うので、試し書きもたくさんしながら、ぜひ一緒に見つけましょう!
おわりに
「本来は人見知りなので街の文具屋に行くとよく緊張する」という池内店主は、気軽に話しやすい物腰のやわらかさも魅力。ぜひ東急ハンズ新宿店8階「万年筆のエフピー堂」の池内店主に会いに行って、一本の万年筆に詰まった物語を聞いてみてくださいね。
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