【手帳検索事典】2020年の手帳と万年筆の相性を、限界まで書き続けて検証してみた

サイズや価格など、計21種類の項目からお好みの条件を選ぶだけで、ぴったりな手帳に出会えるサイト、「手帳検索事典」!おかげさまで、手帳ビギナーからマニアな方まで大好評の同サイトに、「万年筆適性」という条件が新たに仲間入り!この記事では、100冊以上の手帳に実際に書いて、適性を確かめてみた様子をお伝えします。

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手帳に予定やアイデアをまとめる時間を大切にしたい方に、万年筆は向いている

手帳検索事典に今回追加した「万年筆適性」。毎日のスケジュール管理を万年筆でしたい!という方はぜひチェックしてほしい項目なのですが、そもそも手帳と万年筆の相性っていかがなものなのでしょうか?

手帳検索事典の監修を務め、今から万年筆適性を確かめる張本人である、関西手帳研究会(てちょけん)会長の荒川さんと、「文房具屋さん大賞(扶桑社)」や「手帳事典(玄光社)」などの文具本を制作する文具編集者の木庭さんが、手帳×万年筆の魅力について解説します。

1911_techo_01.jpg左:木庭將(きにわまさし)さん 右:荒川翔太(あらかわしょうた)さん

荒川さん:最近はペーパーレス化やデジタルツールの普及もあり、手書きをすることが減ってきたという方も多いですよね。そういった背景の中での万年筆の大きな魅力は、筆圧がいらないこと。つまり、たくさん書いても疲れにくいことだと思うんです。というのも、普段あまり手書きをしない人が久々に書こうとすると、つい余計な力が入ってしまいがちですから。

木庭さん:例えば、ボールペンはインクと紙の間にボールという存在がありますが、万年筆にはそういったものがない。インクがペンからどこも経由せずに直接紙へと移るので、筆圧がなくても万年筆ならスラスラ書けるんですよね。

荒川さん:そうなんです。スラスラ書けると、書くという行為そのものが面白くなってくるんです。
なので万年筆は、手書きの時間をもっと楽しみたい方や、手帳にスケジュールやアイデアなどをまとめる時間を大切にしたい方にうってつけだと思います。また、最近は数百円〜千円ちょっとで買えるエントリーモデルも各社から登場しているので、昔より敷居が低くなっているのもよいですね。

なお、これから適性を確かめるにあたっては、〈パイロット・カクノ〉という万年筆を使いたいと思います。

1911_techo_02.jpgパイロット 万年筆 カクノ 透明 EF 1,000円+税
パイロット カートリッジインキ 12本入ブルーブラック 400円+税

木庭さん:お、人気の〈カクノ〉ですね!

荒川さん:木庭さんはご存知かと思いますが、こちらはもともとお子様向けの「はじめての万年筆」という考え方で生まれました。ただ、1,000円+税で手に入るお手軽さにも関わらず、ものすごく書きやすいので、大人からも多くの支持を集めているんです。

木庭さん:子どもから大人まで幅広い層から人気ということで今回はこちらを選んだのですね。ところで、裏抜けという視点だと万年筆はどうなんですか?

荒川さん:はっきりとしたことが言えず恐縮ですが、もうケースバイケースとしか言いようがないんですよ。万年筆だけの話をすれば、エントリーモデルのペン先は、主にステンレス、鉄やプラスチックで高級なものだと金でできているのですが、金の方が鉄などよりもやわらかいんです。なので紙を傷つけにくく、インクも染み込みにくい。つまり、裏抜けしにくいと考えられます。
ただ、裏抜けの要因はそれだけではなくて、インクや紙の種類も影響してきますから、万年筆は裏抜けしやすいとかしにくいとかって一概には言えないんです。

木庭さん:万年筆は裏抜けしやすいイメージを持たれている方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそういう訳でもないんですね。

荒川さん:ちなみに、これから手帳の裏抜け具合をチェックしていきますが、万年筆では大丈夫だけど、ボールペンでは裏抜けが気になるというケースも十分にあり得ます。また、特に海外メーカーだと紙を生産する場所が変わることもあるので、同じシリーズの手帳であっても、昨年と今年で書き味がちょっと違うということも起こり得ます。なので、今回の適性チェックはあくまでも参考として捉えていただけると幸いです。

さらに付け加えると、手帳によって特徴は様々で、とにかく裏抜けしないことを重視するものもあれば、多少は抜けてしまっても軽さや薄さを追求するというものもあります。なので、仮に万年筆適性を満たしていない手帳があっても、それはあくまで裏抜けしにくい特徴ではないだけであって、それ以外にしっかりとしたよさがあるんです。

木庭さん:やっぱ文具は奥深い...!

書いては裏抜けチェック、の工程をただひたすらと繰り返す荒川さん

ではいよいよ、万年筆適性チェックを始めていきます!ということでまずは、今回の舞台となる東急ハンズ新宿店の店頭から手帳を1冊1冊ピックアップしていきます。新宿店はハンズで最も手帳の品揃えが豊富なだけあって、ピックアップするのもひと苦労...!

1911_techo_03(ぼかしナシ).jpgハンズスタッフと一緒にピックアップ作業を手伝ってくださった木庭さん。本当にありがとうございました。

お客様のご迷惑にならないよう地道に集めつつ、荒川さんが1冊ずつ適性をチェック。手帳に「線」、「曲線」、「漢字の"永"」、「塗りつぶし」の4種類を書き、それを裏から見た時の抜け具合を見て、てちょけん代表として数多くの手帳を見てきた荒川さんの判断によって適性の有無を決めていきます。適性の有無は万年筆で書いた時に裏抜けが気になるかどうかで判定され、気にならないものは万年筆への適性があるということで「○」が付きます。

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その間にも木庭さんやハンズスタッフはどんどん手帳をピックアップ。みるみるうちに溜まっていきますが、荒川さんの体力(手や腕の)と気力は大丈夫でしょうか...。

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瞬く間に積み重なっていく手帳。

1冊にかかる時間はおよそ1〜2分。中にはすぐにジャッジできないような際どい状態のものもあり、その場合は「書いてはチェック」の工程を何度も繰り返して判断していきます。

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そして約2時間の時間が経ったころ、店頭でできる分の手帳は全てチェック完了!何十冊もの手帳にただひたすらに線や文字を書いてはその裏抜けを見ていくという、気が遠くなるような作業を成し遂げた荒川さんに、その感想を聞いてみましょう。

荒川さん:始める前に「たくさん書いても疲れにくい」ことが万年筆の魅力だとお話しましたが、さすがにこれだけ書いていると疲れます(笑)。それでも筆圧を加えていないので手は痛くなっていません。

チェックする前に紙を見たり触ったりすると、それがどの程度裏抜けしそうか予想できる...と思っていたのですが、決してそうではなかったのが興味深かったです。

例えば、一般的には、ザラザラとした触り心地の紙とツルツルしたものでは、ツルツルしたものの方が裏抜けしにくいはずなんですよ。ツルツルしているのは紙の表面に薬剤が塗られているからなので、コーティングされている分インクを通しにくい訳です。ただ、実際に試してみると、ツルツルしていても裏抜けしてしまうものもあれば、ザラザラしたものでも全く問題ないものもありました。

紙の厚さについてもそうです。一般的な傾向としては厚い紙より薄い紙の方が裏抜けしやすいと考えられるので、比較的薄めの紙を使っているものはどれも厳しいかなと思いましたが、よい意味で裏切られた手帳もあってびっくりしました。今後は薄いからといって裏抜けがしやすいと決めつけるのはやめようと思います(笑)。

私自身も手帳づくりに携わることもあり、手帳に触れ合う機会が多いので、ペンと紙の相性がある程度わかるかなと思っていたのですが、そうでもなかったので、改めて文具の世界の奥深さを実感しましたね。

荒川さんおすすめの万年筆適性ばっちり手帳を発表

最後に、荒川さんが「これは特に裏抜けしにくい!」と思わず唸った5冊の手帳を、荒川さんのコメントとあわせて一挙にご紹介します!

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【2019年12月始まり】 アクションプランナー 3,700円+税
【2020年1月始まり】hands+ダイアリー A5 バーチカル ハード 2,200円+税
【2019年12月始まり】 コクヨ キャンパスダイアリー 方眼罫タイプ A5 450円+税
【2019年12月始まり】 エトランジェ・ディ・コスタリカ B6マンスリーダイアリー 400円+税
【2019年11月始まり】 ロンド工房 ブラウニー手帳 A6 マンスリー 2,400円+税

荒川さん:時間管理をしっかりしたい方のための手帳〈アクションプランナー〉は、時間の使い方やアクションプランなどを視覚化、つまり紙に書いて整理しやすくなるのが特徴です。
頭の中でぼんやりとしているタスクなどを細かく棚卸ししていくので、紙に書く量も多くなるはず。なので厚めの紙を使っているのですが、がっちりとインクを止めていますね。

〈hands+〉のバーチカルタイプの手帳は、時間軸が7時~24時の1時間単位でスケジュール管理ができます。また、バーチカルページにたっぷりとしたメモスペースがあるので、ちょっとしたアイデアなどを記録しておくのに便利。
軽くて、書きやすく目にやさしいハンズオリジナルペーパーを採用しているので、裏抜けへの配慮もなされていると思うのですが、それが確かな結果になっていると感じました。

〈キャンパスダイアリー〉は、多くの人々に愛され続けている〈キャンパスノート〉の技術が詰まった上質紙を使っているだけあって、安定してインクをガードしている印象。ジャパンクオリティの高さを実感しましたね。

〈エトランジェ・ディ・コスタリカ〉の手帳は、ツルッとした心地よい触り心地が病み付きになりそうです。
また、先ほど感想のところでお伝えしましたたが、こちらは比較的薄めの紙を使っているので裏抜けは避けられないと思っていたのを、よい意味で裏切られた手帳です。こういう一冊との出会いがあるから、手帳という世界を深掘りするのは本当に飽きませんね(笑)。

〈ブラウニー手帳〉は、実は私が制作に携わったものなのですが、だから選んだという訳では決してありません。お客様から「裏抜けが気になる」というお声を常日頃からたくさんいただくので、万年筆で書いても裏抜けしにくい紙というものを選んでつくっています。なので、手前味噌ですが、胸を張っておすすめできるクオリティに仕上げられたと思います。

以上、荒川さんおすすめの万年筆適性ばっちり手帳でした!絶対に裏抜けしたくないという方はぜひチェックしてみてはいかがでしょうか!?そして最後に、荒川さんから手帳検索事典の効果的な使い方をご紹介します!

荒川さん:手帳検索事典の「こだわり検索」では、今回ご紹介した「万年筆適性」のほかに、サイズや価格といった基本的なものから、紙の色や綴じ方、さらにはしおりの数など、かゆいところまで手が届く多種多様な項目を用意しています。
これほど細かく手帳を分類している手帳検索機能は私も他に見たことないので、きっとこだわりのある方でもご満足いただけるものになったかと思います!

一方で、近年のようにライフスタイルが多種多様になってきている中で、誰にとっても100%使いやすい手帳というものは正直ありません。
こだわり検索ではどんどん個性的になっていく手帳をカバーするために多くの項目を設けましたが、だからといって全ての項目をチェックする必要は全くありません。あまり関心のない項目まで無理にチェックするのではなく、気になるものだけをチェックする、くらいのライトな使い方が多くの方にとっておすすめですし、きっと自分に合った手帳を楽しく見つけられるはず!

もっとも、どうしても全部チェックしないと気が済まない、というマニアックな方もいらっしゃると思いますが(笑)、そういった方も手帳ビギナーの方も思う存分使いこなせるようになっているのが手帳検索事典の特徴なので、どなたでもぜひお気軽にご活用いただければと思います!

じぶんにぴったりな手帳を探せるサイト「手帳検索事典」はこちらから!>>

おわりに

裏抜けという視点の他にも、さまざまな側面から2020年の手帳を紐解いた「手帳検索事典」。年末年始に向けて、ぜひお気に入りの一冊を見つけてみてくださいね!

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