「はい、はい、承知しました。引き続きよろしくお願いいたします......センパイ! 新宿店の田中さんからおことづけです」
「はーい......ってタケウチ、おまいさんこのメモ何で書いた?」
「え? ふつーにボールペンですけど?」
「いや、全然いいんだけどさ。なんていうか想いが伝わってこないというか、さらっと流されちゃうというか......いや全然いいんだけどさ」
「はーい、了解でーす」
「万年筆の一本でも持ってないの? メモ書き用に使えとは言わないけど、お気に入りのペンがあると書くこと自体が楽しくなるわよ」
「私、持ってないんですよねえ万年筆。なんだかちょっとエラい人が持つイメージあるし、そもそもホントに書きやすいの?って感じだし」
──などとのたまう入社4年目のタケウチ。社会のなんたるかがなんとなく見えてきたこの時期にこそ、オトナの嗜みというやつをしっかり身につけてもらいましょう。
そこで今回は、オープン40周年を迎えた東急ハンズ渋谷店に、自分だけのオリジナルインクをつくれる「手づくりスタジオ」ができたと聞いてチェックしてきました。
東急ハンズ渋谷店はおかげさまでオープン40周年!
やってきたのは東急ハンズ渋谷店5Aの「インクスタジオ」。文房具担当の江縫が笑顔で出迎えてくれました。
「お手入れがいるのでは? やっぱり高いんでしょ? というイメージが強い万年筆ですが、最近ではコンバーター(インクの吸入器)をあわせても、組み合わせによっては、2000円以内でご購入いただけます。一回使ってみると、サラサラとした書き味にトリコになる方も多いんですよ」(江縫)
「お気に入りの万年筆はあるけど、なかなか『これ!』という色に出会えないなんて方もいらっしゃいます。詳しいお客様がたくさんいらっしゃるので、インクの奥深さを勉強させてもらっています」(江縫)
今回用意していただいたインクは全部で9色。その中から好みの1~3色を調合して、オリジナルのインクをつくっていきます。スタッフと相談しつつ、カラーチャートを参考にしながら"あなた色のインク"を探していきましょう。
「いっぱいあるんですね~」
「《アクアブルー》《サニーイエロー》など色に名前は付いていますが、それぞれに番号が割り振ってあるので、21番を1滴、55番を2滴といった感じでメモしておくと便利です。何をどれだけ混ぜたかわからなくなっちゃいますからね。先日いらっしゃったお客様は15パターンも試していかれました」(江縫)
「なかなか見つからないものなんですね、理想の色って」
「面白いもので男性・女性で色づくりの傾向があります。男性のお客様だと『この色をつくりたい』と欲しい色が明確な方が多いのですが、女性のお客様は、季節に合わせてとかお洋服にマッチするような色を"その場で探していく"のを楽しまれていく方が多いですね」(江縫)
男性と女性で色に関するスタンスが違うって面白い! ということでまずは調合してみましょう!
センスと勢いでオリジナルカラーのインクをつくる!
「28番を1滴と21番を1滴......思ったより明るいなあ。じゃあ11番を足してみて、と」
「いいですね。何度か試し書きすると試筆紙にインクがなじんでくるので、1回調合したら2,3回は試し書きした方がいいですよ」(江縫)
ちなみにこの試し書き、何を書く人が多いのか聞いてみたところ、"くるくる"が一番みたいです。
ちなみにタケウチはというと......名前! 個人情報ダダ漏れ!
「いえ、案外それが理にかなってるんですよ。人が一生のうちで一番書くのは自分の名前だそうです。手が自然な力で書けるので、ペンを持ったら名前を書きたくなるのは、実は自然なことなのかも」(江縫)
「これは《オーロラブルー》か。単色でもキレイだなあ。ブラック系やブラウン系は深みを加えたいときに足すといいんですね」
「そうです、そうです。だんだんコツを掴んできましたね。ちなみに調合の時間は30分とさせていただいていますが、思っている以上にあっという間なので、今後お客様のご要望を含めて調整することも検討しています」(江縫)
ハンズのあの色《ハンズグリーン》の割合を教えます!
「そうしてどの色のインクにするか決めるわけですね。ん? さっきブルー系でつくったやつ、黒を足したらちょっと緑が深まっ......みどっ! そうだ! ここは愛社精神をアピールするために東急ハンズのコーポレートカラー《ハンズグリーン》にしよう!」
「おお! それは露骨なアピールでいいですね! 実は僕も試しに《ハンズグリーン》を調合したことがあるんで、インクの割合はすぐわかりますよ!」(江縫)
江縫もこっそりハンズ愛をアピール!
「おお! 教えてください教えてください! 1番を1滴に、41番を7滴、55番を2滴......と............できたっ!」
おおっ、素晴らしい! じゃあさっそく瓶詰めしてもら......
「うーん、でもこれからの季節になーんか寂しい感じがするかなあ。うん! あたしやっぱり最初につくったピンクにしまーす!」
江縫の塩笑顔を物ともせず、我を貫き通すタケウチ。また一歩ステージを上げたようです!
「ちなみに色の名前もご自分で決められますがどうします?」(江縫)
「名前かぁ......」
(10分経過)
「..................べにいも......」
「えっ」
「えっ」
インクの割合を書いた紙を渡すと、試し配合をもう一回やってくれます。色味をしっかり確認してから瓶詰めへと進んでいきます。
インクができるまでの60分は店内を楽しみましょう
瓶詰めをしてもらっている間は、文房具売り場を散策しましょう。というかインクだけあっても、万年筆持ってないんでしょ? 江縫さん、おすすめを教えてくださーい!
「まずは入門編ということでプラチナ万年筆のプレジールシリーズはいかがでしょう? ボディのカラーリングもバリエーション豊かですし、女性にも人気で......」
「じゃあそれ!」
決めるのが早い!
「万年筆の書き方ですが、ペン先にマークが刻印されている方を上にして、きもちペンを寝かせながら引き書きするのがキホンです。あまり力を入れてしまうとペン先が広がってしまうので、筆圧が強い方は書いた時に"自然に筆圧が下がる"万年筆をお選びいただくと良いです」
「わーい! ありがとうございました! 一人で申し込んでも相談しながらできるし、つくっている過程を見てもらいながらできるのが楽しかったです。これでセンパイにも大人のあたしをアピールできるぞっ」
メールやSNSでメッセージを送ることに慣れてしまい、メモや日記、大切な人へのお手紙など、文字を書く機会が減っている方も多いと思います。それでも根強い文房具ファンはたくさんいますし、こうしたスタジオでの手づくり体験を通して新たにその魅力に気づく方もいるはず。
東急ハンズ渋谷店ではオープン40周年を記念して、いろいろな手づくり体験ができる8つのスタジオを開設しています。ご来店いただいたお客様がワクワクするような手づくりの楽しさを、さまざまな角度からご提案する場所として生まれ変わりました。他にもたくさんの「アガる!STUDIO」がありますので、ぜひ足を運んでみてください。
ちなみに江縫の好きな芸能人は夏帆さん、好きな県庁所在地は福岡市だそうです。
■SHIBUYA STUDIO「インクスタジオ」(東急ハンズ 渋谷店)
製作時間:約2時間
(ご説明&調色時間 約45分 + スタッフ製作時間 約60分)
料金:1,800円+税
容量:20ml
※事前予約制
◆SHIBUYA STUDIO特設サイト
https://shibuya.tokyu-hands.co.jp/studio/
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■東急ハンズ 渋谷店
営業:10:00~21:00
住所:東京都渋谷区宇田川町12-18
アクセス:JR「渋谷駅」ハチ公口より徒歩8分
電話:03-5489-5111
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