トラベラーズノートに込められた熱い思いやおすすめの使い方を、生みの親に聞いてきました

豊富なリフィルやカスタマイズグッズを使って、十人十色の一冊をつくることができるのが魅力の「トラベラーズノート」。その生みの親である、株式会社デザインフィル トラベラーズ事業部の飯島淳彦さんに、開発秘話やおすすめの使い方などを、ハンズ屈指のトラベラーズノートファンである、販売促進グループの加藤がインタビューしてきました!

まるで「学校の放課後」のようなテンションでトラベラーズノートをつくった

1807travelers_02.jpg飯島さん、よろしくお願いします!

1807travelers_03.jpgこちらこそよろしくお願いします

1807travelers_02.jpgまず始めに、「トラベラーズノートって何?」という読者の方にご説明すると、トラベラーズノートとは味のある牛革素材のカバーと、シンプルで書きやすいオリジナルの筆記用紙がセットになったノートです。リフィルと呼ばれるさまざまな種類の筆記用紙を専用のバンドを使って自由に組み合わせられるので、人それぞれに合わせたノートをカスタマイズできる楽しさが魅力です。ちなみに私は仕事でもプライベートでもトラベラーズノートを活用させていただいているので、飯島さんとお会いできてとても嬉しいですっ!!

1807travelers_03.jpgいやあ、そう言っていただけて私も嬉しいです!

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トラベラーズカンパニー トラベラーズノート 各4,000円+税

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加藤のトラベラーズノート。下にはトラベラーズノートが10周年を迎えた際につくられた「10周年缶セット」(加藤の私物)が。

1807travelers_02.jpg私はもちろん知っていますが、トラベラーズノートはどのようなきっかけで生まれたのか、改めてお聞かせいただけますか?

1807travelers_03.jpg2005年に開かれた「ISOT(国際文具・紙製品展)」という文具や紙製品の見本市で弊社がブースを出展したのですが、その一企画としてノートの社内コンペを実施したんです。そこでトラベラーズノートのプロトタイプが上位になって製品化となりました。革のカバーにこだわったことがコンペで高評価だった理由の一つだと思っているのですが、革カバーは当時も今でも、タイのチェンマイにある工房の職人さんたちにつくってもらっています。

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チェンマイの工房

1807travelers_02.jpgチェンマイの方々とは、もともとお知り合いだったのですか?

1807travelers_03.jpg当時は輸入品の生産管理をしていたので、コンペが開かれる1年前くらいに別の業務でタイに行くことがあったんです。チェンマイは木工や革などの小さな生産工場がある町で、良い工房があることもそこで知ったのですが、品質管理などの面で商品開発につなげるのは難しいと当時は思いました。ただ、いざコンペのためのノートをつくろうとなった時に、彼らのことを思い出して、一緒にやりたいなと思ったんですよ。

1807travelers_02.jpgなぜご一緒につくりたいと思われたのですか?

1807travelers_03.jpgつくっているモノが好きだったのもあるのですが、何より彼らが醸し出す雰囲気がとても素晴らしかったんです。こちらから「こうして欲しい」とお願いしても、嫌な顔せずニコニコしながら「やってみるよ」と受け入れてくれたりして。まあ、その結果できなかったこともあったのですが(笑)、でも伸び伸びと働いている感じにとても惹かれて、一緒にものづくりをしたくなったんです。

1807travelers_02.jpgその伸び伸びとした雰囲気はまさにトラベラーズノートを表現していますね。製品化が決まった後もブラッシュアップを重ねていかれたのですか?

1807travelers_03.jpgそうですね、自分たちでも実際に使ってみて、その中で気付いたことを反映していきました。たとえば、カバーにビーズをつけてみたら素敵なんじゃないか、という気付きがあって、そこから「カスタマイズ」という要素を取り入れようとなったり。

1807travelers_02.jpgユーザー目線からのアイデアを加えていったのですね。

1807travelers_03.jpgそのように詰めていく過程で思ったのが、トラベラーズノートを通じて自分自身を見つめ直せるといいな、ということでした。たとえばカスタマイズとしてシールを貼りましょうという時に、意味のないものはなんとなく貼りたくないじゃないですか。

1807travelers_02.jpgわかります。

1807travelers_03.jpg貼るとしたら旅先で買ったシールや、あるいは好きなアーティストのシールなどと思ったのですが、そのように自分の思い出や好きなものをまとめたり、表現する行為がとても大切な要素だと気付いたんですね。後にノートを見返せば、自分の好みの骨格が見えてきて、「あ、これは面白いぞ」と(笑)。

1807travelers_02.jpgうんうん、見返すのは楽しいですよね(笑)!

1807travelers_03.jpgあと、私はツアーのようにスケジュールがあらかじめ組まれている「旅行」よりも、とりあえず現地に行ってみて、そこから何をしようかと考える「旅」に憧れていて、その自由さをノートに盛り込みたかったんです。よくある旅行用のノートには、スケジュールや思い出を記入するスペースがあらかじめあったりするのですが、そのようにガチガチに決められたものは個人的には合わないと思い、旅がもたらす高揚感みたいなものを自由に表現できるノートを目指しました。

1807travelers_02.jpgだからリフィルも画用紙やクラフト紙など、紙質は違う無罫タイプが多く展開されているのですね。

1807travelers_03.jpgさらに、そういうノートをもし仕事でも使っていたらどうだろうと想像してみると、旅のワクワク感を普段の業務にも与えてくれて、仕事ももっと楽しくなりそうだと思いました。なのでトラベラーズノートには、「旅するように日常を過ごせたらいいな」というメッセージを込めています。

1807travelers_02.jpgちなみに、製品化を進めるにあたって、市場での流行なども意識されたのですか?

1807travelers_03.jpgいえ、あまりマーケットのことは考えず、あくまで自分たちが欲しいと思うもの、かっこいいと思うものをつくるということを重視しました。製品化と合わせて専用のホームページもつくろうとなったのですが、自分たちで撮影した写真や自分たちで考えたキャッチコピーを載せたりして、とても楽しく進めていきました。

1807travelers_02.jpgいいなあ...!

1807travelers_03.jpgまるで学校の放課後に仲間たちと集まってワイワイしている気分でしたね。ただ、自分たちが欲しいものを突き詰めていった分、絶対失敗したくないという強い思いもありました。万が一失敗してしまうと自己否定にもなりかねませんから(笑)。

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飯島さんのトラベラーズノートの使い方とは

1807travelers_02.jpg飯島さんは普段どのようにトラベラーズノートを使っているのですか?

1807travelers_03.jpg仕事とプライベートは分けていたいタイプなので、仕事のスケジュールを管理するリフィルにはもう仕事のことしか書いていないですね。一方で、プライベートで使っているノートには絵を描いたりしています。美術学校卒業ではないので完全に独学というか、落書きくらいのノリで描いているだけなんですけどね(笑)。

1807travelers_02.jpgよろしければお見せいただいてもいいですか?

1807travelers_03.jpgええ、もちろん!

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1807travelers_02.jpgいやお上手!!絵を描かれるようになったきっかけは何ですか?

1807travelers_03.jpgそれこそ落書きレベルでは子どもの頃からよく描いていたのですが、トラベラーズノートに描いてみようと思ったのは、画用紙のリフィルが欲しいというお客さまのご要望があったからです。つくる際に自分でも使ってみようと思い、久しぶりに絵を描いてみるとすごく楽しくて(笑)。それで今は1週間に1枚のペースで描き続けています。

1807travelers_02.jpg楽しそうですね!ただ、こんなに上手い絵を描くのはちょっとハードルが高いかも...。

1807travelers_03.jpg「絵を描けない」とおっしゃられるお客さまも多いですが、上手い下手はあまり気にすることはないと思います。絵を描くこと自体が楽しいので息抜きにもなりますし、描く対象となるモノを観察しているとそれだけで新たな発見につながったりします。お子さまがいる方なら一緒にお絵描きをするのもいいですね。

1807travelers_02.jpgなるほど、そんなに気構えることはないのですね!

1807travelers_03.jpgもしくは、絵が描けないからとシールや写真などをたくさん貼っておられる方もいますが、それはそれでとても面白いですよね。

1807travelers_02.jpg私はそのタイプです。

1807travelers_03.jpgそうなんですね。よろしければどのように使っているのか見せていただけませんか?

1807travelers_02.jpgええ、お恥ずかしいですが、こんな感じで。

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1807travelers_03.jpgいやあ、素敵じゃないですか!ちなみにこちらはどのような記録なのですか?

1807travelers_02.jpg先日友達と一泊二日の旅行に行ってきたことをまとめています。この旅行が楽しすぎて、この思い出は残すしかないなと(笑)。このページを見るたびに幸せな気持ちになれます。

1807travelers_03.jpg楽しそうでいいなあ(笑)。トラベラーズノートって、使う人の「らしさ」が出るのが大きな魅力で、ノートとか手帳って普通は人に見せるものではないですが、トラベラーズノートには誰かに見せたくなるような面白さがありますね。

1807travelers_02.jpg一方で、「何も書くことがない」という方はどうすればいいでしょうか?トラベラーズノートっておしゃれなので、書くこともちょっと背伸びしたものでないといけないと思ってしまう方もいるような気が...。

1807travelers_03.jpgそうおっしゃる方もよくおられますが、本当に何でもいいんですよ。誰かに見せる楽しさも確かにありますが、別にそれを前提として格好よく使わないといけない訳ではありません。たとえ書いても何の意味もなさそうなものでも、見返すとそこからまた違った視点が見えてくることもありますし、気負わずどんどん書いていただければと思います。

1807travelers_02.jpgなるほど!

1807travelers_03.jpgあと、スケジュール管理もメモも基本デジタルで、という方がいらっしゃいますが、意外とそういう方にトラベラーズノートを使っていただいています。

1807travelers_02.jpgなぜでしょうか?

1807travelers_03.jpg最近、デジタルの普及によって紙や万年筆などが見直されている流れがあるのですが、デジタル好きな方はそもそもが「モノ好き」だったりするので、トラベラーズノートに共感できる部分が多いのではと思っています。あと、単なる記録だけではなく、書いた時の感情も残りやすいのが手書きの特徴で、そういう意味では紙の方が見返す楽しさはあるように思います。なので、たとえば仕事のことはデジタルに、プライベートなことはトラベラーズノートに書くのもいいかもしれません。

1807travelers_02.jpg決まり切った使い方はなく、本当に自由に使えるのですね!

1807travelers_03.jpgその通り!絵でも文章でも、感動したことやふと思ったことを、たとえ毎日でなくても書き続けるのが大事ですし、何より面白いんですよ。ちなみに、「自分は字が下手だ」と思っている方に朗報なのですが、トラベラーズノートは表紙の革が持つあたたかさのおかげか、癖のある字もなんだか味があっていいように見えてくるんです。自他共に字が下手だと認める私自身が体験しているので間違いないです(笑)。

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つくり手の強い思いは、ユーザーにもきっと伝わる

1807travelers_02.jpg飯島さんの他に現在トラベラーズノートの開発に携わってる方は何名いらっしゃるのですか?

1807travelers_03.jpg中心メンバーは私とデザイナーがひとり、あとは生産管理をするスタッフの計3人です。開発やノートそのものの品質維持はこの3人でずっとやってきたのですが、この連帯感というか信頼感は大切にしているつもりです。3人の連携があってこそ、納得のいくものができるのだと思うので。

1807travelers_02.jpgわずか3人...!そのお三方でトラベラーズノートをどうしていこうかと突き詰めていくのですね。

1807travelers_03.jpgそうなんです。私は今49歳で、デザイナーは私より一回り年下の女性なのですが、トラベラーズノートや他のグッズをつくる時は、私と彼女も「イイね」と思えるものにしようとしています。なのでトラベラーズノートは一見、男っぽい感じがあるかもしれませんが、実際には女性の方から多くのご支持をいただいています。

1807travelers_02.jpg確かにどこか中性的な雰囲気を持っていますよね。また、先ほど連帯感を大切にしているとおっしゃられましたが、トラベラーズノートの今後については、どのようなビジョンで共有されているのですか?

1807travelers_03.jpg事業なので具体的な目標を設定しなければいけないものの、それに縛られるのもいけないと思っているので、2人とはあくまで未来のイメージを共有しています。たとえば、実店舗であるトラベラーズノートファクトリーでは、シンガーソングライターの山田稔明さんという方が毎年ライブを開催してくれているのですが、山田さんのご協力のもと、トラベラーズノートのことを歌ったCD「notebook song」を昨年リリースしたんです。CDジャケットをトラベラーズチームのデザイナーがデザインし、うちの工場でつくったりしたのですが、それはそれは楽しくって(笑)。

1807travelers_02.jpgお話を聞いていてもその楽しさが伝わってきます!

1807travelers_03.jpgそういった、トラベラーズノートからの広がりをこれからも見つけていきたいということを2人には伝えています。

1807travelers_02.jpg私たち東急ハンズともそうですし、個性のあるさまざまな企業とコラボレーションされていますが、それもトラベラーズノートの広がりを意識してということなのですか?

1807travelers_03.jpgそうですね、コラボレートによってトラベラーズノートを広げていくことで、一人でも多くの方に「何かをノートに書く」きっかけをおつくりしたいと思うんです。かつて、私が書いているトラベラーズノートのブログのコメントで「何か新しいことを始めようと思いました」というメッセージをいただいたことがあって、それがとても嬉しかったんです。というのも、私は学生時代にバンドをやっていて、音楽によって救われたというか、前向きになれた経験がありまして。いただいたコメントを見て、かつての私を救ってくれた音楽のように、トラベラーズノートを通じて誰かを前向きにできているんだと思えたんです。

1807travelers_02.jpg良い話...!

1807travelers_03.jpg誰かを元気にしたり、新しい一歩を踏み出す後押しをするノートをつくるためには、つくり手である私たち自身が、熱意をもちながら楽しく働くことが不可欠だと思うんです。企業コラボで言えば、初めてさせていただいたのは香港のスターフェリーさんだったのですが、もともとスターフェリーさんが好きだったのでこちらからお願いさせていただいたんですね。一生懸命ツテをたどって、色んな方々とのつながりのおかげで、スターフェリーに乗れるチケット付きのトラベラーズノートというものを実現できたのですが、これはもはや一つの夢が叶った瞬間でもある訳です。

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スターフェリーとのコラボレーション「トラベラーズスター エディション」※2013年限定販売

1807travelers_02.jpg好きだったブランドとコラボできたら確かにとても嬉しいだろうなあ!

1807travelers_03.jpg先ほどのCDのこともそうですが、トラベラーズノートは私たちの世界を広げてくれるんですよ。だからより一層仕事が楽しくなりますし、この感覚をトラベラーズノートを使う方々にもぜひ味わっていただきたいんです。

1807travelers_02.jpgトラベラーズノートを使うことで自分の世界が広がるということですね。

1807travelers_03.jpgええ、先ほどのブログのコメントの他にも嬉しかったことがあって。アメリカのロサンゼルスでイベントがあったのですが、そこで外国人の方々が普段使っているトラベラーズノートを見せ合っていたんですよ。あの光景を見た時は感動しました...。トラベラーズノートのユーザー同士が海外でつながるなんて素敵だなと思って。

1807travelers_02.jpgきっと飯島さんたちが自分たちの「好き」を原点につくっているから日本でも海外でもファンが多いのでしょうね。計算され過ぎていないというか、つくり手の「情熱」や「愛情」、「ワクワクしてつくっている」といったことが商品を通じてお客さまにヒシヒシと伝わるんだと思います。だって、私もその一人ですから(笑)!

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1807travelers_03.jpgマーケティング的に言えば「共感」を呼ぶ手法ですね。ただ、私たちはそれを手法としてはあまり意識していなくて、「どうしたら面白いか?」「どうしたらトラベラーズノートっぽいか?」ということを考え続けていて、「こうしたら楽しいだろうな」と思えることだけを追い続けてきただけなんです。今の時代は「良い」だけでは足りなくて、やはりつくり手の思いとかこだわりといった部分が大事だと思っています。

1807travelers_02.jpgつくる際に何か参考にされているモノやコトはあるのですか?

1807travelers_03.jpg常に意識しているのは、やはり大好きな音楽です。たとえば商品やプロモーションをアルバムやライブにたとえて、ファーストはこうだったから、セカンドはこうあるべきとか(笑)。音楽にたとえて考えれば、自分が楽しいと思ったりかっこいいと思うポイントがわかりやすくなるので。こうしたことを2人に共有して、2人からまた別の「好き」とか「楽しい」を教えてもらいながらつくっています。

1807travelers_02.jpgそうですね、一緒に楽しいことをできればと思います!これからもよろしくお願いします!

おわりに

飯島さんたちの思いが込められたトラベラーズノートには、単なるノートの枠を超えた、新しい自分を発見できる魅力がたっぷり詰まっています。旅をするように毎日を過ごしてみたい方はぜひ、手にとってみてくださいね。

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