昨年の猛暑もあり、注目度が増している男性用日傘。そんななか、〈東レ〉独自の高機能素材「サマーシールド」を使ったハンズオリジナル商品が新たに登場しました。その魅力と実力を確認すべく、〈東レ〉とハンズのオリジナル商品開発担当者に話を聞いてきました!
男性用日傘のニーズは拡大中。男性にこそ、もっと使ってほしい!
―本日はよろしくお願いします!
長谷川・武井:よろしくお願いします!
東レ株式会社 スポーツ・衣料資材事業部 衣料資材課 長谷川さん
ハンズ PB開発部 商品企画担当 武井
―お二人は普段どんなお仕事をされているんですか?
長谷川:商品の企画開発を主にやっています。商品といっても〈東レ〉が開発するのは「生地」ですが、新しい生地を世に出すためにアイデアを持ってきて形にする、いわゆる0から1を生み出す仕事をしています。
武井:〈hands+(ハンズプラス)〉というハンズオリジナルのプライベートブランド商品の企画開発に携わっています。中でも私は、傘をはじめとした雨関連やトラベル関連アイテムを担当しています。
今回はこちらの新商品〈全天候型簡単開閉折りたたみ傘〉を紹介させていただきます!日傘としても雨傘としても高いスペックをもつ自信作です。
hands+ 全天候型簡単開閉折りたたみ傘
(55cm)5,390円(税込)(60cm)5,830円(税込)
※2024年現在こちらは販売終了しております。
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―今回ご紹介いただく傘は男性におすすめとのことですが、まず前提として、男性用日傘の市場やニーズの現状を教えてください。
武井:ここ4〜5年くらいで、店頭で「男性用の日傘はありませんか?」という声が増えてきています。年に2回ほど行っている、各店の売場担当者を集めた勉強会でも、特に昨年は今までの比ではないくらいに男性用日傘の話題が出ました。
長谷川:昨年は気象庁が「災害級」と発表するほどの暑さでしたから、日傘は暑さ対策用の「ギア」としての要素も求められるようになってきていますね。
武井:そうですね。また、今市場に出ている日傘は「男性が使うには小さい」というお声も多くあがったので、55cm・60cmという大きめサイズの日傘開発が始まりました。
―実際にお二人は日傘を使われていますか?
長谷川:開発を始めたのが10年前、商品化したのが8〜9年前くらいですが、その頃から使っています。
―武井さんは?
武井:はい、よっぽどの暑さのときには。男性は日傘に対して構えてしまうところもあると思うんですが、昨年の暑さだと、もう背に腹はかえられないので(笑)
―まわりの方も使われていますか?
長谷川:我々の啓蒙活動が足りないのか、まだまだ...。消防庁の統計によると、熱中症の搬送者の7割以上は男性なんだそうです。それだけ男性は暑さや日差しを甘く見ている、ということかもしれません。
武井:男性はガマンしてしまうケースが多いかもしれないですね。今回の商品をきっかけに、男性が日傘を持つことに抵抗がなくなると嬉しいです!
「日影を持ち歩く」日傘!
―「サマーシールド」とは、どのような生地なのですか?
長谷川:遮光・遮蔽・遮熱機能を高レベルで備えた素材です。遮蔽によって紫外線カット(日焼け防止)ができ、遮光・遮熱によって暑さをしのぐことができます。
中でもこのハンズオリジナルに使っているものが最強のスペックで、遮光率はほぼ100%、紫外線カット率も99%以上。まさに"日影を持ち歩く"感覚になっていただけると思います。
テントを使った試験(35分経過時)のサーモグラフィ画像。右がサマーシールドを張ったもの。左の天幕なしと比べて、優れた遮熱効果を発揮しています。
― 一般的な日傘の生地と、見た目でわかる違いはありますか?
武井:裏側ですね。黒いフィルムが貼られているんです。
―3層構造なんですよね?
長谷川:はい。外側の生地があり、裏側に黒いフィルム、その間に白いフィルムを入れて「ラミネート加工」を施すことで、高い遮光・遮蔽・遮熱性能を実現しています。ちなみに一般的な日傘の生地は、樹脂をコーティングした1枚ものです。
武井:目に入る光を抑えるので、サングラスのような目の保護、体感温度軽減の機能もあるんですよ。
―裏側が黒ですが、外側の色は自由につくれるんですか?
長谷川:間に挟んだ白いフィルムのおかげで外側に影響しないので、極端に言えば、真っ白でもつくれます。
武井:こういう構造じゃないと、例えば裏側に何かを塗布して黒くすると、外の色に響いてしまいますから。この生地ならではですよね。
―「サマーシールド」はどのような経緯で誕生したのですか?
長谷川:10年ほど前の話ですが、以前からお付き合いのあった傘メーカーの〈オーロラ〉さんの担当者と一緒に商品開発をするにあたり、雨傘か日傘か、という話になり。でも雨傘はビニール傘が相当なシェアを占めているので、少し難しい。それなら、私も温めているアイデアがあったので、日傘をつくりませんか?と提案したんです。
1年ほどで生地(後のサマーシールド)が完成し、テスト商品を5,000本だけつくって販売しましたが、わずか2週間で売り切れました。
武井:わずか2週間で!?長谷川さんはお客様のニーズを先読みされていて、それが見事に的中したのですね。
長谷川:手前味噌ですが、この生地はハンズさんが要求するハードスペックにもラクラク耐えられるものなので、今回採用していただけたのだと思っています。
雨にも日差しにも、風にも負けない「全天候型」の傘として
―それでは、傘としての機能や特徴も教えてください。
武井:この傘は「全天候型」をうたっています。遮光・遮蔽・遮熱に加えて、水の染みこみにくさを表す「耐水圧」にも着目しました。耐水圧が250mmあれば雨傘として販売してよいという基準があるんですが、「サマーシールド」は25,000mmというケタ違いの数値なんです!
―次元が違いますね!
武井:ゲリラ豪雨でも問題のない数値です。生地の性能は間違いないので、そこにプラスαとして、風でひっくり返っても壊れにくい「耐風構造」の骨も採用しました。
―特殊な構造なんですか?
武井:通常の傘はひっくり返ると接続部が割れてしまうんですが、これは骨が可動する構造になっているので反り返っても壊れにくく、簡単に戻せます。耐風検査では15m/sの風でも壊れない強度が実証されています。
―重さは?
武井:耐風構造にすると、どうしても重くなります。この生地に合わせると骨自体も太くなりますし。でも、軽さを求めすぎると弱くなってしまうので、この商品はそこまで軽さを重視せず、それよりも頑丈さを取りました。
―そういったところが、〈東レ〉さん側からしても、この生地を使うに値すると思えるポイントでしょうか。
長谷川:はい。まさにそうですね。
―他に何か特徴はありますか?
武井:傘袋も工夫していて、ストラップにボタンを付けました。バッグの外側などに引っかければ濡れたまま中に入れなくても済み、大事な書類などを濡らす心配がありません。ビジネスマンなどのニーズに応えた工夫ですね。
例えばこんな感じで、バッグの外側にぶら下げられます。
〈hands+〉ならでは。手に届きやすい価格にもこだわりを
―商品化してみて、改めて思ったことなどはありますか?
長谷川:これだけのスペックがありながら、百貨店などと比べてかなりお求めやすい価格になっているのですが、よくこれだけ抑えられたな、と(笑)。
武井:(笑)。2サイズで4,900円(+税)からです!※2019年当時
―ハンズならではの機能も加わって、ですからね。
長谷川:色や刺繍、デザインに凝ると、どんどんコストがかかる。そうすると、必然的に価格が高くなってしまうんです。
武井:そのとおりですね。細かい刺繍はないですが、男性が持てるようになるべくシンプルに、なおかつスペックはしっかりしたものに、ということにこだわりました。
長谷川:ハンズさんは、デザインもシンプルでロイヤリティも発生しない、〈hands+〉という看板で打ち出すことで、この価格を実現したんですよね。
―なるほど。
長谷川:だから、こちらが生地を半額にしたとかいうことは全くなく。ひとえにハンズさんの企業努力の賜物です。
―同じスペックで一般的に販売されている「サマーシールド」の仕様にしたら、価格はもっと上がってしまいますか?
長谷川:だと思います。実際に百貨店などで売っている「サマーシールド」の日傘は10,000円以上しますからね。
―今後の展開についてはいかがですか?
武井:店頭での打ち出し方などを話し合う会議で、やはり「女性用もほしいよね」という声があがりました。女性用としては少し重くて太いので、改良を加えながら女性用をつくってもいいかなとは考えています。
長谷川:個人的には、もう少し明るい色があってもよかったと思っています。ちなみに私が今使っている日傘はオレンジです(笑)
武井:(笑)
―ではこの辺で、最後にお客様へのメッセージをお願いします。
長谷川:この「サマーシールド」という素材が、日本だけでなく世界の人々の健康を守れるような素材になれれば、と思っています。
武井:昨年の熱中症の数字などを見ると、男性こそ日傘を持つべきだな、と思います。この1本で全天候に対応するので、ぜひ活用していただきたいです!
―本日はありがとうございました!
おわりに
お話を伺い、生地と商品に対する自信や思い入れがひしひしと伝わってきました。自分の身を守るために、この商品が「男性も日傘を持つのが当たり前」という時代のきっかけになれば幸いです!
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