ハンズ社員を経て、現在「傘ソムリエ」として活躍する土屋さん。そのあふれんばかりの傘への情熱を詰め込んだ、ハンズとのコラボによる渾身の1本が完成したとのことで、早速その魅力をご本人に教えてもらいました。どこがスゴいの?何が違うの?どんな裏話が? 知ればあなたも、この傘のトリコに!
【関連記事】
東レの「サマーシールド」を使ったハンズオリジナルの男性用日傘がすごい!その魅力と誕生の裏側を聞いてきた!>>
傘ソムリエとハンズのコラボ傘は、どういう経緯で生まれたの?
―ヒントマガジン読者にはもうすっかりおなじみかもしれませんが、知らない方のためにまずは土屋さんの簡単な紹介を。土屋さんは元ハンズの社員であり、傘担当の経験を経て、現在は傘をこよなく愛する「傘ソムリエ」として活動されています。
土屋さん:ご紹介ありがとうございます。恐縮です。
「傘ソムリエ」こと土屋博勇喜さん
傘メーカー、株式会社シューズセレクションの仕入・売り場責任者。2019年より傘の魅力を広く伝える世界初の「傘ソムリエ」として活動をスタート。傘やレイングッズの開発・監修、商品紹介動画の配信、各種テレビ番組への出演など、傘にまつわる幅広い分野で活躍中。
傘ソムリエ土屋さんの公式HPはこちら>>
人となりがわかる!? 土屋さんが登場する過去のヒントマガジン記事はこちら
・傘ソムリエとハンズバイヤーが、2023年の傘王者を語る!【アンブレラアワード2023】
・傘ソムリエとハンズバイヤーが、2022年の傘王者を語る!【アンブレラアワード2022】
―傘への愛は、もうずっと熱すぎるものがあったようで。
土屋さん:いや、いまでこそ「傘ソムリエ」なんて名乗ってますが、元々は傘がキライだったんですよ。それはハンズで傘担当になっても最初は変わらず。
―そうなんですか?意外です。
土屋さん:はじめは詳しくないので、接客するのも苦手で。でもあるときお客様から「ハンズの社員なのに何も知らないのね」とご指摘いただいたことで火がついて。それできちんと勉強しだしたら、すごくおもしろくて。傘の歴史や奥深さを知ってからは...もう止まりませんよ。憎さ余ってかわいさ100倍的な?表現間違ってますか?とにかくもう傘のない人生なんて考えられません。No UMBRELLA, No LIFE!
―(某伝道師の影響が出てきてますね...)で、今回は何やら、傘ソムリエ×ハンズのコラボ傘が完成したんだとか。
土屋さん:そうなんです。こちらが今回ご紹介するハンズコラボの晴雨兼用傘です!
傘ソムリエ×ハンズ 風が抜ける傘(エアーブルー、パープルアッシュ、スモーキーホワイト、ブラック) 各4,980円(税込)
商品ページはこちら>>
―なんだか気になる名前ですね。どんな経緯でコラボが実現し、商品化に至ったんですか?
土屋さん:傘ソムリエとしての活動を始めた頃から、いつかコラボアイテムをつくりたいね、という話はいただいていて。頭の中に構想はあったんですが、商品化となるともろもろ不安があり...。でも、ハンズのバイヤーさんから具体的な機能のオーダーがあったので覚悟を決めました。傘ソムリエとして5年、いろいろと考えて、試してきて、ようやく形にできました。感慨深いです。
―では今回は、その機能や特徴、土屋さんの思い入れをたっぷりと教えていただこうと思います!
この傘はここがスゴい!ここが特別!
風が抜ける?温度を下げる?自慢の「ベンチレーション機能」
土屋さん:まずはなんといっても、商品名の「風が抜ける」の所以ですね。一目瞭然ですが、こういう構造になっています。
―なるほど、わかりやすい。この構造って、一般的なんですか?
土屋さん:ゴルフ用の大きな傘などに採用されていることが多い、2枚仕立ての構造「ダブルキャノピー」という仕様です。隙間が空いていることで正面から入る風も下から巻き上がる風も逃がすことができ、ひっくり返りにくくなるので傘自体が傷むのも防げます。ただ、この仕様を取り入れたのにはもうひとつ狙いがあって。
―といいますと?
土屋さん:晴雨兼用傘なので、その風を傘の生地と傘内部の温度を下げるために活かせないかな、と考えたんです。日傘って、差しているときに傘と頭の間の空間、特に生地の裏側近くに熱がこもりがちなんです。でも日傘をさしている人をみると、紫外線対策で深くさしている方が多い。なので自然の風の力を利用して温度を下げられればと。一般的なスポーツウェアのベンチレーション機能(熱を逃がす機能)をヒントにしました。
―風が通ることで、そんなに温度に違いが出るものなんですか?
土屋さん:それが...出るんですよ。風を当てる実験をしたところ、最初はサーモグラフィが真っ赤だったのが、みるみるうちに青くなっていって。それを見たときは、その場の関係者みんなでガッツポーズしましたね。感動しましたよ。下町ロケットの世界です(笑)
―(笑)仮説は間違っていなかったと。
土屋さん:もう、してやったり。そして「風を受け流す」という意味でいうともうひとつ。親骨はFRPですが、受け骨はスーツケースなどと同じポリカーボネートにしたので、強い風を受けたときに適度にしなることで一定の衝撃を逃がしてくれるんです。もちろん骨組み自体も、ひっくり返ってしまっても戻りやすい仕様になっていますよ。
左:受け骨(半透明の部分)がしなることで、強い風の圧力を分散して逃がす効果があります。
右:不意に風でひっくり返っても、簡単に戻せる仕様です。
―あらゆる面で風対策は万全。台風シーズンにも強い味方になりそうですね。
土屋さん:ちなみに風速15mの風までは実験でもクリアしました。
―でもなんだか、隙間から雨が入ってきそうですけど...。
土屋さん:ご心配なく。重なりの部分を少し長め(8.5cm)にとることで、雨が入りずらい設計になっています。抜かりはございませんよ。晴雨兼用傘でダブルキャノピー仕様を取り入れているものはめずらしいと思います。自信作です!
未知の存在だった!東レの新開発素材「サンシールド」を採用
土屋さん:生地には「サンシールド」という東レさんの新開発素材を採用しています。とにかくすごい素材なんですが、それを私が語るのもおこがましい...というか説得力に欠けるので、ここは東レ株式会社の松本さんにご登場願って解説していただこうと思います。松本さん、よろしくお願いします!
松本さん:こちらこそ、よろしくお願いします!
松本さん:「サンシールド」はポリエステル織物に特殊コーティングを施し、夏の日射から生じる熱と紫外線を遮る効果を持った、弊社のオリジナル生地です。
土屋さん:「サマーシールド®」の弟分的な生地ですよね。
松本さん:はい。ハンズさんの売場にもある遮熱・遮光・UVカット効果の最高ランクの日傘生地「サマーシールド®」のセカンドライン的な立ち位置です。業界各社から強い要望があり、3年前に開発に着手して完成に至りました。「サマーシールド®」の機能性を大きく落とすことなくコストを下げるという、難題をクリアするのが大変でしたね。
【関連記事】
東レの「サマーシールド」を使ったハンズオリジナルの男性用日傘がすごい!その魅力と誕生の裏側を聞いてきた!>>
―具体的にはどんな工夫や秘密が?
松本さん:詳しいことはお話しできませんが...コストダウンのために基布はレギュラーポリエステルを使用しながら、遮熱性を高めるためにコーティング加工の配合を大きく変えて工夫しました。そして裏側のシルバーコーティング加工には、一般的には塗布材料であるアルミパウダーを使用しますが、より機能を高めるために分散加工がギリギリ可能な異素材を複数試して混入しました。
土屋さん:その異素材が、ちょっと意外な素材なんですよね。聞いたときは、なるほどと思いました。「さすが東レさん、そこから引っ張ったんだ」と。あまり話すと怒られそうなので、これくらいでやめておきますが(笑)
松本さん:お願いします、企業秘密ですので(笑)
―では、傘生地としての性能は?
松本さん:「UVカット」と「遮光性」ともに99%以上と定義していますが、「UVカット」の実測値は99.9%以上、「遮光性」の実測値は99.99%以上という実験結果が出ています。そしてもちろん、雨傘として必要な「耐水性」「撥水性」も優れていて、「耐水性」は2,000mm以上、「撥水性」は初期4級以上を測定しています。
土屋さん:実力は折り紙付きです。これ以上を求めたらバチが当たるレベルです。でも実は今回の傘の開発当初、東レさんが開発中の新しい生地を採用する、ということだけが決まっていて、それがどんな生地なのか全くわかっていなかったんです...。
松本さん:珍しい展開でしたよね。当たり前ですが、普通はつくりたい傘にあわせて生地も選びますから。
土屋さん:重さも骨との相性も、途中までは予測で進行せざるを得ず。いわば賭けのような状況でしたが...結果的には大正解。生地としてのスペックがずば抜けていたので、こちらもきちんとしたものをつくらねば、という思いで必死でしたね。裏側のコーティングも濃いシルバーではないので、おかげで表側を雰囲気のあるカラーにできました。もはや「サンシールド」なくして、この傘の完成はなかったと断言できます。
松本さん:ご期待にお応えすることができて何よりです。こちらとしても、生地のスペックを活かしたステキな商品に仕上げていただき感謝です!
土屋さん:そういっていただけると報われます。今日は松本さんをお呼びしてよかったです(笑)
男女を問わない、スタイリッシュなデザイン性とカラーリング
土屋さん:構造や生地に加えて、見た目のデザイン性にももちろんこだわりました。
―具体的には?
土屋さん:一見すると普通の傘のような、隙間が空いていることがわからない見た目にしたくて。ダブルキャノピー仕様の傘はどうしても無骨になってしまうんですが、男性が持っても女性が持ってもスタイリッシュに見える、カクカクしていない流線型のシルエットを目指しました。イメージは新幹線の先頭車両部分です。
―(傘なのに)新幹線の先頭車両部分...いいたいことはわかる気がします...。
土屋さん:カラーにもこだわりがあって、ビビッドなカラーではなく落ち着いたカラーを揃えました。白は白でも「真っ白」ではなく、ややくすんだ白。近年はユニセックスなカラーやデザインのものが人気を集めているので、そういったトレンドも意識して。
土屋さん:ちなみに親骨55cmというサイズも、男女問わずに使いやすいサイズということでセレクトしました。
使い勝手も大切だから。機能性をグッと高める細かなこだわりも
土屋さん:傘袋の使い勝手にもこだわっています。出し入れしやすいファスナー付きにし、操作性を重視して持ち手は大きく。傘を取り出しやすいように指を引っ掛けられるタグも底面に付けました。ストラップの長さも細かく調整しましたし、傘袋に必要だと思う要素をすべて盛り込んだ感じですね。
―心憎い配慮が満載ですね。
土屋さん:あとはベルトも太めの3cm幅にしました。晴雨兼用傘って、生地が厚めなのでどうしてもたたみにくいところがあるので、くるっと丸めてたたみやすいように。
―たしかに主張しすぎない絶妙な太さで、安定感があります。
土屋さん:機能性という面では、軽さもですね。カラーによって生地のコーティング厚が変わるので重量も前後しますが、1番軽いブラックで約266g、1番重いエアーブルーでも約286g。いずれも余裕で300gを切っています。最初からここまでの軽さを目指していたわけではないんですが、「サンシールド」が思いのほか軽かったこともあって、うれしい副産物です。
―軽い方が使いやすいですもんね。
土屋さん:傘にとって、軽さって正義ですから。しかも軽くて風に強いんですから。もうこれ以上何を望むのよと。
気付いてくれた人だけでいいんです。さりげない遊び心も随所に
土屋さん:あとは、もはや自己満足の世界かもしれませんが...。
―なんでしょう?
土屋さん:裏側の一角に、うっすらとロゴを入れました。さりげなく、つつましく。あえて文字ではなくロゴを使っているんですが、ドーンと出すのはちょっと恥ずかしくて。差しているときに「あ、なんかある」と気付いてもらえれば。
―奥ゆかしい。
土屋さん:そして傘袋にはアイコンやスペックに加えて、お客様へのメッセージを入れました。これももう、気付いてくれた人だけに届けば満足です。
―傘への愛があふれる、ソムリエならではの遊び心ですね。
土屋さん:どうしても入れたかったんです、メッセージ入りの傘なんて他にはありませんから。さらにさりげないこだわりというと、商品タグのデザインも。普通にコラボを表す「×」だとつまらないので、交差する風をイメージした流線デザインにしました。細かいでしょ?こだわりが。
土屋さん:雨の日も晴れの日も、この傘を見るたびに私を思い出してほしくて。すべてはそのために...。
―奥ゆかしいと見せかけて自己主張が強い(笑)。では最後に、今後の展開も聞かせてください!
土屋さん:すでに「サンシールド」を使った企画第2弾を温めています。詳しいことは何も決まっていませんが、そもそも実現するかもわかりませんが、いろいろ企んでいますので、乞うご期待ということで。
何はともあれ、まずはこの〈風が抜ける傘〉をよろしくお願いします!
おわりに
傘ソムリエ土屋さんのアツい想いが、これでもかとばかりに詰め込まれた〈傘ソムリエ×ハンズ 風が抜ける傘〉。その魅力と実力を、ぜひハンズ店頭でお確かめください!
【おすすめの関連記事】
・台風シーズンにおすすめの風に強い傘12選。丈夫で折れにくいタイプを集めました!>>
・【2024年】バイヤーおすすめ人気な日傘21選。「完全遮光」とは?日傘の選び方についても!>>
・【実験】日傘の中の色『黒と白』どう違うの>>
※工場生産遅延の影響で入荷日の遅れや商品仕様の変更が生じる場合がございます。
※掲載商品は一部店舗では取り扱いがない場合がございます。取り扱い状況については各店舗へお問い合わせください。
※掲載商品は、一部の店舗ではお取り寄せになる場合がございます。
※一部価格・仕様の変更、および数に限りがある場合もございます。
※掲載写真には一部演出用品およびイメージ画像が含まれ、店舗でお取り扱いがない場合がございます。
※商品価格等の情報は、掲載時点のものです。