錫光(中村 圭一)

錫光(中村 圭一)
キューポラの町、埼玉県川口市にある、錫地金そのものの仕入れから完成まで伝統的製法で錫器をつくる数少ない工房です。異業種の 職人とのコラボレーションやプロダクトデザイナーとの交流にも積極的に取り組み、現代の生活様式でも馴染むようなものづくりに挑戦しています。

錫器

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{食器、インテリア}

錫器で、おいしい水を、お酒をたのしむ

錫器
Feature.01
スズと人の、長いつきあい

スズと人の、長いつきあい

スズは銀白色で柔らかい金属です。精錬や加工がしやすい金属として、古来より広く用いられてきた金属のひとつでもあります。銅との合金である青銅が広く活用された時代を「青銅器時代」と呼びます。地域によって年代は異なりますが、最も古いメソポタミア・エジプトでは紀元前3500年ごろから始まりました。身近なところでは、ブリキやはんだの材料にも使われています。1838年に刊行されたアンデルセン童話にある『しっかり者のスズの兵隊』は、スズを原料としたミニチュアのおもちゃの兵隊を主人公にしたお話でした。
日本には、今から1300年ほど前の飛鳥時代~奈良時代に、茶の文化と共に茶道具として伝わってきたと言われています。金、銀に並ぶ貴重品であったために、神事を行なう宮中の器や、神社仏閣でのお神酒徳利などの神具として、一部の特権階級に限って使用されていました。江戸時代には町民階級にも慣れ親しまれ、酒器、とくに注器として重宝されました。不純物を吸収し水を浄化する、雑味がなくなる、まろやかになると言われて、お茶やお酒の容器として使われてきたようです。

Feature.02
伝統的技術の継承と、未来への挑戦

伝統的技術の継承と、未来への挑戦

15歳で錫の世界に足を踏み入れた先代が、長年勤めあげた工房の解散を機に設立したのが「錫光」です。錫師の技術を継承したい、錫の魅力を伝えたいという思いからでした。そんな先代に師事し、当代も錫師の世界へ入りました。
それぞれの技能に優れた人たちが作業を分担して行なっている工房もありますが、「錫光」では、一人の職人が全工程を行ないます。融点が低く柔らかい錫は加工しやすいとはいえ、鋳型に流しこむのが難しいのです。流しこんだときの錫の温度調整次第で出来上がりに差が出ます。型を外すのが早すぎれば錫は固まらず、冷えすぎれば型から外せない。そのタイミングを見極めるのも職人の技です。鋳抜かれた錫器をロクロに固定し、カンナで削って仕上げる「ロクロ挽き」は伝統的な技法で、これだけでも一人前になるまで10年かかるとか。身体の使い方、道具類の手入れはもちろん大事ですが、集中力を要し、いっときも気を抜くことができない作業なのです。
はるか昔からの伝統的な技術を受け継ぎ、2001年に「現代の名工」と表彰され、2003年秋に黄綬褒章受賞した先代の遺志を大切にしたい。ロクロを駆使して手作業で錫器をつくる数少ない工房として、「一隅を照らす」ことに誇りをもっています。
一方で、錫の魅力をより多くの人に知ってもらうためにはどうしたらいいのか。現代の生活様式にも馴染みやすいデザインや、センスのいいものであれば、女性にも手にとってもらえるのではないか。他業種の職人とのコラボレーションやプロダクトデザイナーとの交流に積極的なのは、率直な意見をいただき、さらに魅力ある商品開発に反映するためです。いずれは錫の魅力を知った若い人が錫師となって、伝統的な技術を継承してくれたらとの期待もあります。技術を失うのは一瞬ですが、確立するには長いときがかかるのです。

Feature.03
錫器のある日常の風景

自宅でおいしくビールを飲むために、仕事を頑張っている側面もある。
平日は缶ビール1本で我慢するけれど、できれば少しでもおいしく飲みたい。
缶から直接飲むのは味気ないから、グラスを冷やしておこうと思うけれど、忘れることも多くて、結局、缶から直接飲むことが多かった。
冷やしておいた缶ビールを錫器に注ぐと、冷たさがすぐに器全体に伝わるらしく、持っていた手にも冷たさが伝わってくる。
もちろん、冷たいビールをおいしく飲める。
しかも最後まで、冷たさが持続するのだ。
たった缶ビール1本のことでも、一日の終わりに、おいしく飲めると、また明日頑張れる気がするから不思議だ。

年をとったのか、酒の量も減った。
つまみも少しあればいい。
ただ、飲む量が減っても、うまい酒が呑みたいものだ。
息子にプレゼントされた錫器で、焼酎を呑んでみたが、これがすこぶるうまい。
むかし親父が「錫で燗をつけると酒が一級上がる」と言っていたが、あぁこういうことだったのだ。
同じものをもう1つ買って、今度は息子を誘って呑むか。

科学的根拠は定かではありませんが、錫器に入れておいた水は腐りにくい、おいしくなるなどと言われています。熱伝導率が良いので、錫器でお燗をするとすぐに適温になり、お酒の風味を損なうことがないのだとか。いつくしみ、末永くお使いいただける伝統的製法による製品ですので、世代を超えて受け継ぐことができます。使うほどにツヤが出てきたり、熟成してゆく様子を楽しむのも、錫器を持つ醍醐味です。桐箱入りなので、お祝いなどの贈り物としても喜ばれます。

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