「もっと、ものを育てよう。」をコンセプトにしたハンズのプライベートブランド〈Hand Marks(ハンド マークス)〉のラインナップに、今度は「木箸」が仲間入り。丹精込めて手づくりされる今回のシリーズについて、そのこだわりや魅力、そして込められた思いを、箸職人のもとを訪ねて聞いてきました!
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持ちやすく、使いやすい。職人の手でつくられる木箸の魅力
国産を中心とした産地や素材にこだわったもの、生産者や職人の技術を生かした製品など、安心して長く愛着を持って使い続けられるアイテムを展開する〈Hand Marks〉。今回新たに、職人の手による「木箸」が登場しました。そこにはどんなこだわりや思いが込められているのか。下町・葛飾にある工房を訪ねて、今回のシリーズを手掛けた吉成さんにお話を伺いました。
Hand Marks 手になじむ先角の天然木箸
左から
胴張り・ココボロ 各1,980円(税込)
削り・紫檀 各1,980円(税込)
八角・黒鉄木 各2,310円(税込)
四方面・つげ 各1,760円(税込)
いずれも23.5cm/21.5cm
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しのはら 箸職人 吉成 金房さん(よしなり かねふさ)
―「木箸しのはら」さんは、いつ頃からこの地で箸づくりを続けているんですか?
吉成さん:昭和初期からで、私が三代目になります。この辺り(葛飾区四つ木)には昔から、唐伝来の銘木と呼ばれる木を使った箸「唐木箸(からきばし)」の工房が多くありましたが、プラスチックなどいろいろな素材の箸が出てきたことでその数も減ってしまい...うちは今も続いている数少ない木箸工房のひとつです。
―他の素材の箸が出てくる中でも木箸をつくり続けている理由はどこにあるのでしょうか。また、木箸の魅力はどんなところですか?
吉成さん:木ならではの素朴さや親しみやすさですね。素材としても丈夫で耐久性があり、普段使いもしやすいので、そういった部分は木の箸の魅力です。大量生産のプラスチック箸などもポピュラーになりましたが、価格的に割高でも手づくりの木箸を求めるニーズが今も変わらずあることが、木箸をつくり続けている理由ですね。
―では、箸をつくる上でのこだわりを教えてください。
吉成さん:持ちやすさと使いやすさです。「形がきちんとしている箸であれば、自然と正しく持つことができる」と信じているので、そういった思いを込めてつくっています。
―なるほど、箸職人ならではの矜持を感じます。
吉成さん:持ちにくかったり、食べ物がつかみにくかったりするから、変な持ち方になってしまうと思うんです。だから、箸のつくり手としては、小さな頃からきちんとしたものを使っていただきたいですね。
シリーズは4アイテム。「手になじむ先角の天然木箸」の特徴とは?
―今回登場する〈手になじむ先角の天然木箸〉シリーズの特徴を教えてください。
吉成さん:共通する特徴としては、先端を丸く仕上げるのではなく、「先角(さきかく)」という名の通り四角に仕上げています。先が丸いと食べ物をつかむときに滑ってしまいがちですが、面があることでつかみやすくなるんです。こちらは加工途中のもの。先端まで四角になっています。
―塗装はしているんですか?
吉成さん:透明のウレタン塗装を施しています。昔から「拭き漆」の箸は一般的ですが、漆を塗ると木の色が黒っぽくなってしまうので、木の魅力が半減してしまいます。透明のウレタン塗装であれば、木の色をそのまま生かせて、しかもお手入れも簡単です。
―ではシリーズ4アイテムのご紹介を。まずは〈胴張り・ココボロ〉から。
吉成さん:こちらは「胴張り(どうばり)」といって、四角ではありますが、角を残しながら膨らんだ形になっているのが特徴です。この「胴張り」が東京の木箸の基本といえます。
―丸みを帯びた四角といったところですね。「ココボロ」は素材としてどんな特徴があるんですか?
吉成さん:中米原産の赤褐色の木で、縞模様の木目も特徴的です。とても油分が多く、おそらく材料としては1番か2番くらいに重いです。
―さらに赤みを帯びているのが〈削り・紫檀〉ですね。
吉成さん:こちらは先ほどの「胴張り」の形状から手にフィットするように削りを入れた、波打つような形状が特徴です。「胴張り」で残していた角を落としていった感じですね。
―ランダムに削っているわけではないんですよね?
吉成さん:感覚の部分も大きいですが、決してランダムではなく、左右どちらの手でも使えるようになど計算して削っています。後ろの部分もちょっと尖らせていますし、これはとにかく「削り」の技術を見てほしい箸ですね。
―「紫檀(したん)」はどんな素材ですか?
吉成さん:黒檀(こくたん)と鉄刀木(たがやさん)」とともに木箸づくりにおいて銘木と呼ばれる素材で、黒檀と対になる赤い素材です。特徴としては重くて耐久性があり、硬いです。
―では続いて〈八角・黒鉄木〉を。こちらは名前の通り、八角形なんですね。
吉成さん:カンナで仕上げて八角形にしています。面が多くて手に馴染むので、誰でも持ちやすいと思いますよ。「黒鉄木(くろてつぼく)」も、とても重くて丈夫な素材です。
―八角にするのは大変なんですか?
吉成さん:今回の4種類の中では一番大変ですね。こちらも元となるのは「胴張り」の四角の形状で、そこから面を増やして八角にするので、削る量が多いんです。しかも、バランスが崩れると全く美しくなくなるので、なおさら気を使います。
―なるほど、職人の腕の見せ所ですね。では最後は〈四方面・つげ〉を。
吉成さん:こちらは他のものよりも細身で、とても軽くて扱いやすいのが特徴です。軽い箸を探している方にはおすすめですね。形状としては、「胴張り」の膨らんだ部分を平らにした感じです。
―「つげ」というと「つげ櫛」の印象が強いですが、箸でもよく使われるんですか?
吉成さん:そこまで珍しいというわけではないです。今回に関しては、4種の色合いのバランス的にどうしても入れたく、シリーズに入れました。
木箸はどうやってつくられるの?使い方のアドバイスも聞きました
―木箸づくりの工程を簡単に教えてください!
吉成さん:ではちょっと実演しながら。まずは木材のブロックを電動ノコギリで裁断して、箸の原型となる四角い棒「小割り」をつくります。
年季の入ったこちらの電動ノコギリは、先代の手づくりなんだとか。
吉成さん:まっすぐではなく、添え木を当てながら斜めに裁断することで先細りの形状にします。実はこの作業が一番大事なんです。ここで形が整っていないとその後が上手くいきませんから、すべてのベースとなる作業ですね。木材もどの部分でも使えるわけではないので、節の位置や目の向き、割れや乾燥具合などを見極めて、使える部分だけを選別しながらこの作業を行います。
―はじめの作業が肝心と。そこから形を整えていくんですね?
吉成さん:はい。その「小割り」を、まずは面をつくる用の電動ヤスリを使って「胴張り」の形状にしていきます。
箸の面を押し付けるようにして全体を整えていきます。
吉成さん:続いて、今度は成形用の電動ヤスリを使い、箸のタイプに合わせた削りの作業を。平らな面に関してはカンナをかけて仕上げます。
こちらは成形用の電動ヤスリ。当てる角度や力加減など、職人の技と感覚で絶妙な形状を生みだします。
こちらもお手製のカンナ用作業台。箸を固定し、カンナで表面をきれいに整えます。
吉成さん:削りが完了して形が仕上がったら、最後にウレタン塗装を施します。
塗料の入った特殊な道具を使用。小さな穴の空いたゴムに箸を刺し、引き抜くと塗装が施される仕組みです。
吉成さん:あとは乾燥させたら完成。大まかにいうと、流れはこんな感じですね。
―こうやって手間をかけて1本1本つくられていることを知ると、より愛着もわきますね。あわせて、お手入れ方法や使い方のアドバイスもいただけますか?
吉成さん:ウレタン塗装が剥げる原因になるので、ガシガシ洗わずにやさしく洗ってください。食洗機の使用はNGです。先端が細いので折れないようにも気をつけてほしいですね。
使い方は、理想をいうと1膳だけでなく複数の箸をローテーションして使い分けてほしいです。例えば、これはラーメン用、これはご飯用、といった感じで。そうすればより長持ちしますし、気分も変わりますし。いろいろ買ってほしいからというのもありますが(笑)
―(笑)今回のシリーズは4種類あるので、使い分けにもぴったりですね!
吉成さん:手づくりならではの味を感じながら、持った感触や色合いなど、自分にぴったりな箸を見つけてほしいですね。
持つことで、使うことで、その違いや魅力を実感できると思いますので、箸にこだわる方にはもちろん、あまり箸にこだわりがないという方にも、お試しいただけたらうれしいです。
おわりに
手にすれば、1本1本に込められた思いやこだわりが、きっと伝わるはずです。木のやさしさと手のぬくもりを実感できる手づくり木箸を、日々の食卓にいかがですか?
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