「もっと、ものを育てよう。」をコンセプトにしたハンズのプライベートブランド〈Hand Marks(ハンド マークス)〉。バリエーション豊かなアイテムラインナップの中から、今回は「波佐見焼」の食器シリーズをご紹介。その魅力や特徴、製品化の背景などについて、製造する窯元にお話を伺いました!
- 【目次】
- 400年の歴史を持つ長崎発の陶磁器「波佐見焼」の魅力とは
- 「すくいやすい」「倒れにくい」その理由と特徴を解説します
- どうやってつくるの?完成するまでの製造工程が知りたい
- "暮らしのレギュラー"に。生活の中で、こう使ってほしい!
400年の歴史を持つ長崎発の陶磁器「波佐見焼」の魅力とは
国産を中心とした産地や素材にこだわったもの、生産者や職人の技術を生かした製品など、安心して長く愛着を持って使い続けられるアイテムを展開する〈Hand Marks〉。そのラインナップのひとつである「波佐見焼」の食器シリーズには、どんなこだわりが込められているのか。製造する窯元、株式会社中善の中尾さんにお話を伺いました。
株式会社中善 中尾さん
―まずは波佐見焼の歴史や特徴について教えてください。
中尾さん:江戸時代に誕生して400年を超える歴史を持つ、日本有数の陶磁器の産地、長崎県波佐見町付近でつくられる陶磁器です。磁器の元となる陶石がこの地域で採れたことで始まりました。
―日本各地に「〇〇焼」が数多く存在しますが、それらとの違いはどんなところなんでしょうか。
中尾さん:産地によって製法に大きな違いがあるわけではないんです。違いと言うと、歴史の中で確立されたスタイル的な部分が大きいですね。"くらわんか碗"と呼ばれていた波佐見焼は古くから庶民向けの日常使いの器でしたが、有田焼や伊万里焼は献上品として使われるなど高級なものとして認知されてきました。
―なるほど。そういった背景がいまでも受け継がれているんですね。
中尾さん:波佐見焼にはわかりやすい特徴がないので、それが逆に柔軟性を生んでいるとも言えます。時代やニーズに合わせて変化していけるのも、波佐見焼のよさかもしれませんね。
―そんな波佐見焼の窯元である中善さんの特徴やこだわりなどを教えてください。
中尾さん:創業は1917年です。波佐見焼の伝統を大切にしながら現代の生活スタイルに必要な感性も取り入れ、"ちょっとよい普通"を提案するというコンセプトのもと、暮らしを豊かに演出するお手伝いができればという思いを込めて器をつくっています。
「すくいやすい」「倒れにくい」その理由と特徴を解説します
―〈Hand Marks〉の4アイテムについて、まずは「最後まですくいやすい」と名付けられた3アイテムの特徴を教えてください。
最後まですくいやすい、シチューのお皿 各1,980円(税込)
最後まですくいやすい、シリアルボウル
大:各1,650円(税込) 小:各1,320円(税込)
中尾さん:特徴は...名前ですべて言っていますね(笑)
―(笑)具体的にはどこが「最後まですくいやすい」ポイントなんですか?
中尾さん:縁に「返し」があることです。この段差があることで、例えば最後のお米一粒をスプーンですくうとき、お皿を持ち上げたり指を添えたりしなくても、格段にすくいやすくなるんです。食べ進んで残りが少なくなってきたときに、より実感できると思いますよ。
―こういう形状の器はこれまでにも製造していたんでしょうか。
中尾さん:以前、試験的につくったことはありましたが、製品化したことはなくて。今回、〈Hand Marks〉のコンセプトにも合うということで、それを製品化しました。段差を上手くつけるのが難しくて、この形状に行き着くまでは大変でしたね。サイズ感にもこだわっていて、それぞれのメニューに合わせた使いやすい大きさや容量をリサーチしながらつくりました。
―では続いて〈倒れにくいマグカップ〉を。
中尾さん:こちらも名前がすべてで、そもそもネーミングありきと言うか...。こういう形のものは他にもありますが、わざわざ「倒れにくい」と謳っているマグはない、ということで製品化しました。
―見るからに安定感がありますね。
中尾さん:ソファのサイドテーブルやテレワークの際のパソコン脇など、そこに置くマグが不安定なのは嫌だというところから始まり、それならどんな形がベストなのかと考えて、末広がりの形に行き着きました。もちろん、持ちやすいハンドルの形状など細かいところにもこだわっています。
―この形状をつくりだすのは難しいんですか?
中尾さん:意外と大変で...。底部分よりも上の口が狭くなっているので、そのままだと成型したときに型から抜けないんです。なので、底部分で石膏型を分割するなど、見た目以上に手間はかかっていますね。
―シリーズ品すべて、カラーもとてもきれいですね。楽しい気分にさせてくれます。
中尾さん:伝統的な呉須色ということでネイビーは入れましたが、パステル系のやわらかさがこのシリーズにぴったり合っていると思います。
どうやってつくるの?完成するまでの製造工程が知りたい
―どのようにつくられているのかも気になります。製造工程を簡単に教えていただけますか?
中尾さん:今回の〈Hand Marks〉のシリーズに限らず、中善の器全般の製造工程を説明しますね。まず原料となる陶石は、濁りのない美しい白磁に焼き上がる熊本県天草市で採石された「天草陶石」です。その陶石を砕き、洗いや磨きをかけていきます。
中尾さん:さらに水簸(すいひ:水でかき混ぜて余分なものを取り除く作業)などの工程を経て生成させ、上質な「陶土」に仕上げます。
右写真はプレスされた「陶土」。石から土になった状態で、焼き物の元となります。
中尾さん:その陶土を石膏型にセットし、機械で器の形に成型して「生地」を完成させます。
中尾さん:その「生地」を900度で素焼きした後、絵付師が手作業で絵付けを施し、表面に釉薬をかけます。釉薬をかけることで、焼くと表面がガラス質になり光沢と強度が上がるんです。
―そこは機械ではなく手作業なんですね。
中尾さん:大量生産のために機械で行う窯元も増えましたが、一つひとつが同じように見えて同じではない"手仕事感"を残したくて、その工程は手作業にこだわっています。そこは中善の器の特徴であり強みですね。
中尾さん:工程としてはその後、釉薬をかけたものを棚に積み上げて窯に入れ、最高約1,300度の高温で15時間かけて焼き上げて完成です。
―完成までにはどれくらいの日数がかかるんですか?
中尾さん:今回の〈Hand Marks〉のシリーズで言えば、陶土を石膏型で成型するのに1日、それを乾燥させて仕上げるのに1日、仕上がったものを素焼きするのに1日。そして釉薬をかけて窯に入れ、窯から出すのが翌日なので、陶土の状態からでも最短で5日ですね。手間も時間もしっかりかけています。
"暮らしのレギュラー"に。生活の中で、こう使ってほしい!
―長持ちさせるための上手な使い方やお手入れ方法を教えてください。
中尾さん:手洗いでも食洗機でも、ご家庭で普通に洗う分には何も問題はありません。パワーのある食洗機や成分の強い洗剤などは、表面のガラス質が研磨されて艶がなくなってしまうことがあるので少し注意は必要ですが。
―保管時に気をつけることはありますか?
中尾さん:水気を含んだままにしないことですね。特に裏側の脚の部分は釉薬がかかっていないので、濡れたままだとカビの原因になります。磁器はほぼ水を吸わないので心配はほとんどありませんが、しいて言うならそれくらいです。
―お客様にはどういった使い方をしてほしいですか?
中尾さん:波佐見焼は日常の器なので、サイズや形が気に入ったらデイリーユースでガンガン使っていただきたいです。そして、できればシリーズで揃えていただければと(笑)
―(笑)食卓も華やぎますし、揃えたくなりますよね。
中尾さん:器に盛らずにそのまま食べられる食料品も便利ですが、ひと手間かけて器に盛るだけで食の時間が豊かになると思うので、この器がそこに一役買えればと思っています。朝はこれ、カレーはこれ、といった感じで、皆様の"暮らしのレギュラー"になれたらうれしいです!
おわりに
使いやすさや日常使いへのこだわりが詰まった、〈Hand Marks〉の波佐見焼シリーズ。色も形も個性的で実用的なこの器を、日々の"暮らしのレギュラー"にいかがですか?
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