「文具祭り2019」監修の高木芳紀さんに、文具にハマることの魅力と愛用の文具を聞いてきました

1月からハンズ各店で開催されている「文具祭り2019」には、もう行きましたか?今回は、その文具祭りの監修をされている高木芳紀さんに、文具にハマったきっかけやお気に入りの文具などを聞いてきました!聞き手は、数多くの文具本の編集を手がける木庭將さんです。

あるとき、文具に癒されている自分に気付いた

木庭:こんにちは。文具に関するさまざまな本やムックの編集をさせていただいております、木庭と申します!今回は、3月31日(日)までハンズ各店で開催されている「文具祭り2019」の監修を務め、私の文具の師匠でもある高木芳紀さんに、楽しくて奥深い文具の世界についてお聞きしたいと思います。高木さん、よろしくお願いします!

高木:よろしくお願いします!師匠だなんてやめてくださいよ(笑)。

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左:高木芳紀(たかぎ よしのり)さん
「文具朝活会」「文具祭り」主催者。扶桑社『文房具屋さん大賞』審査員長。商社、文具店勤務を経て、ノベルティ研究所を設立。文具ファンの裾野を広げるべく、2012年より毎週金曜日に文具朝活会を継続、だいたひかるさんと年4回文具祭りを主催。新しい文具を企画する株式会社ノウトの代表でもある。

右:木庭將(きにわ まさし)さん
書籍の企画・編集ユニット「choudo」を運営。スペシャリストや職人、ものづくりを極めた人の「おもしろい」を、そのほかの人の「楽しい」に変えることを目標にする編集者。特に、近年勢いづく文具界に注目し数々の文具本を制作していることから、 こちらも"文具(本)編集者"との異名をもつ。

木庭:でも私が文具の世界に入ったきっかけは高木さんなので、本当に師匠ですよ。もう7年くらい前で、まだ私が編集職に就いたばかりの話になりますが、とある講演会に行ったときに、高木さんが壇上にいらっしゃったんですよ。その講演会は文具とは全く関係のないテーマだったので、高木さんが実は文具の方だったなんてあのときは知らなくて。それで講演会後の帰り道でたまたま一緒になって話していたら、「文具祭りというイベントを主催しているからよかったら来ませんか?」と誘っていただいたんですよね。

高木:そうそう、懐かしいなあ。おかげさまで、文具祭りはこれまでに27回も開催させていただきましたが、木庭さんがきてくれたときは第2回とかなり初期のころでしたよね。

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木庭:ご存じない方のためにご説明すると、高木さんが主催されてきた文具祭りは、さまざまな文具メーカーさんとユーザーさんが一堂に会して、文具を肴にご飯を食べたりお酒を飲んだりしながら、好きな文具についてプレゼンし語りあう会なんです。

高木:ちなみに、今回ハンズさんと一緒にやる「文具祭り2019」はその特別版みたいなもので、2月24日(日)には秋葉原UDXを借りてスペシャルイベントも実施します。

木庭:あ、その話はまたあとでしましょう(笑)。高木さんは他にも、毎週金曜日の朝に集まって、好きな文具について語りあう「文具朝活会」など、文具ファンが喜ぶさまざまなイベントを主催してきたんですよね。それほどまでに文具が好きなんですか?

高木:ええ、もちろん大好きですよ!ただ周りには私よりもずっと"マニア"な方々がたくさんいますけどね(笑)。

木庭:「自分は文具が好きかもしれない!」と感じた瞬間ってありましたか?

高木:これはいつからかもう覚えてないくらいずっと使っているペーパーナイフなのですが、ちょこんと突っつくとゆらゆらと揺れるんですよ。それで、仕事の合間にちょこちょこ揺らしてはその様子を見ていたのですが、そのときに「もしかするとこれって文具愛なのかもしれない」と思いました(笑)。

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奥:+d バーディーペーパーナイフ 500円+税
手前:+d バーティーペーパーナイフ(真鍮) 5,000円+税 ※ともに高木さんの私物。

木庭:なぜそのときに文具愛があるのかもと思ったんですか?

高木:ほんのり癒されている自分に気付いたんですよ。それで自分は文具というものを単なる実用品というだけではなく、嗜好品として捉えていることがわかったというか。よく文具に名前をつける方がいらっしゃいますが、それも同じことで、文具をパートナーのように思っているという。基本的に文具は仕事上の利便性というものさしで見るものだと思うんですけど、それ以外の感情が芽生えるような方はかなりの文具好きなのかもしれませんね。

木庭:確かにそうですね。高木さんは以前勤めていた文具店勤務から独立されて、ご自身で文具の企画や開発をしていらっしゃいますが、文具愛の深さゆえに自分でつくりたくなったんですか?

高木:日々色々な文具を見ている中で、ふと文具のアイデアが浮かぶこともあるんですが、文具店で働いていたときはそれを形にする機会がなかったんですよ。それで次第に「自分でつくりたい」という気持ちが募っていって独立した、みたいな感じです。これを文具愛というのかは微妙なところですが。

木庭:本当に文具をつくっちゃうなんてまさしく文具愛に満ち溢れていると思います(笑)。

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かわいくて、使いやすい文具が好み

木庭:先ほどご紹介いただいたペーパーナイフも素敵でしたが、他にはどのような文具を使っているんですか?

高木:色々ありますよ。たとえば、私は普段ふせんやマスキングテープをよく使うのですが、この2つを愛用しています。

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左:ヤマト テープノフセン 320円+税
右:サンスター文具 ラカット 980円+税 ※テープは付属のものとは異なります。
※ともに高木さんの私物。

木庭:まず見た目がかわいいですね!

高木:でしょう!〈テープノフセン〉はカッター付きなのでセロハンテープのように好きな長さできれいにカットできるのが特徴。ラカットも同じくカッター付きなのですが、こちらは底面がマグネットになっているので、デスク周りのスチール部分などにくっつけられるのがポイントです。

木庭:なるほど、便利ですね!

高木:あとはボールペンだと最近出た〈ゼブラ・ブレン〉がいいですね。通常のボールペンだと、ペン先とペン軸の間に僅かな隙間があるので、ほとんど気付かないレベルではありますが、書いていると"ブレ"が生まれているんですよ。ゼブラさんは、そのブレがストレスの潜在的な原因であるとして、ブレない書き心地を追求するためにさまざまな技術をこの1本に詰め込んだんです。

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ゼブラ ブレン 150円+税 

木庭:しかも、それでいてたったの150円という価格も素晴らしいですよね。デザインも洗練されていますし。

高木:あと、シャープペンは〈プラチナ・プレスマン〉をよく使っています。もともと新聞記者さんとかが速記するためにつくられたものなので、0.9と太く、とにかく折れにくいのが特徴。アイデアスケッチとかをガンガンするときに役立っています。よく使っている文具はこんなところでしょうか。

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プラチナ プレスマン 速記用2B 0.9 200円+税 

木庭:文具選びのルールというか基準のようなものはありますか?

高木:最初はかわいいものというか、見た目がいいものを選んでいる節はありますね。そこからは使いやすいものが残っていきます。

木庭:「かわいくて、使いやすい」文具がお好きなんですね。

高木:そうみたいです(笑)。文具にあまりこだわりのない方は、おそらく会社の備品などを使っていると思われますが、そういった文具を使っていてもなかなかテンションはあがりにくい。その点、好きな文具に囲まれていると、気持ちよく仕事ができるので、つい文具選びにこだわってしまうんですよね。

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名古屋の文具屋で買ったというペンスタンド。名前はつけていないとのこと。※高木さんの私物。

アナログ文具の可能性はまだまだ底知れない

木庭:デジタル機器もかなり進歩してきて、たとえば本物の紙に書いているような書き心地のデジタルペーパーとかも出てきてるじゃないですか。そういった、アナログ文具とデジタルが融合しつつある状況についてどう思われますか?

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高木:デジタルがアナログを完全に淘汰するようなことはないんじゃないかと思っています。どこまでいってもやはり本物の紙に書く心地よさは何にも代え難いと思いますし。それに、デジタルが普及している分、アナログのよさも見直されている流れも生まれています。たとえば同じペンでも、書く紙によって、全然書き味が違う訳ですよ。なんだか書きにくいなと思っていても、実はもっと最適な紙があって、こっちだったらすごく書きやすいみたいな。そういう奥深さもあるので、アナログ文具の可能性はまだまだ底知れないと思いますよ。

木庭:なるほど、確かに奥深い...!

高木:そういう意味では、変に持ち上げようとは思っていないですが、ハンズはとても便利だと思っています。特に店頭にいるスタッフさんが皆やさしいですし、知識も豊富なので、とても頼もしいじゃないですか。ペンや紙はとても種類が多いので選んでいてもすぐ悩んじゃうと思うんですけど、そういうときに相談できる方がいるというのは大きいですよ。昔から緑のエプロンは信頼のマークです。

木庭:本当にそうですよね。ええと、ではそろそろまとめに入りたいと思います。今回、文具祭り2019の監修をされている高木さんですが、見どころを教えていただけますか?

高木:そうですね。今は人気のペンを使ってちょっと変わった試し書きをできたり、マステを使って自分の手帳やノートを思う存分デコレーションできたりする、さまざまな文具企画を各店で実施しています。さらに2月15日(金)からはガラッと内容を変えて、一度来た方もまた楽しめるイベントや特集を行います。また、冒頭でちょっとだけ触れましたが、2月24日(日)には秋葉原UDXを借りてリアルイベントも実施します。

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木庭:ハンズクラブの会員で、かつエントリーされた方から抽選で600名だけが参加できるという、かなりスペシャル感があるイベントですね。※受付は終了いたしました。

高木:ええ。内容も本当にスペシャルで、普段はなかなか触れられないような超高級文具を試せたり、あとは数々の文具著名人をお招きしてトークイベントなどを実施したり。一応私もトークイベントに参加させていただきますが、なんだかもう恐縮です。

木庭:そんなこといわずに、監修なんですからぜひ頑張ってください!...ということで、高木さん、本日は楽しいお話をありがとうございました!

高木:こちらこそありがとうございました!また会場でお会いしましょう!

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おわりに

楽しくて深い文具の世界。あなたもぜひ、お気に入りの文具たちに囲まれながら、毎日をもっと心地よく過ごしてみませんか。文具祭り2019は、3月31日(日)までハンズ各店で開催しています!

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