「最近、消しゴム使ってる?」「いや、いつもパソコンに打ってるし、書くとしてもボールペンだから...」そんな重々しい会話が繰り広げられていたのは、ハンズのとある会議室。その場にいた消しゴム担当スタッフは悩んでいました。
ハンズにある個性豊かな消しゴムたちを多くの方々に使って欲しい...でもどうすれば...。
しばしの静寂のあと、あるスタッフが「子どもの頃がいちばん使ってたよね、あの頃が俺にとっての消しゴム黄金期」とポツリ。この何気ない一言がきっかけで、消しゴム担当スタッフの頭の中の歯車がグルグルと動き始めました。
消しゴム担当スタッフに襲い掛かる不安
「そうか!商品のよさを伝えるなら、その商品を実際に使うユーザーさまからのリアルな声を届ければよいじゃないか!通販番組で健康食品を紹介する時に、ご年配のモニターさんが使ってみた感想をお届けするのと同じことだな。そして消しゴムの主なユーザーさまは"子ども"。消しゴムのよさを伝えるために、子どもたちに実際に消しゴムを使ってもらった感想をお届けしよう...!」
スタッフが用意した、ハンズおすすめの消しゴムたち。
あちこちを駆け回って選りすぐりの消しゴムを用意し、あらゆるネットワークを駆使して、ようやくご協力いただける子どもたちにも巡り会えたスタッフ。ですがここで、新たなる不安に頭を抱えてしまいました。
「今どきの子どもたちって、消しゴムにそんな興味あるのか...?こんなに消しゴムを用意しても、全然使ってくれなかったらどうしよう...」
スタッフ(30代)の少年時代と比べて、現代はより多くのおもしろいモノで溢れています。そんな時代を生きる子どもたちに消しゴムを持っていったところで反応が薄いのではと思い、消しゴムに興味を持ってもらえるようなアイデアを用意することにしました。
吉と出るか凶と出るか。「消しゴムドラフト会議」というアイデア
...どれほどの時間が経ったでしょう。スタッフの脳内にパッと閃きが浮かびました。
「その名も..."消しゴムドラフト会議"...!!」
その全貌はこうです。
1.好きな消しゴムを1人1個選んでもらう
1人につき1個という制限を設けることで、子どもたちもどれにしようか真剣に考えるはず。それによって消しゴムに興味が沸き、楽しく消すことにつながるはず!
2.選んだ消しゴムが被った場合はくじ引き
まるでプロ野球のドラフト会議のごとく、当たるか外れるかというスリリングな出来事が降りかかることにより、消しゴムに興味が沸き、楽しく消すことにつながるはず!
以上が消しゴムドラフト会議の全貌...ではありません!忘れてならないのが「何を消すか」ということ。ただ消すだけでは瞬く間にテンションが下がってしまうと思ったスタッフは、さらなる奇策を用意しました。
3.謎の黒丸
真っ白な紙の中央に鎮座するのは、見るからに不気味な黒丸。ただの線や文字ではない、得体の知れないものを消すという非日常的な体験が楽しく消すことにつながるはず!
4.消したら出てくる楽しいイラスト
消しゴムは基本書き間違いを直すための行為ゆえ、消したら何か楽しいものが出てくるというアトラクション性は稀有。そんな非日常的な体験が楽しく消すことにつながるはず!
「ここまであればさすがに消しゴムに興味を持ってくれるだろう...!」
消しゴムスタッフの数十日にわたる不安がようやく影を潜めた瞬間でした。そしていよいよ子どもたちと対面する当日、スタッフは期待とまだ結構残る不安とともに、今回ご協力いただいた施設へと足を運びました。これからの数十分に翻弄されることを知らずに...。
狂い出す歯車
やってきたのは渋谷にある剣道場、「蔵脩館 金王道場」さん。都会のど真ん中にあるとは思えないほどの落ち着いた空気が流れる、昭和42年に創設された由緒正しい道場です。
蔵脩館 金王道場さんのホームページはこちら>>
そして今回の主役は、ここで剣道を習っている子どもたち。保護者様のご承諾を得て、稽古後の時間に集まっていただきました。
剣道着から着替えて道場の一室にぞくぞくと集まってきた子どもたち。
子どもたちは稽古でクタクタなはずですし、玉のような汗をかいた後ですから、着替えているとはいえ時間が経つとすぐさま身体が冷えてしまいます。のんびりやっているヒマはないと、スタッフは消しゴムを机の上にせっせと並べました。
(さあ、舞台は整ったぞ...!大丈夫、大丈夫、あれだけ策は用意してきたんだ...みんなきっと消しゴムに興味を抱いてくれるはず...!)
手のひらに油性ペンで書かれたカンペを見ながら、スタッフは恐る恐る口を開きました。
「み、みなさん、今から目の前にある消しゴムの中から好きな1つをお選びいただきます。まずは...」
『オレはこれ!!!』
え...?
『じゃあボクはこっち!!!』
あ、ちょ...
『わたしはこれ〜!!』
待っ...
恐ろしいほど即座にお気に入りの消しゴムを選んだ子どもたち。
それはあまりにもの一瞬の出来事で、呆然としたスタッフはかろうじて「え、選んだ消しゴムをカメラに向けてください...」くらいしか言えませんでした。なんと情けない。
(消しゴムに子どもたちが興味ないなんてまるで杞憂...!それはそれでうれしい誤算だけど、このままじゃ消しゴムと子どもたちのパワーに飲み込まれてしまう...立て直さなければ...!)
「じ、じゃあ次に、この不思議な黒丸をみんなで消してみよう!気になるよね、この黒丸、気に...なるよねえ?」
黒丸を囲うお子様たち。
『気になる!だから消す!!うおおお!!!』
「待って待ってまだ段取りが...」
『すごい!いつもよりめっちゃ消える!!』
「ち、ちゃんと比較してくれてありが...」
『あ、富士山!!』
「そう、それは消していくと富士山が出てくる変わりダネで...」
『消しカスで頭がフサフサ〜(笑)』
「それはおじさんのヘアスタイルの変化を楽しめて...」
『ん?なにこれ!?豆腐!?』
あっという間に姿を表すイラスト。力強く消しすぎてイラストの印刷までも若干消えている。
「それは擬人化されたマシュマロなんだ...」
『もっと消したい!!違う消しゴムも使ってよいですか!?』
「そんなにキラキラした目で言われると...うん、OK!使ってみて...!」
『もっと消したい!!まだ黒丸ありますか!?』
「ごめん、もうこれ以上はなくて...」
『残念...!でもたくさん消せて楽しかったです!!ありがとうございました!!』
「こ、こちらこそ本当にありがとうございました(なんなの!?消しゴムって子どもたちのテンションをここまで爆上げさせるものなの!?)」
こうして、スタッフの想像をことごとく上回る数十分の幕が閉じました。
その場にいた剣道の先生もこの表情。
結論:どの時代でも消しゴムには、人々を魅了する力がある
「消しゴムを見る前まではあれだけ落ち着いていた子どもたちが、出会った瞬間にあそこまで元気になるとは...」
あれから数日後、スタッフは消しゴムが持つポテンシャルに改めて驚いていました。
「"もっと消したい"と言っていたのにはびっくりしたなあ。完全に消しゴムのことをみくびっていた...消しゴム担当なのになんと恥ずかしい...」
と、ここでスタッフは1つの誤解に気付きました。
「そうか、消しゴムだってより便利に、より楽しく使えるように進化してきたんだ...。そんな当たり前のことになんで気づかなかったんだろう...。いつの時代だって、すぐれた消しゴムは子どもたちを、いや大人たちでさえも魅了する。たとえばこの〈クリアレーダー〉。"青いケースの消しゴム"として親しまれるレーダーシリーズから新たに登場した、透明タイプの消しゴム...」
シード クリアレーダー
大 150円+税、小 100円+税
※人気商品のため、入荷までお時間をいただく場合がございます。
「消したいところが見えるという実用性もさることながら、そのスタイリッシュなデザインが大人気...。文房具の目利きである文房具屋さんが約1,500点の中から"これだ!"という文具を選ぶ『文房具屋さん大賞2020』で"アイデア賞"を受賞しただけのことはある...!子どもたちも、"透明だ!!"って驚いてたもんなあ」
「『文房具屋さん大賞2020』つながりで言えば、"消しゴム賞"を受賞した〈トンボ鉛筆・MONO TOUGH(モノタフ)〉だってすごい...。
世代を超えて愛される〈MONO〉シリーズの進化系。新配合の生地と独自形状のナナメスリーブで、ただでさえ強かった〈MONO〉がより折れ・割れ・カケに強くなった...。お母さんたちも、子どもたちはせっかく買った消しゴムもすぐに折ったり割ったりしちゃうから、折れにくい消しゴムは気になるっておっしゃってたし」
トンボ鉛筆 MONO TOUGH 100円+税
「他にも、先ほど子どもたちが注目していた、一見ただの消しゴムなのに消していくと富士山のような形になっていくのがおもしろい〈富士山消しゴム〉や、消しカスを磁石で集めることでおじさんのヘアスタイルが変わる〈オジケシ〉、など、人々の心を動かすアイデアやこだわりが詰まった進化系消しゴムがたくさんあるんだよな...」
左:プラス 富士山消しゴム 200円+税
右:クツワ おじケシ 280円+税
子どもたちに消しゴムを使っていただいて得た結論は、"どの時代でも消しゴムには、人々を魅了する力がある"という、スタッフの予想を裏切るものであり、同時にいつのまにか忘れてしまっていたことでもありました。
「なんだか、子どもたちに教わっちゃったなあ。僕も消しゴム担当スタッフとしてまだまだ未熟...。あの子たちに垣間見た、あの燃えたぎるようなパワーをもって消しゴムと向き合って、その魅力を多くの人々にお届けしよう...!そのパワーに応えるだけのポテンシャルが、消しゴムにはあるはずだから...!」。
わたしたちは、消しゴムのことをみくびっていたのかもしれない。(完)
<子どもたちに試していただいたその他の消しゴム>
上段、左から:
ヒノデワシ まとまるくん 100円+税
三菱鉛筆 アディダス消しゴム 各130円+税
ぺんてる スマッシュ消しゴム 100円+税
下段、左から:
サカモト 袋入り消しゴム 各200円+税(一部店舗のみの取り扱いです)
コクヨ リサーレ 各120円+税
おわりに
「ここ数年、いや数十年、消しゴムを使ってない」という大人のみなさんから、消しゴム黄金期を迎えている子どもをもつ親御さんまで、ハンズには人々を魅了する消しゴムがたくさんあります。ぜひご家族やご友人と一緒に、令和を代表する進化系消しゴムをチェックしてみてくださいね!
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