【集中連載 Vol.05】あなたも知らずにやっている!?スーツケースの伝道師が絶対に伝えたい「かわいそうなスーツケースたち」

突然ですが、皆さんは東急ハンズに"スーツケースの伝道師"がいることをご存知でしょうか?今回は、前回に引き続き、伝道師に導かれてやってきた、スーツケースブランド「シフレ」さんの越谷本社・物流センターからお届けします。

目次
1. 約9割の故障が直るのは、スーツケース愛あふれる職人たちがいるから
2. 伝道師が熱さ多めに語る「かわいそうなスーツケースたち」
3. まだまだ語られる、「かわいそうなスーツケースたち」
4. 愛があるゆえに仕事には厳しい、スーツケースの伝道師

約9割の故障が直るのは、スーツケース愛あふれる職人たちがいるから

--スーツケースの伝道師さん、そして案内役を務めていただいているシフレ社の白石さん、前回に引き続きよろしくお願いします。
佐藤:よろしくお願いします!本当にここはワンダーランドですよね!
白石:こちらこそよろしくお願いします!ワンダーランドはいくらなんでも言い過ぎな気がしますが、喜んでいただけて嬉しいです!

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"スーツケースの伝道師"を自称するバイヤーの佐藤宏樹さんと、株式会社シフレの営業一部 副主任の白石美菜さん

--前回記事をご覧いただいていない方にお伝えすると、私たちは今、シフレさんの倉庫にきています。決して遊園地などにきている訳ではございません。
佐藤:でも私的には遊園地並み、いやそれ以上に楽しいですよ!!

--...遊園地とはまた毛色が違いますが、普段見ることのない裏側を見られて面白いですね。
白石:ありがとうございます!あと、倉庫内には壊れたスーツケースを修理するところもあるので、そちらをご紹介いたします。
佐藤:楽しみだなあ!!

--(改めてテンションがすごい...)。

白石:こちらです!
??:こんにちは!

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白石:業務課で修理を担当しています、山本光一主任です。
山本:伝道師さん、いつもお世話になっています。
佐藤:あ、こちらこそいつもお世話になっています!

--伝道師さんて...。しかし佐藤さん、山本さんとは初めてお会いする様子じゃなさそうですね?
佐藤:ええ、山本さんにはこれまでに何度か、弊社のスタッフ向けにスーツケースの修理対応の方法などの勉強会をお願いしていたこともありますから。

--なるほど!

佐藤:せっかくなので、修理のエキスパートである山本さんに、スーツケースがどういう時に壊れやすいのかを教えていただきましょう。
山本:では少々お時間をいただければと思います。『伝道師』さんの前でレクチャーするのは恐縮ですが(笑)。
佐藤:何を笑ってるんですか(笑)。

山本:さて、スーツケースが壊れる場所でまず多いのがキャリーバーの部分です。例えばキャリーバーを出しっ放しにした状態でスーツケースを倒してしまうと壊れてしまうことが多いですね。一般的なキャリーバーは短めのバーを複数つなげているのですが、そのつなぎ目の部分が比較的衝撃に弱いんです。

--バーの種類によっても耐久度は違うのですか?
山本:ええ、バーには太くて頑丈なものもありますよ。

--なぜどのスーツケースもそのタイプのバーにしないのですか?
山本:そのバーは強い代わりに重いんですよ。
佐藤:スーツケースはやはり軽い方が使いやすく、お客様からも人気なのですが、その分あらゆる部分に軽量化を施していて、バーも例外ではありません。
山本:佐藤さんの言う通りで、軽さを取るか、頑丈さを取るか、その塩梅がとても難しいんです。軽いからといって極端に衝撃に弱いという訳でもありませんが、なるべく倒さないように気をつけていただければと思います。

--なるほど。

会長:ちょっと失礼。
佐藤:大島会長!ご登場がいつもいきなりですね。
※シフレ社の大島会長とのお話はVol.4をご覧ください

--会長...あの、何を...?

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ガンッ!ガンッ!

--会長!?

会長:ね!スーツケースの表面はそう簡単には壊れないんですよ。
白石:デモンストレーションありがとうございます。

--そういう話の流れでした!?

佐藤:なんとなくその説明だろうなとは思いましたが、突然すぎません(笑)?
山本:会長が本気で叩いても割れないように、ボディの部分は飛行機の窓に採用されているポリカーボネートやABS樹脂などを使っているので、滅多なことでは壊れません。ただ、キャスターが付いている部分は注意が必要です。弊社ではキャスター部分にも確かな耐久性があるかどうかをチェックする独自の基準がありますが、例えばたくさんの荷物を入れている時に大きな衝撃を与えてしまうと壊れてしまうこともあります。
佐藤:荷物を入れすぎたがゆえに起きがちなこととしては、ジッパーのトラブルもありますよね。
山本:ええ、スーツケースからものを取り出す時は、まずジッパーを全開の状態にしていただきたいんです。全開でない状態で出そうとするとジッパーが壊れることはよくあるんですよ。

--確かに、つい面倒だから、ジッパーを開けきっていないのに中身を取ろうとしてしまうことはある気がします。

佐藤:ただ、まだ荷物がそれほど多くない時は、全開でなくてもそれほど壊れることはなくって。でも荷物をたっぷり入れてから、同じ要領でケースを開けようとすると、重みによってジッパー部分の生地が破れてしまうんですよ。
山本:ここでは修理を受けたスーツケースのうち約9割は直せますが、ジッパー部分の生地が破けてしまうとご対応が難しくなってしまいます。ですので、面倒かもしれませんがジッパーをまず全開にしてからスーツケースを開けることは心がけていただきたいですね。他にもロックを解除する暗証番号を忘れたので所有者が泣く泣く壊したり、ストッパーをONにしたまま引きずってしまったりと、スーツケースが痛んでしまう原因は色々ありますが、主にはこういったところでしょうか。

--気をつけよう...。ちなみに、山本さんが修理をしていて特にやりがいを感じるのはどういった時ですか?
山本:ボディのフレーム部分が曲がってしまっている時に、それを専用の工具を使って叩いて直すのですが、それは経験がモノを言うので、上手く直った時は「やった!」と思いますね。
佐藤:ああ、やっぱり!!
山本:わかりますか!!

--マニア心がつながった...。

佐藤:山本さんのようなスーツケース愛がすごい職人の方々がいるおかげで、ほとんどの故障はここで直せるんですよ。お客様からしてみれば、さぞ安心ですよね。
山本:『伝道師』さんにそう言っていただけて光栄です(笑)。
佐藤:だからなんで笑うんですか!

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伝道師が熱さ多めに語る「かわいそうなスーツケースたち」

--山本さんのお話、とても勉強になりましたね。

佐藤:山本さんのお話を聞いていたら、私もスーツケースの故障事情について語りたくなってきました。これ以上山本さんにお時間をいただくと、お客様の大切なスーツケースを直すという本業に差し支えが出てしまうので、ここからは私がご説明しましょう。
白石:さすが伝道師、お気遣いありがとうございます、では一度倉庫を出ましょうか。

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佐藤:ああ、楽しかった...!さて、山本さんから受け取ったスーツケースへの熱い思い、私が引き継ぎます!

--知らぬ間に受け渡しがあったんですね。

白石:私も知らなかったです。
佐藤:...さて、私がお伝えしたいのは、かわいそうなスーツケースたちについてです。

--かわいそうなスーツケースたち?

佐藤:そう、白石さんはわかると思うけど、ふと街中を見てみると、間違ったスーツケースの使い方をしている方がとても多いんですよ。
白石:そうですね。本当に多いです。
佐藤:間違った使い方をしていると、当然壊れやすくなってしまいます。だから私は、そんなスーツケースを目撃する度に「ああ、なんてかわいそうなスーツケースなんだ...!」と思わず目を背けたくなります。

--...なるほど。例えばどういった使い方ですか?

佐藤:まずは、これ。おそらくほとんどの方がこの使い方をしたことがあると思います。白石さん、大変心苦しいだろうけど、やってみてあげてください...。
白石:はーい。

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--え、これ間違ってるんですか!?

佐藤:そうですよ!!知らなかったの!?
白石:まあでも無理もないですよね。TVドラマとかだと大体この持ち方ですからね。
佐藤:まあねぇ。しかも、4輪のスーツケースはダメだけど、2輪なら正しい持ち方っていうのが誤解を与えているのかもしれない。いかんせん持った時の見栄えが良いからTV番組とかでこうする気持ちもわからなくもないけれど、この「バックハンドグラブスタイル」は4輪のスーツケースでは極力控えて欲しいです。4輪では走行しにくい、舗装状態の良くない道などで一時的にということなら仕方ないのですが...。

--そうだったのですね、以後気をつけます...。ちなみに「バックハンドグラブスタイル」という名称はスーツケース業界ではよく知られているのですか?

佐藤:知ってますよね、白石さん?
白石:え...いや。
佐藤:まあ無理もないか。私が最近考えた名前だから。
白石:おどかさないでくださいよ!
佐藤:あ、ごめん。

--で、正しい持ち方はどうするんですか?

佐藤:正解はこれです。

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白石:4輪を全て地面に付けるのが正解です。4輪なのに2輪のスーツケースのように使うと、磨耗の具合がバラバラになってしまうので、力のかかり方がバラバラになってしまい、あちこちに負担がかかってしまいます。
佐藤:その通り。もっと言うと、キャリーバーは手前のコーナー側を持って押し出すようにすると安定して進めることができます。なお、この名称は「ウォーキングドッグスタイル」と言います。

--なるほど。ちなみに「ウォーキングドッグスタイル」という名称はスーツケース業界ではよく...。

白石:お察しください。
佐藤:早めに潰してきた(笑)。

まだまだ語られる、「かわいそうなスーツケースたち」

佐藤:救済すべきかわいそうなスーツケースたちはまだまだいるんですよ。次は海外から日本に訪れている外国人の方々によく見られるケースです。こんな風に。

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--ああ、確かに駅とかでよく見ますね。

白石:これはとても危ないですよね。
佐藤:そう。これを私は「ビッグバンショッピングスタイル」と呼んでいるのですが、その名の通り(?)、いわゆる爆買いをして荷物がとても多くなった方は、スーツケースを2台使ってなんとかまとめようとするんです。ただ。本来スーツケースはこのように重ねて使うものではないのでバランスがとても悪い。しかも荷物がたくさん入って重くなっている状態なので、道を曲がる時や電車の乗降時などに、のせているスーツケースへ強い遠心力がかかって落ちてしまう危険があります。

--ともすると大事故にもなりかねませんね...。

白石:特に都心部では人もたくさんいるのでより危険です。スーツケースの中には他のスーツケースのキャリーバーに引っ掛けられるように出来ているタイプもあるので、このように使う方は専用のケースをお使いいただきたいですね。
佐藤:続きまして、階段を上がる時にやってしまいがちなこちら。白石さん、お願いします。
白石:はいっ!

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--これもダメなんですか!?

佐藤:ダメです!つい面倒だからキャリーバーをつかんで引っ張るように運んでしまいがちですが、バーが曲がってしまう恐れがあるのでやってはいけませんよ。

--知らなかった...。

佐藤:この姿は私の目にはスーツケースが悲鳴をあげているように写るんですよ...。見ていて本当に辛い...。なので私は「痛てててスタイル」と呼んでいます。

--急に名称のテイストが変わりましたが...。

佐藤:細かいことは気にしないの。で、正しい持ち方はもちろんこれです。

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佐藤:きちんとバーをしまって、グリップを持って運んであげてください。そうすれば、せっかくお買いあげいただいた、愛着のあるスーツケースが痛い思いをしなくて済みますから。ちなみに、正しい持ち方の名称は...えっと...。

--浮かばないならいいですから!なんかもう逆にわかりづらいし!

佐藤:え、あ、そうですか(笑)。じゃあ、「ちゃんと持ち」という感じで。
白石:諦めましたね(笑)。

愛があるゆえに仕事には厳しい、スーツケースの伝道師

--「かわいそうなスーツケースたち」シリーズは以上ですか?

佐藤:まあ、今日はこれくらいにしましょう。一台でも多くのかわいそうなスーツケースたちが救われますように...!
白石:ありがとうございます。

--そういえばお二人は普段もよく一緒にお仕事をされているのですよね?

白石:そうですね、佐藤さんにはいつもお世話になっています!

--佐藤さんの第一印象はどうでしたか?

白石:実は前々からスーツケースの伝道師としての評判は耳にしていて、自分の中で勝手に、仕事にとてもストイックでちょっと怖そうだと想像していたんですよ。
佐藤:そうなの(笑)!?

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白石:はい、でも実際にお会いしてみると全然そんなことなかったです(笑)。ご提案した内容に対する改善点などをズバッと指摘していただけるのでとても助かります。しかも、佐藤さんが実際に使われてのご指摘なので、とてもリアルで的確なんですよ。スーツケースを愛する人ならではの鋭い意見だなぁと思います。
佐藤:白石さんをはじめ、シフレさんはとても発想が豊かなので、一緒に仕事をしていると自分にはなかった刺激をいただけるのでとても楽しいですよ。例えば先ほど「かわいそうなスーツケースたち」でレクチャーしている時に使っていたスーツケースは、グリップマスターという機能を搭載したスーツケースなのですが、これはグリップが上下に付いているという、今までになかった画期的な商品ですよね!

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シフレ エスケープ グリップマスター搭載モデル B5225T-58 52L 27,000円+税

--もう少し具体的に教えていただけますか?

佐藤:このスーツケースは、実際に使ってみるとジワジワと良さがわかってくるシロモノなんですよ。例えば、車のトランクから出す時にラクですよね。あとは新幹線の荷台、空港のターンテーブルからも取りやすい。
白石:佐藤さんに言われて確かにと思ったのですが、通常よりも少ない力で持ち運びがしやすいので、この上下ハンドルは特に女性に嬉しい機能なんですよね。なので、佐藤さんにアドバイスをいただいて、もう少し女性向けのデザインのタイプも試作しているところです。

--へえ、そうなのですね!

佐藤:私なんかの意見を参考にしてもらってありがとうございます。
白石:もちろん伝道師のご意見ですから、大いにご参考にさせていただいております。
佐藤:あはははは!
白石:ふふふふ。

--え、何ですか急に?気味が悪い...。

佐藤:いや、シフレさんとはともに良いスーツケースをつくれそうだなと思って!
白石:私もそう思いました!

--すごい熱血モードですが、それは良かったです。

佐藤:ほら見て、夕日が綺麗じゃないですか!
白石:あ、本当だ!外に出てみましょう!

--ちょっと待って!

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佐藤:あの夕日に向かって誓おう。スーツケースと、スーツケースを使う人たちの明るい未来をつくると!
白石:はい、つくりましょう!これからもよろしくお願いします、伝道師!
佐藤:こちらこそ!!!

--(なんだこれ...)。

今回はここまで。シフレの皆さんの熱い思いが詰まったスーツケースをぜひ手にとって、大切に、愛着を持って使ってみてくださいね。次回はいよいよ最終章!あの人気スーツケースブランドの会議室に、スーツケース愛が溢れる猛者たちが集まって...!?お楽しみに!

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