こんにちは!
梅田店 11Fツクル・ナオスのお悩み解決商店・店主の岡田です。
ある日言われました。
「洗面所の蛇口の水がちょっとづつ漏れてんねんけど知っとった?」
「確かにいっつも蛇口のまわりが濡れとんなあ」
「何とかしてぇや」
「部品交換したら何とかなるんちゃうかー、知らんけど」
その時は蛇口の中の部品を交換すれば直ると思って安易に考えていたのですが、これがこんなに苦労する事になるとはこの時は思っていませんでした。
今回は過去のブログの中で一番苦労しました。
やったことは蛇口の中の部品を取り替えただけなのですが、20年以上使ってきた蛇口は固着していて簡単には分解できませんでした。
何度も「これ以上やったら壊れる~!」と思う場面がありましたが、DIYの神のご加護があったのか、幸運にも壊れることなく修理できました。
ですので今回は「ぜひやってみてください!」というお話ではなく、「こんな大変な経験をしました」というDIY苦労話として読んで下さい。
たまたまウチの混合栓がものすごく手ごわいタイプだったようで、専用の外し工具も必要なやつだったからというのもあるのですが、 20年以上使った蛇口の修理は想像以上に苦労しました。
「混合栓」と言いましたが、正確には「シングルレバー混合水栓」の事で、レバーのみで水を出す、止める、温度を調節する等の操作ができる蛇口(水栓)の事で、 台所や洗面所でよく使われています。
お風呂によくある、左側に温度のダイヤルがあるタイプは「サーモスタット混合水栓」と言います。
水道関係で言う「カートリッジ」とは、シングルレバー混合水栓の中に入っている部品で、温度や水量を操作する大切な部品です。
水漏れや動きが固くなった等のトラブルはこの部品の劣化が原因の大半です。
パッキンを変えることで水漏れが直る場合もありますが、ウチの水栓はもう20年以上使っているので、カートリッジを交換することにします。
カートリッジは水栓によって違うので、まず水栓の型番を調べます。
メーカーもわからなかったのでいろんなメーカーのHPを探して、KVK社のHPでウチの混合栓を見つけました。 元々は水栓の型番のシールが貼ってあったと思いますが、無くなっているので画像から調べるしかありません。
型番は「KF308(A)」の様です。
本体は販売終了ですが、カートリッジはまだあるようです。⑥のパーツです。
カートリッジは専門的な部品で種類も多いのであまりお店で売っていません。あちこち探しましたが、ありませんでしたのでネットで取り寄せしました。 届いた中身はこんな感じです。
作業開始です。 作業開始の前に、水を止めなければいけません。
下に止水栓があるので締めなければいけませんが、20年以上ハンドルを回したことが無いのでむちゃくちゃ固かったです。 パッキンか金属自体が固着していたのかもしれません。
どうしてもここで水を止められなければ、無理は禁物です。無理しすぎて水道管を壊してしまうと取り返しがつきません。
その場合は家の外のメーターボックス近くにある大元の水栓を締めます。 ここを止めると家全体の水道が出なくなります。
家の中の事故で水が止まらなくなった場合はここ閉じれば水を止められますので、場所を覚えておくことは危機管理上とても大切です。
水が止まったら交換作業開始です。作業時には金属製の工具や部品を使うので、洗面器が割れないように必ずタオル等を置いてください。
ハンドルから順番に外してゆきます。ハンドル後ろのスキマにマイナスドライバーを入れてキャップを外します。
種類によっては強く引っ張るだけ、なんて物もあり外し方は様々です。
ネジの頭が出てくるので外します。このネジはゆるみ止めが入っているネジなのでとても外しにくいです。
ネジの頭をなめる(ネジの頭の溝を潰してしまう)と外せなくなりますので、サイズがあっているドライバー(2番のサイズ)の精度の良いやつを使って慎重に外します。
ハンドルが取れたら、本体の筒状の部品「カートリッジ締め付けナット」を外します。
ここからが苦労の始まりでした。
このナットが固くて緩みません。
力を入れて回すと本体ごと回ってしまいます。 輪ゴムを巻いて滑り止めにしたりしましたが手では押さえきれませんでした。
本体が回ると下の給水管がねじれて外れたりして大変なことになります。
説明書を読んでみると、本体が回らないように止めておく為の専用の工具があることが分かりました。
「取り外し工具(別売り:G26)で固定しながら行うと便利です」と書いてありますが、 便利ですじゃなくて、この工具が無ければナットを外せないじゃないですかKVKさん。説明書をよく読まなかった私も悪いのですが。
もう何だか嫌になったので元に戻してこの日は終了です。
元に戻すとまた水が漏れてきました。戻せただけマシと思って寝ます。
後日何件かお店に電話して、この別売り工具のG26を入手することが出来ました。
こんな風に水栓本体(下部)を動かないように止めて、上部のナットを回します。
ところがやっぱり回りません ものすごく固く締まっているのか、錆び付いているのか、パッキンが固着しているのか。
いくら強く握って回してもゆるみません。プライヤーがずれるので金属どうしが擦れてナットの角が削れてきました。これは非常にまずい。
しかも全力でプライヤーを回したときにプライヤーが外れてメガネに当たり、レンズにキズが入りました。 直接目に当たらなくてよかったです。
(自分でやっていて言うのも何なんですが、力まかせに工具を使ってはいけません、工具や部品を傷める原因になり危険ですのでやめましょう)
何だか嫌になったのでまた元に戻してこの日は終了です。
元に戻すとまた水が漏れてきました。戻せただけマシと思って寝ます。
後日工具売場でどうするか考えました。 固着したナット、しかも36ミリのサイズの巨大なナットを回す為にはどうするか。
ネジを外す裏ワザのバーナーで炙ったりもできない。CRC5-56潤滑スプレーもしましたが、水栓内部は水でいっぱいなので浸透しないでしょう。
色々考えて、でっかいモンキーレンチとしても使えそうでモンキーレンチより丈夫なモーターレンチを買いました。
さてこれでナットは緩むでしょうか。 さすがモーターレンチ。どんなに力を入れてもしっかり掴んでナットの角が削れるようなことはありません。 これで力勝負で全力で回すことが出来ます。
(自分でやっていて言うのも何なんですが、力まかせに工具を使ってはいけません。工具や部品を傷める原因になり危険ですのでやめましょう)
腕の力を入れやすい方向にレンチの向きを変えていろいろ試しましたがどうしてもゆるみません。
仕方がないので、衝撃を加えて固着を外すために金属のごつい棒でレンチを叩いて緩めることにしました。
(自分でやっていて言うのも何なんですが、そんな無茶な工具の使い方をするのはいけません。工具や部品を傷める原因になり危険ですのでやめましょう)
両手で工具を持ちながら金属棒で叩くのはさすがに一人ではできないので、叩くのは手伝ってもらうことにしました。
「もう諦めた方がええんちゃう?どっかに修理頼んだら?」と言われ、「それもそうやな」「いや、ここでやめたら今までの苦労が・・・」とギャンブルで負けた分を取り戻そうと、さらにつぎ込む人みたいになりながら工具を緩める方向に全力で力を入れ、金属棒で弱めにコツンコツンと何度も何度も根気よく叩いてもらいました。
あきれられながらコツンコツンと叩き続けてもらう事約5分、ついにナットが少しづつゆるみはじめました!
少しゆるめれば後は簡単です。ようやく外すことが出来ました! 思わずへたりこんでしまいました。
ナットを外した土台のネジ部分はやはりかなりサビていました。 そして見落としていた「KVK」のメーカー名の刻印を発見しました。
分解さえできれば取り付けは簡単です。 新しいカートリッジの「前」と書いてある方を手前にして取り付けます。
水を出してテストです。 水漏れはしていません!修理できた!
長い闘いが終わりました。壊れなくてよかった。
これは交換した20年以上使っていた混合水栓のカートリッジの裏面です。
何だか笑っているおじいちゃんに見えます。 「ようがんばったのぉ」と言っているかのようです。
おじいちゃんこそ20年以上ありがとう。
水道関係の補修は、水漏れの危険があり被害が甚大になるケースもありますので、DIYの中でも特に慎重さが求められますのでくれぐれもご注意ください。
自分でやっていて言うのも何なんですが今回はかなり無理なことをしているので、決して同じような事はしないで下さいね。
やらないで下さいと言われると、かえってやりたくなる方もいらっしゃるかもしれませんが・・・
最後までお読みいただきありがとうございました。
過去の【梅田店】ツクル・ナオスのお悩み解決商店のブログはこちらです。 https://hands.net/hintmagazine/11f-umeda-staff/