【連載】文房具への異常な愛情〜Story02.「コクヨ」にて、ノートは体感するものだと悟る〜

元クレイアニメ作家で輸入文具店で働いたのちに東急ハンズにやってきたという異色の文房具バイヤー大島が、愛のあふれる独自の視点で注目の文房具をご紹介していく連載企画。第2回目の今回は〈コクヨ〉の新シリーズ〈ペルパネプ〉をクローズアップし、商品企画担当者との対談形式でその魅力と特徴をお伝えします。細部にまで至るこだわりとクオリティに、思わず大島も唸る!?

連載第1回目「【連載】文房具への異常な愛情〜Story01.個体差とか無駄って最高ですよね〜」はこちら>>

連載2回目の今回、やってきたのはコクヨのオフィス!

―大島さん、こんにちは。連載も2回目を迎えましたが、今回はどんな文房具を紹介してくれるんですか?

大島:今回は〈コクヨ〉さんから登場した新シリーズ〈ペルパネプ〉を取り上げたいと思います。

―〈コクヨ〉と聞くと、日本メーカーの定番アイテムというイメージがありますが、輸入文具やちょっと変わった文房具が好きな大島さんがなぜこのチョイスを?

大島:この〈ペルパネプ〉シリーズ、なかなか私のクリエイティブ魂と文房具マニア心をくすぐるものだったのです...。居ても立っても居られず、もう直接お話を聞いてしまおうということで、〈コクヨ〉さんのオフィスに来てしまいました。

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東急ハンズ 文房具バイヤー 大島

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清水さん:大島さん...ですよね?

大島:あ、はい、すいません、素敵なディスプレイに見入ってしまって。初めまして、大島です。今日はよろしくお願いします!

清水さん:〈ペルパネプ〉の商品企画を担当している清水です。こちらこそ、よろしくお願いします。

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コクヨ株式会社 商品企画部 清水さん

―では今日は思う存分、大島さんの想いや質問をぶつけてください!

大島:目の前にあるからもう気になっちゃって...。さっそく商品のことを聞いてもよいですか?

清水さん:どうぞどうぞ。

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コクヨ ペルパネプ
ノートブック(左から:SARA SARA、TSURU TSURU、ZARA ZARA) 各990円(税込)
左から:サラサクリップ 143円(税込)、ファインライター 220円(税込)、プレピー 440円(税込)

大島:〈ペルパネプ〉...。響きがめちゃめちゃ印象に残ります。

清水さん:すいません、噛むような名前で(笑)

大島:なんかこう「ペ!ル!パ!ネ!プ!」という破裂音の連続が心理学的に刺さる気がして、私的にはスッと頭に入りました。

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清水さん:ちなみに〈ペルパネプ(PERPANEP)〉という名前は、商品コンセプトの「紙とペンの相性」を表現するために、PAPERとPENのアナグラムになっているんです。

大島:なるほど。コンセプトの話が出ましたが、改めて商品の特徴を教えてください。完成までの経緯も気になります。

清水さん:〈ペルパネプ〉は「紙とペンの相性」にこだわった、3種のノートと3種のペンの新シリーズです。"クリエイティブを刺激したい"という想いが全ての発端で、じゃあそのためにはどうすればよいかと考えた時に、パソコンなどはあくまでもアウトプットの道具であって、インプットやアイデアを発散する時には「書く」という行為が重要だということに行き着いたんです。

大島:その通りですよね。絶対に欠かせません。

清水さん:そして、ひとくちに「書く」と言ってもさまざまなので、それぞれの書き方に合った紙が必要だと。でもそこで、「書く」にこだわるなら筆記具との相性も重要だよね、という話になり。それならば「この紙にはこのペン」という組み合わせの商品をつくろうと。そんな流れですね。

大島:なるほどなるほど。

清水さん:弊社はノートには強いんですが、筆記具は当然ながら筆記具専門メーカーが強い。これまではそれが一緒になって企画された商品は無かったんですが、紙とペンの相性にこだわるなら今回はそこにチャレンジしようということで、このシリーズのペン3種のうち2種は、〈ゼブラ〉さんと〈プラチナ万年筆〉さんの商品を採用しているんです。

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大島:これって、すごいことですよね。メーカーの垣根を越えて、他社の製品を〈ペルパネプ〉シリーズとして販売するわけですから。たとえるならNHKのニュースにテレ朝のアナウンサーが出るような。

―わかるような、わからないような...。でもきっと難しいことなんですよね。

清水さん:これまでメーカーの垣根ってなかなか越えられなかったんです。でも「書く」という行為への注目を集めるためには業界全体での盛り上げが必要なので、他社さんに声掛けさせてもらいました。

大島:革新的というか、みんなが望んでいたことをやってくれたというか。文房具界を引っ張る存在として、さすがです。

清水さん:どのメーカーのどのアイテムを使うかなど、そこには大人の事情も絡んだりでいろいろありましたが...。詳しくは言えませんけどね(笑)

大島:気になる...(笑)

これぞメイドインジャパン!そのこだわりはどこまでも深く

大島:大人の事情はさておき、「この紙にはこのペン」という組み合わせまで絞っているのがすごく面白いですね。

―ノートとペンのセット売りではないんですよね?

清水さん:はい、別々です。「TSURU TSURU」「SARA SARA」「ZARA ZARA」という3種の紙質のノートと、それぞれに適したペン。サイズはA5のみですが、罫線は5種類(3mm方眼罫、4mm方眼罫、5mm方眼罫、4mm方眼ドット罫、6mmステノ罫)あります。

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大島:すごいですね、1mm刻みで。

清水さん:そんなに細かく必要なのか、という声もありましたけどね。クリエイティブを磨くという狙いを考えて、自由に使いやすい方眼ドット罫と中央に線が入ったステノ罫も盛り込みました。

―A5サイズになったのは、何か理由があるんですか?

清水さん:最近の主流がB5からA5になってきているのが一番の理由です。あとはテレワークなども増えてきたので、ノートパソコンの手前に置いて使うこともイメージしています。

大島:私自身もですけど、世の中のニーズもどんどん小型化してますからね。A5だと使い勝手もよいし、持ち運びもしやすいです。

―商品企画はいつ頃からスタートしたんですか?

清水さん:2018年の末頃です。「SARA SARA」以外は新たに開発した紙なので、求める品質をクリアするのに時間がかかりましたね。それぞれ狙った書き味を実現するために、紙自体の重さや手触り、厚みを最適化しました。

大島:たしかに3種類で手触りや厚みが違う。面白いなぁ...。なんだかワクワクしてきますね。

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3種の紙の違いに触れ、ワクワク感を隠しきれない大島。

清水さん:さらにこのノートには大きな特徴があって、開くとフラットになるんです。A5が、開けばA4に。中央に段差もなくほぼフラットに開く、この「フラット製本」の実現にも時間がかかりました。

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開くと段差がほぼなくなりフラットになります。

大島:どういう仕組みなんですか?糸綴じもしてないですよね?よく見ても、どうやってるのかわからない...。

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清水さん:製法は極秘ですが、簡単に言うと背の部分にしか糊が付いていないのでフラットに開くんです。

大島:でもそれだけだとパラパラ剥がれてしまいますよね?

清水さん:そうなんです、普通にやると強度が下がるので、そこは特殊な技術で。それと、製造技術が低いとページ同士の罫線を揃えられないんですが、このノートは罫線がかなりの精度で揃っているのも特徴です。

大島:本当だ!ズレがない。ここまでキレイに揃えるのは苦労しただろうなぁ。

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清水さん:ちょっとでもズレるとキレイじゃないので、フチまで罫線を入れるのはリスクがあるんですが、そこは強いこだわりを持って。横から見ると、断面の線も揃っているのでわかりやすいと思います。もちろん個体差はありますが。

大島:すごすぎます。もはや感動的です。私、連載初回で「海外製品の裁断部分の不揃い感や個体差が好き」という話をしたんですが、これはこれで、さすがメイドインジャパン、「メイドインコクヨ」ですよね。もう、美しいのひとこと。連載2回目にしていきなり矛盾することを言ってすいません(笑)

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もはや笑うしかない大島。

ー言ってましたね(笑)

清水さん:(笑)

大島:いろんな個性があるから楽しいんです!おそらくですけど、このミニマルなデザインも物議を醸したのでは?

清水さん:はい、社内でも賛否両論でした。

大島:違いを表しているのはマークだけですからね。外側のビニールを外したらパッと見ではわからないので、販売する側からすると曲者です(笑)手に取った後に違うところに戻されたら、もう大変...。

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実際に書いてみた。3種の紙とペンによる書き味の違いは?

大島:実際に書かせてもらってもよいですか?

清水さん:もちろん!感想もお聞きしたいです。ではまずは「TSURU TSURU」と弊社の水性ペン「ファインライター」の組み合わせを。

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清水さん:このペンの特徴は、筆圧をかけなくてもインクがにじみ出てスルスル書けるところなので、「TSURU TSURU」の紙と組み合わせると、まるで無重力のように軽い書き心地を楽しめます。

大島:おお〜軽い!滑らかで全くストレスがないですね。

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―紙自体にはどんな特徴があるんでしょうか。

清水さん:ローラーで強くつぶしているので、表面がツルツルの超高平滑です。書いた時に引っかかりをほとんど感じません。でも「ファインライター」だと、滑らかなのに程よく止まるんです。

大島:ツルツルだけど滑りすぎず、インクが吸い付く感じというか。

ーフラットになるのはどうですか?

大島:これは便利ですね。内側ギリギリまで書きやすいし、つなげて書くこともできて、しかもA4サイズになる。書いた内容をスマホで撮る時も中央に影ができないし、コピーも取りやすい。いいことばかりです。

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ほぼフラットになるので、ページをまたいでの筆記もスムーズです。

清水さん:では続いて「SARA SARA」と〈ゼブラ〉さんの水性ゲルボールペン「サラサクリップ」の組み合わせを。

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清水さん:「SARA SARA」は表面に微細な凹凸があり、それによってペン先がちゃんと止まるので図形も文字も書きやすい、一番ベーシックな紙です。「サラサクリップ」は水性ゲルボールペンの中で最も人気のある商品で、誰もが書きやすいペンですね。

大島:王道同士の組み合わせか。「TSURU TSURU」と触り心地は似ていますが...。

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大島:あ〜こちらもいいですねぇ。仰るとおり、少しだけ引っかかる感じがして、硬いペン先だと書き心地もよい。しっかり沈んで、筆圧が活きる気がします。

―正直、そこまで意識したことがないんですが、そんなに違うものなんですね。

清水さん:紙に違いがあること自体に気付いていない方がほとんどだと思うので、この商品がその気づきのきっかけになればと思っています。

大島:比較したくなりますね。試しに先ほどの「ファインライター」でも書いてみようかな。

清水さん:けっこう感触が違いますよ。

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大島:うん、全然違いますね。そして音が違います、書く時のサウンドが。

―書く時のサウンド!?(マ、マニアック...。)

清水さん:やはり気付いてくれましたね。違うんですよね、音が。

―(共感してる...!)

清水さん:万年筆を使う人は音を楽しむとも言いますし。書いている音を聞くことで、心が落ち着いて集中できるという効果もあるそうですよ。

大島:たしかに、それはわかる気がします。

清水さん:では最後は「ZARA ZARA」と〈プラチナ万年筆〉さんの万年筆「プレピー」の組み合わせを。表面に凹凸がありながらも沈みにくい特徴的な紙質には、しなりのある万年筆のペン先がぴったりです。

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大島:どうやってこの紙質を生み出したんですか?

清水さん:これも詳しくは言えませんが、使用しているパルプに秘密があって、表面に凹凸をつくりつつ、しっかりと押し固めることで、ザラザラ感は残しながらも引っかかりが少ない紙質を実現しました。

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―実際に試してみて、それぞれにどんな印象を持ちましたか?

大島:「TSURU TSURU」はパパッと書き留めたり、瞬発力がある感じ。「SARA SARA」はメモというより、一文字一文字をしっかりと書きたい時に。「ZARA ZARA」はフリーダムで、スケッチとか日記とか、ゆっくり時間をかけて愛でたい感じですね。

清水さん:あと表紙にもこだわりがあって、長く使っていただくために、途中で剥がれてしまうことのない単層の厚紙を使っています。しかも古紙パルプを配合しているのでエシカルな要素もあるんです。

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大島:もう抜かりないですね。完璧じゃないですか。なんなら、この表紙ですらすごく書きやすそう(笑)

清水さん:よくお気づきで。実は書きやすいです(笑)

―使う側として、文房具好きとして、リクエストなどはありますか...?

大島:やっぱり、絵を描くのが好きなので無地がほしいですね。

清水さん:そうなんですよね。もちろん無地もつくろうかという話は出たんですが...。

大島:あくまでもノートだから、まずは罫線なんですよね。無地はその次の段階なのかなということで、期待してます(笑)

清水さん:前向きに検討させていただきます(笑)

大島:あとはもう、完成されているので余計なことをしてはいけない気がします。だから何かを変えるのではなくて、付属するものですかね。カバーやインデックスとかで、自分でカスタマイズしていきましょう、という感じで。あと個人的には、あんまり種類を増やさないでほしいなぁ。このサイズのこの形しかない!という方が潔い気がして。

清水さん:多くは話せませんが...今後の展開もいろいろと思案中です。でも今回せっかく他社さんとつながりが持てたので、そこは継続したいですね。

大島:メーカーコラボはぜひ続けてほしいです!タブーを打ち破ってライバル同士が手を組んだドリームマッチ的な面白さが、マニアにはたまりません。

体感しないとわからない!ぜひハンズ店頭で試し書きを!

清水さん:この商品は、やっぱり試し書きがポイントになります。

大島:商品としての追求度や完成度を体感してほしいですよね。当然ながらハンズでも店頭に試し書き用を準備するんですが、池袋店には紙がロールで置かれるんですよね?

清水さん:そうなんです。3種類の紙をロールの状態のまま用意しました。

大島:そういう断裁してない紙、大好きなんですよね。余談ですが、ノートのメーカーさんって、配送時の緩衝材として断裁で余った紙をクシャクシャっと丸めて詰めていることがあるんです。

清水さん:はいはい、ありますね。

大島:そのクシャクシャになった紙を1枚1枚開いて中身の罫線を見たりするのが、すごく楽しいんです。

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―またまたマニアックですね...(笑)

清水さん:いや、ちょっとわかります(笑)

―(また共感してる...!)

大島:裏側的な部分に触れられるというか。この〈ペルパネプ〉からは若干そのニオイがするんですよね。完成されているのに、どこかまだ製作過程のようで。ノートそのものが前面に出ているので、プロダクト好きとしてはそそるものがあります。

―ただのおしゃれなノートではないと。

大島:こだわりっぷりやストイックさが、ものすごいですから。いわば"体感するノート"ですよね。音もそうですし、インクの沈み方、ペン先が止まる感覚などを体感しないと、このよさは絶対にわからないです。

清水さん:実は3種類の書き心地を試せるミニサイズのノベルティも用意しているんです。

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※ノベルティは〈ペルパネプ〉のノートブックをお買い上げの方に先着でプレゼントしています。
※東急ハンズ一部店舗にて3/25から実施中です。
※なくなり次第終了となります。

大島:めちゃめちゃ素敵じゃないですか!サイズは1種類にしろと言いながら、これを見るとほしくなりますね。商品化しませんか?(笑)

清水さん:(笑)

―話は尽きませんが、それでは最後にお聞きします。〈ペルパネプ〉を通してお客様に伝えたいことは何ですか?

清水さん:クリエイティブを磨いてほしい、ということですね。書くことにこだわりを持つと、書くという行為がこんなにも楽しくなるんだということを発信していきたいです。そしてその発見が、世の中を明るくすることにつながればと思っています。

大島:もっといっぱい話したかったです。この続きは、またどこかで。今日はありがとうございました!

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(おまけ)この日の大島のリュックにぶら下がっていた「アウトドア用の付箋」。「アウトドアで付箋って使うのか?」と面白く思い、購入したらしい...。文房具への愛を片時も忘れない、その情熱がこんなところにも。

大島バイヤーの編集後記

大島:ペルパネプ推奨ノートとペンで描いてみました。相性はもちろん間違いないけど、ノートもペンもひとつひとつ個性光っているのがよい。シンプル、無垢な見た目に反しての情熱に感服しました。さすが國の誉れ!

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