革靴を長持ちさせるには正しいお手入れが欠かせません。しかし「難しそう」「上手くできるか自信がない」という理由から、チャレンジできていない方も少なくないはず。今回はそんな初心者さんに向けて、革靴のお手入れ方法を分かりやすくレクチャーします。日々のケアや長持ちさせるコツもチェックして、脱初心者を目指しましょう。
革靴のお手入れの必要性
革靴は履いているうちに傷み、色あせや色落ちが発生します。色あせや色落ちの主な原因は、靴の乾燥です。お手入れせずに履いていると、表面をコーティングしている油分や水分がなくなり乾燥が進みます。色あせや色落ちが発生するだけでなく、そのまま放置するとひび割れてしまうことも。革靴をキレイに、そして長く愛用するためには定期的なお手入れが必須です。
「革靴のお手入れは難しそう...」と思われがちですが、道具を揃えれば初心者でも簡単に始められます。慣れると短時間でできるようになるので、隙間時間を使ったケアも叶うでしょう。
また、革靴のお手入れはプロに頼む方法もあります。靴磨きのプロによるお手入れは有料ではありますが、自分では気づけない傷みや細かな部分までケアしてもらえるので、終わるころにはピカピカに。日常のお手入れは自分で行い、特別な日の前はプロに頼むなど、使い分けてみてもよいかもしれませんね。
革靴のお手入れの頻度
革靴の本格的なお手入れは、2週間から1ヶ月に1回の頻度で行いましょう。汚れや色あせ・色落ちが気になったり、乾燥を感じたりしたらお手入れが必要なサインです。
革靴のお手入れに必要な道具
革靴のお手入れをする際は以下6つのアイテムを用意しましょう。
- ホコリ落とし用:クリーニングブラシ(馬毛)
- 磨き込み用:ポリッシングブラシ(馬毛または豚毛)
- 汚れ落とし用クリーナー
- シュークリーム
- クロス
- グローブクロス
上記アイテムは歯ブラシやタオルなど家にあるものでも代用できますが、確実にお手入れしたいのであれば、この機会に買い揃えることをおすすめします。
「どの商品を選べばよいか分からない」「揃えられるか不安」という方には、上記アイテムが揃った初心者向けのお手入れセットがぴったりです。必要な道具を1度で揃えられる、アイテムごとに購入するよりも価格を抑えられるといったメリットもあります。
コロンブス×ハンズ シューケアスターターセット 各3,740円(税込)
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初心者でも簡単な革靴のお手入れ【5STEP】
初心者でも簡単な革靴のお手入れは以下5つのステップです。実際に革靴を使ってお手入れしていきます。
STEP.1 ブラシでホコリを落とす
STEP.2 クリーナーで汚れと古いクリームを落とす
STEP.3 靴クリームを塗る
STEP.4 ブラシでクリームをなじませる
STEP.5 グローブクロスで磨く
今回、革靴のお手入れ方法を教えてくれるのはシューケアマイスターの高原さん。シューケアマイスターとは、「一般社団法人 日本皮革製品メンテナンス協会」が主催するシューケアマイスター試験に合格した、シューケアに関する知識とスキルを兼ね備えたスペシャリストです。
高原さんからレクチャーを受けるのは、お手入れ初心者の大場さん。革靴を履く機会が増えたものの、やり方や必要なアイテムが分からず、まだ挑戦できていないそうです。
そんな大場さんが、シューケアマイスターの高原さんに革靴のお手入れ方法をじっくり教えてもらいました。
STEP.1 ブラシでホコリを落とす
高原:まずは全体をブラッシングしてホコリを落とします。シューキーパーを使うのがベストですが、無い場合は自分の手を猫の手のようにして、靴の甲の部分を伸ばす感じでグッと入れてください。
大場:こんな感じですか?
高原:はい。まずは毛足の長いクリーニングブラシを使います。
大場:ブラッシングのコツはありますか?
高原:かかとからつま先に向けて、箒で払うように一方向にブラシをかけます。かかと側からつま先側へ縦の動き、甲部分は横の動きというイメージです。細かくではなく、ブラシの面を広く使って大きく動かしましょう。
大場:どれくらい力を入れるものですか?
高原:あまり力は入れず、ブラシの重さを使う程度に留めます。ホコリの溜まりやすい甲や溝などは念入りにやりつつ、全体が払えたらOKです。ホコリで曇っているだけなら、ブラッシングだけでけっこうキレイになります。
大場:普段は自分でホコリを取るくらいはやっていますが、ブラシを使うとこんなに取れるとは。甘かったです(笑)
高原:軽くで構わないので、ブラッシングをマメにやると全然違いますよ!
STEP.2 クリーナーで汚れと古いクリームを落とす
高原:ブラッシングが終わったらクリーナーで靴をキレイにします。クロスを使いますが、握り方にコツがありまして...。まずはふんわりした感触の面を上にして人差し指と中指に乗せ、余った部分を握ります。
大場:む、難しい...。不器用なもので...。
高原:がんばって!握ったらピンと張りながら、ねじるようにして手の平の方に持って行き、親指でギュッと掴みます。
大場:これで合っていますか...?
高原:ではクリーナーを塗りましょう。容器を軽く振ってから、100円玉1個分くらいの量をクロスの上に乗せます。
高原:クリーナーが革に合わないことが稀にあるので、それをケアする意味でも、目立たないかかとの内側から始めます。クルクルと小さな円を描くようにしながら、靴を1周まんべんなく、ゴシゴシと擦らずにやさしく行いましょう。
高原:最初はかかとの内側から。そのあとは全体をまんべんなく、力を入れずに拭きます。
高原:1周終わったらクロスの別の部分を使って、同じ要領でもう1周。1回目で革に浸透した成分が汚れや古いクリームを表面に浮かすので、2回目の方がより汚れが取れるようになります。
大場:何回くらい繰り返すんですか?
高原:3回ほど繰り返し、ツヤが取れて表面がマットになってきたらOKです。それ以上やると革を傷めてしまうので、3回くらいで十分です。
大場:ツヤがなくなってきた...!
STEP.3 靴クリームを塗る
高原:ここで靴クリームの登場です。
大場:クロスを使って塗るんですか?
高原:クロスは広範囲に一気に塗りたい場合には便利なのですが、傷がある場所などにピンポイントで塗ることも考えると、クリームブラシを使うのがおすすめです。
※コロンブス×ハンズ シューケアスターターセットにはクリームブラシは含まれていません。
コロンブス×ハンズ ハンズオリジナル クリームブラシ 馬毛 1,078円(税込)
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高原:このブラシの特徴は毛先が斜めにカットされていること。角があるので細かいところにもクリームを入れやすくなっています。あと、指が汚れないのもブラシのよいところですね。
大場:なるほど。ではより本格的に、クリームブラシを使ってやってみます。
高原:1回のお手入れ(靴両足)で使うクリームの量はコーヒー豆1粒分(約5g)くらい。1回で取る量は米粒3〜4粒くらいです。
大場:意外と少ないんですね。これくらいですか?
高原:はい。そうしたら、こちらも塗り始めはかかとの内側から。カットされた面を広く使って、小さな円を描きながら靴全体に塗っていきます。一気に塗るのではなく、少しずつ足しながら薄く塗り伸ばしてください。
大場:お手入れ初心者が気を付けるポイントはありますか?
高原:ゆっくりやるとそこにクリームが溜まったりムラができたりするので、常に手元をクルクル動かすことですね。力は全くいりません。ガシガシやる方もいますが、靴が傷むのでブラシの重さくらいの自然な力で十分です。
大場:つま先が気になるのですが、傷の部分はどうすればよいでしょう。
高原:ブラシを立てて、角を使いながらピンポイントで塗り込んでください。そうすると傷が隠れやすくなります。
大場:クリームはどれくらい塗ればよいですか?
高原:ひと通り全体に塗れたらOKです。私は表面を触ったときに指が滑らなくなったら終わり、という感覚でいつもやっています。
STEP.4 ブラシでクリームをなじませる
高原:クリームが終わったら、今度はポリッシングブラシでブラッシングをしていきます。
大場:ここでまたブラッシング...?何のためですか?
高原:余分なクリームを取りつつ、クリームをしっかりと革に浸透させるためです。小刻みに動かして、まんべんなく全体になじませ、シワのところは特にしっかりとクリームを入れ込んでください。
大場:今回は一方向ではなくゴシゴシやって大丈夫なんですね。
高原:はい、ゴシゴシやってください。でも力は入れ過ぎずに。必要なものが革の中に入って不要なものが取れると、表面が少しサラッとしてきます。そうなったら、次はツヤ出しの作業に。今度は小刻みではなく、縦方向に大きくブラシをかけていきます。
大場:おお!ツヤが出てきました!
高原:全体にツヤが出たら、仕上げに入ります。
STEP.5 グローブクロスで磨く
高原:最後にグローブクロスで乾拭きし、やさしく磨き上げます。グローブの面全体を使って、細かいところはグローブの中で指を立てるようにしてください。
大場:どれくらいやればよいですか?
高原:好みのツヤになるまでですが、サッと磨くだけでも大丈夫ですよ。これが最後の工程なのでしっかりやりましょう!
大場:はい。...本当だ、見違えるほどキレイになりました!
高原:これで基本の手順は終了です。慣れれば5〜10分くらいでできるようになりますよ!
シューケアは順番さえ覚えれば、あとはクリームや色が変わっても基本は同じ。決して難しくはなく、頻度も2週間に1回くらいで大丈夫なので、初心者の方も気軽に始めてみてくださいね。
ハンズおすすめのお手入れアイテム
基本のお手入れ方法を抑えつつ、もっとケアにこだわりたい方は、プラスアルファのクリームや消臭ミストの使用がおすすめです。シューケアマイスター高原さんおすすめのアイテムを紹介します。
保湿力に優れた【デリケートクリーム】
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〈コロンブス×ハンズ・デリケートクリーム〉は保湿力に優れ、保革しながら革を柔らかくするクリーム。靴クリームの前に使うことで、靴クリームの入りをよくする効果もあります。普段履いている革靴はもちろん、バッグや革小物といった天然皮革素材が使われたアイテムのお手入れにも使える優れものです。
ツヤが出しやすい【プレミアムクリーム】
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〈コロンブス×ハンズ・プレミアムクリーム〉はツヤが出しやすく、耐水性にも優れています。靴クリームのあとにでも、靴クリームの代わりにでも使えます。
ただ、水分がかなり少ないので、靴クリームの代わりに使うのであれば、その前に〈デリケートクリーム〉で保湿を。最初は難しく感じるかもしれませんが、鏡面磨きよりも手軽に強いツヤが出せるので、お手入れ初心者さんもチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
植物系消臭成分のサトウキビエキスを配合【デオドラントミスト】
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〈コロンブス×ハンズ・デオドラントミスト〉は、消臭作用を持つサトウキビエキスと、抗菌作用のあるプラチナナノ粒子を配合した消臭ミストです。片足3プッシュを目安に約120足分使用でき、ニオイだけでなくカビの発生も防げます。香りは無香量とレザーノートの2種類。レザーノートはなめし革に近いダンディな香りで、革靴に高級感をプラスします。
初心者でもできる!そのほかのシューケア
その時々にあわせたお手入れ方法を知っておくと、よい状態の革靴を履けます。履いた直後、久しぶりに履くとき、革靴を新たに購入したときの3パターンに分けてベストなお手入れ方法を紹介します。
履いたあとにできること
1日履いた革靴にはたくさんの汚れが付着しています。そのままにしておくと汚れが蓄積し劣化につながるため、履いたあとはブラシを使って汚れを落としましょう。ブラッシングのあとに乾いた布で拭く習慣をつけると、キレイな状態を保ちやすくなります。
<ワンポイントアドバイス>
翌日が雨予報の場合は、上記のお手入れに加えて防水スプレーの使用がおすすめです。
長く履いていないとき
長く履いていない靴は水分と油分が失われて乾燥した状態です。今回紹介した基本のケアに加え、デリケートクリームを使って栄養を補給しましょう。デリケートクリームは水分が多く含まれているので、使うことで革靴にみずみずしさが戻ります。水分を補って、革をしなやかな状態にしてから履くのは靴のためにも大事なことです。
新しい革靴を履くとき
革靴の購入後もお手入れは欠かせません。なぜならば、店頭に並んでから購入までの間に乾燥が進んでいるからです。シュークリームを使って水分と油分を補給し、仕上げに防水スプレーで保護しましょう。
<ワンポイントアドバイス>
撥水成分を吸い込んでしまわないよう、防水スプレーは風通しのよい屋外で使用します。革靴を片手で持ち、30cmほど離した位置からまんべんなく吹きかけるのがコツです。
革靴を長持ちさせるためのコツ
革靴を長持ちさせるコツは、シュークリームやブラシを使ったお手入れに加えて、履き方や保管方法にもこだわること。革靴初心者のうちに知っておきたい長持ちのコツを紹介します。
いくつかの革靴を履き分ける
毎日革靴を履く場合は、何足か用意して1日ごとに使い分けましょう。1日履いた革靴の中には汗や湿気が溜まっているので、翌日も使うと嫌なニオイの発生や劣化につながります。1日履いたら1日〜2日は休ませて、靴をローテーションさせるのがよい状態で長く愛用するための秘訣です。
履くときは靴べらを必ず使う
革靴をきれいに保つには、外側だけでなく内側にも配慮することが大切です。特にかかと部分は傷みやすいため、履くときは指で押し込むのではなく、必ず靴べらを使用しましょう。自宅用のロングサイズに加え、外出先でも使えるコンパクトな携帯用も用意しておくと安心です。
革靴はシューキーパーを使用して保管する
革靴はそのままの状態で保管すると型崩れやシワ、ひび割れが発生しやすくなります。革靴を所有するのであれば、シューキーパーはマストアイテムです。次に履くときまでキレイな形を保つために、シューキーパーを中に入れた状態で保管しましょう。木製なら調湿効果が期待でき、湿気とカビ対策に役立ちます。
正しいお手入れ方法で革靴を長持ちさせよう
革靴は履いているうちに乾燥が進むため、定期的なお手入れが必須です。それに加え、履いたあとは汚れを落とす、複数の靴をローテーションさせる、保管時はシューキーパーを使うといったコツを押さえれば、よい状態で長く愛用できるでしょう。
シューケアは簡単にできるけれど、とても奥が深いもの。気になった方はこれを機に始めてみませんか?新たな趣味になるかもしれません。
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