靴磨き世界一に聞く!革靴の"最高に美しい"磨き方とお手入れ プロの手順や道具も解説

みなさんは、「革靴」を持っていますか?大切な革靴は、きちんとお手入れすることで、綺麗な状態でより長く履くことができます。そこで今回、シューシャイン(靴みがき)の世界チャンピオン・長谷川裕也さんの靴磨きのお店を直撃し、お話を伺いながら、その世界一に輝いたプロの磨き方をご紹介します!靴磨きの方法から必要なアイテムまで、靴磨き初心者の方は必見ですよ。

※こちらは2022年10月に再編集をしております。
    【目次】
    1. 靴磨きの必要性
    2. 靴磨きで用意したい道具
      1. それぞれの道具の選び方
    3. 基本的な靴磨きの手順
      1. 靴磨きSTEP①:下準備をする
      2. 靴磨きSTEP②:汚れを落とす
      3. 靴磨きSTEP③:革に栄養を補給する
    4. 靴磨き応用編:プロ直伝の格上げテクニック
      1. 格上げテクニック①:コバのケア
      2. 格上げテクニック②:ハイシャイン
    5. 日常における靴磨き・お手入れ
      1. 靴磨きの頻度
      2. 靴磨きにかける目安の時間
      3. 靴の保管方法
      4. お手入れ
    6. おわりに
    7. 靴磨きの必要性

      靴磨きとは、履いているとどうしてもついてしまう傷や色褪せなどを隠すために磨いたり、光沢を出したりする作業ですが、それだけではありません。革靴を常に美しい状態でキープすれば、何年も履き続けることができ、次第にその靴ならではの魅力が出てきて、世界に一つだけの靴が出来上がるのです。これは、「スキンケアをする」「髪型を整える」といった自分の身なりを整えるのと同じくらい、重要な工程です。
      また、「おしゃれは足元から」という言葉をよく耳にしますが、靴はおしゃれを完成させる大切なピースの一つです。仕事や大切な用事があって素敵な服を着ていても、履いている革靴のお手入れができておらず、汚れや傷がある状態だったら、それだけで台無しになってしまうほどです。
      面倒くさがらず、まずは気軽に靴磨きの一歩を踏み出してみましょう。

      靴磨きで用意したい道具

      革靴の磨き方を紹介する前に、靴磨きで用意したいアイテムをご紹介します。長谷川さんの7つ道具と合わせて確認しましょう。

      靴磨きで用意したい道具一式

      こちらが長谷川さんの7つ道具。選び抜かれたアイテムが、プロの技を支えています。(※長谷川さん私物です)
      ただ、全く同じものを用意する必要はなく、初心者の方に用意してもらいたいのは以下の道具です。

      ▼靴磨きに使う一般的な道具
      ・シューキーパー(靴の形を固定するもの)
      ・ウェットティッシュ
      ・馬毛などのやわらかいブラシ(埃落とし)
      ・コットンの布
      ・汚れ落としクリーナー
      ・豚毛などの硬めのブラシ(クリーム用)
      ・革靴専用クリーム

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      それぞれの道具の選び方

      とはいえ、それぞれどんなものを選んだらいいのか分からず困ってしまうと思うので、道具の選び方について、長谷川さんにお伺いしました。

      「一番間違いないのは、お店の販売員さんに聞くことですね。靴磨きは革磨きでもありますので、ご自分の靴の革にあわせた道具を選ぶことが重要です。その意味で、やはり革と道具に精通しているプロに相談するのが一番かと思います。できれば、手入れしたい靴を直接持っていくのがいいでしょう。現物があれば、より最適な判断ができるはずですから。」

      ビジネスシューズにはビジネスシューズに合う道具、ローファーにはローファーに合う道具があるということですね。今では靴磨きチャンピオンである長谷川さんも、現在使用している道具に辿り着くまで、さまざまなものを試してきたと語ります。そして、現在でも常に新しい道具の情報をアップデートしているとのこと。靴磨きの世界は奥が深いですね。

      ただし、初心者の方は、それぞれの道具選びをあまり深く考えすぎず、「上記の道具を揃える」ということを優先させて問題ないです!靴磨きを続けながら、より良い道具を模索していきましょう。

      基本的な靴磨きの手順

      ここからは、革靴の磨き方について説明していきます。靴磨きの手順には、大きく分けて3つの基本的な工程があります。道具を用意しても、いきなり磨くわけではありません。これから説明する靴磨きの方法をよく理解して、仕上げまで丁寧に行いましょう。また、応用編として、プロ直伝のプラスαテクニックもご紹介します。より綺麗に仕上げたい方は、ぜひチェックしてくださいね。

      STEP①:下準備をする
      STEP②:汚れを落とす
      STEP③:革に栄養を補給する
      応用編:プロ直伝の格上げテクニック

      靴磨きSTEP①:下準備をする

      さあ靴を磨こう!といっても、いきなりブラシや布でこすっていくのはNG。まずはケアの前に準備を整えましょう。

      STEP①で使用する道具

      ・シューキーパー
      磨いている間に革靴にシワや跡が入らないよう、靴の形をキープしてくれるアイテムです。ちなみに、プラスチック製ではなく木製のものがおすすめ。木製のシューキーパーには、抗菌と湿気吸収の効果が期待できるためです。

      ・ウェットティッシュ
      靴の中をさっと拭くためのもので、靴の中の埃を取り除き、清潔感を出してくれます。市販のものでOK。

      STEP①-1:形を綺麗に整える

      靴磨き前の革靴

      こちらは靴磨き前の革靴。つま先には、こすれた跡が目立ちます。

      まずは、靴ひもをはずして靴をリラックスした状態にします。そして、シューキーパーをセット。こうすることで靴のシワが伸びるので、ほこりが取れやすくなり、クリームを塗りこむ際にしっかりと浸透させることができますよ。

      STEP①-2:靴の中を綺麗にする

      靴の中を綺麗にするシューシャイン(靴みがき)の世界チャンピオン・長谷川裕也さん

      靴の中にも意外と埃がたまっていると長谷川さんは言います。特に、ペットを飼っている方などは、抜け落ちた毛が入っていることもあるとのこと。ウエットティッシュを使って、靴の中をさっと一拭きしてください。ケアとしてはもちろん、履いたときの清潔感もグンとアップします!

      靴磨きSTEP②:汚れを落とす

      革靴を整えることができたら、早速汚れを落とす手順に入りましょう。

      STEP②で使用する道具

      ・馬毛などのやわらかいブラシ
      汚れを落とすために使用するブラシです。

      ・汚れ落としクリーナー
      以前に塗ったワックスやクリーナーを落とすために必要です。

      ・コットンの布
      汚れ落としクリーナーを塗って擦るために使用します。ざらっとした肌触りがベター。

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      STEP②-1:ブラシで埃を落とす

      ブラシで革靴の埃を落とす

      いよいよ、本格的なケアの開始!最初は靴のつま先(アッパー)部分から、馬毛などを使ったやわらかいブラシで埃を落としていきましょう。紐を外した内側もかきだすようにブラッシングします。土踏まずの部分も埃や汚れがつきやすいので、念入りに行いましょう。

      STEP②-2:布にクリーナーをつけて、汚れを落とす

      布にクリーナーをつけて、革靴の汚れを落とす

      次に、コットンの布を指先に巻き、その布に液体状のクリーナーをつけて、擦って汚れを落としていきましょう。ただし、ゴシゴシしすぎるのは厳禁です。革もお肌と同じで、強く拭きすぎると表面が荒れてしまいます。

      この工程では、これまでに塗ったワックスやクリームなどをしっかり落とす意味があります。ここで落とさないと、どんどん厚塗りになってしまい、革がぼてっとした印象に。ひどくなると、革が割れてしまうなんてことも...。
      「やさしく丁寧に」を心がけて、優しく擦りながらも、表面のワックスなどをしっかり落としましょう。

      靴磨きSTEP③:革に栄養を補給する

      汚れ落としが完了したら、クリームを用いて革靴に栄養を与えます。

      STEP③で使用する道具

      ・豚毛などの硬めのブラシ
      クリームを革に馴染ませるために使用します。

      ・革靴専用クリーム
      自分の革靴に合ったクリームを用意しましょう。革に栄養を与える大切な役割を持っています。

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      STEP③-1:クリームを塗る

      革靴にクリームを塗る

      汚れを落とし終わった後は、革に栄養を補給していきます。ここでは、とにかく革の内部に栄養を行き届かせることがポイント!
      クリームを塗り込む際には、つま先の「バンプ」と呼ばれる部分に特に注意をしてください。バンプとは、甲より前方部分の革のことで、歩く際によく曲がるため、シワができやすい箇所です。そのため、この箇所は特にしっかりとクリームを塗り込みましょう。

      長谷川さんのようなプロの方々は、クリームを指で直接塗り込みます。これは、クリームを指であたためながら塗り込むことで、浸透しやすくするためです。指で直接塗ることに抵抗がある方は、ラップを指に巻くのがオススメ。体温が伝わりつつも、指を汚さずにケアすることができますよ。もちろん、クリームを塗るのはブラシでもOK。ブラシで行う場合は、全体にまんべんなくのばしていくことがポイントです。

      STEP③-2:ブラシでなじませる

      ブラシで革靴にクリームをなじませる

      クリームを塗った後は、必ずブラッシングしてよくなじませましょう。バンプのシワの部分などに、クリームが馴染みやすくなります。

      STEP③-3:布で乾拭きして、余分なクリームを落とす

      ブラッシングの後、仕上げに布で乾拭きをしてください。余計なクリームを拭き取って、汚れにくくする一手間を加えましょう。

      布で乾拭きして、余分なクリームを落とした革靴

      これで、シューケアの一連の工程が終了です!いかがですか?冒頭の写真と比べて、革がふんわりとして、艶がピカリと出ましたよね。基本のお手入れだけでも、これだけキレイになります。

      靴磨き応用編:プロ直伝の格上げテクニック

      基本的な靴磨きの方法は、理解できましたか?ここからは、長谷川さん直伝の格上げテクニックをご紹介します!靴磨きに慣れてきたら、ぜひチャレンジしてくださいね。

      格上げテクニック①:コバのケア

      革靴のコバをケアする

      靴磨きというと本体部分に目が行きがちですが、本体とソール(底面)のつなぎ目である「コバ」と呼ばれる部分をケアすることも大切!ここがキレイにしてあると、ピシッと整った靴の印象になりますよ。長谷川さんも行うプロの極意なので、応用編として覚えておいて損はありませんよ。早速その方法を見ていきましょう。

      コバのケアで使用する道具

      ・コバブラシ
      コバ部分専用のブラシです。汚れを落とすために使用します。

      ・コバインク
      コバの色褪せを補填するコバ専用のインクです。ソールと同じ色が良いでしょう。

      ・ティッシュ
      余分なインクを拭くために使用します。市販のものでOK。

      ・ワックス
      艶を出すために使用します。後述するハイシャインで使うワックスでOK。

      ・サンドペーパー
      コバを削って、表面を平らにするために使用します。コバのケアに慣れてきたら用意してみましょう。

      手順①-1:コバブラシで汚れを落とす

      上の写真のようなコバ部分専用のブラシ「コバブラシ」を用意して、埃を取ります。このとき、コバブラシにクリームをつけて磨くことで、細かい部分までブラシが届きますよ。

      手順①-2:コバインクを塗る

      コバの色褪せを補うため、ソールと同じ色の「コバ専用のインク」を塗ります。インクを上手く塗る方法は、上の写真の「刷毛」をコバにつけたら、止めずにそのまま1周すること。液ダレを防ぎます。
      もし慣れてきたら、コバインクを塗る前に「サンドペーパー」でコバを削ってみましょう。そうすることで、コバの表面が平らになり、インクを均一に塗ることができますよ。

      手順①-3:乾く前にインクを拭き取る

      コバインクを塗ることができたら、乾く前に「ティッシュ」で余分なインクを拭き取りましょう。液ダレやムラが出にくく、綺麗な仕上がりになりますよ。

      手順①-4:ワックスを塗る

      仕上げに、ワックスをコバに塗り込み、しっかりブラッシングして艶を出しましょう。

      格上げテクニック②:ハイシャイン

      靴を輝かせるためのハイシャイン

      靴を輝かせるためのハイシャイン。ここでは、2種類のワックスと水を使う、プロのハイシャインの方法をご紹介します!ちなみに、光らせてよいのは芯が入っているつま先とかかとだけ、ということも押さえておきましょう。

      ハイシャインで使用する道具

      ・固いワックスとやわらかいワックスの2種類
      固いワックスは、やわらかいワックスを乾燥させて作れます。

      ・ハイシャイン専用の布
      専用の布として、できればネル生地で起毛したものを用意すると良いでしょう。

      手順②-1:ベースのワックスを塗り込む

      ベースのワックスを革靴へ塗り込む

      まずは、伸びのよいやわらかいワックスをベースとして塗り込んでいきます。この後の磨きを行う際、革靴に水を染み込みにくくするため、しっかりと塗り込みましょう。

      手順②-2:水と固いワックスで磨く

      水と固いワックスで革靴を磨く

      次に、水を使った磨きへ入ります。ハイシャイン専用の布に水をほんの一滴取り、固いワックスをつけて、そっとなでるように磨いていきます。すると、ワックスで白く濁っていた部分がみるみる光っていきます!これは、ワックスの膜が水によって広がっていくことで生まれる艶。後はひたすら水を取る、固いワックスをつける、磨く、この工程を繰り返していきます。

      コツは水を取りすぎないこと!水は革にすぐ浸みてしまうので、ほんの一滴を心がけましょう。

      手順②-3:仕上げは水研ぎ

      最後に、布の新しい面に水だけをつけて磨きます。この方法、名付けて「水研ぎ」!長谷川さんが世界チャンピオンになったときにも実践したテクニックです。水拭きをすることで、さらに艶が出てきますよ。

      水研ぎで革靴を仕上げる

      これにて、ハイシャイン完了です。なんとも美しい仕上がり...。まる​​で鏡のように光り輝いています!
      ちなみに長谷川さんは、お客様の職業や靴の種類に合わせて光らせる度合いや範囲を変えているとのことです。写真のようなストレートチップの靴なら、オーソドックスにつま先を光らせたり、ローファーなどカジュアルなシューズは逆に光を抑え目にしたり、など。
      ご自身が持っている靴の種類やTPOに合わせて、艶の度合いを調整してみてください。

      日常における靴磨き・お手入れ

      靴磨きの手順、そしてプロ直伝のテクニックは理解できましたか?最後に、日常的な靴磨きやお手入れ方法のコツに関してご紹介します。日頃からできるケアをして、革靴を大切にしましょう!

      靴磨きの頻度

      大切な革靴は、頻繁に手入れしたくなりますよね。しかし、手入れのしすぎは禁物。目安としては、8〜10回程度同じ靴を履いたら、今回ご紹介した手入れをするのがちょうど良いです。クリームやクリーナーを塗りすぎると革に負担がかかり、ひび割れなどを起こす危険性があります。

      毎日革靴の状態をみていれば、革が乾燥しているな、と思う瞬間があるはずです。革が乾燥していたら、靴磨きのサインですよ。

      靴磨きにかける目安の時間

      今回ご紹介した靴磨きSTEP3までの工程でしたら、初心者の方は30分程度で完了してしまいます。コツを掴めば20分程度でできるようになるでしょう。ちなみに、世界チャンピオンである長谷川さんは15分程度。

      ハイシャインまで含めると30〜40分程度かかります。靴との思い出や、周りの生活音などに耳を傾けながら磨けば、貴重な時間になりますよ!

      靴の保管方法

      革靴を長持ちさせるためには、保管方法も大切ですよね。革靴はカビがつきやすいため、湿気には気をつけたいところ。

      革靴の保管手順は、まずシューキーパーを入れてブラシで汚れを落とします。次に、ゆとりを持ってシューズボックスに仕舞いましょう。この時、シューズボックスに除湿剤を入れることを忘れないでください。

      また、1ヶ月以上革靴を履かない場合は天気の良い日に陰干するのがおすすめ。季節や気候によってシューズボックスの中は変化します。大切な革靴にカビがつかないよう、しっかり保管しましょう。

      お手入れ

      10回程度履いたら靴磨きをすると説明しましたが、日々のメンテナンス方法はどうでしょうか。

      革靴で一度外に出ると、埃や土がついてしまうことでしょう。
      そこで、革靴を履いて帰ってきたら、まずはシューキーパーを入れます。次に馬毛ブラシで革靴についた埃や土を落とします。日々のお手入れは以上で充分。

      気になる方は、靴の内側に消臭スプレーなどを吹きかけましょう。こまめに内側の掃除をするのも大切ですよ。

      おわりに

      シューシャイン(靴みがき)の世界チャンピオン・長谷川裕也さん

      取材の最後、長谷川さんに靴磨きの醍醐味について伺いました。

      「個人的には、キレイに光らせるという一点に集中することで、無心になれることですね。そして、磨いた靴があることで、履いて出かけたくなったり、仕事に行きたくなったりと、ポジティブな循環が生まれること。私のお客様でも「ピカピカの靴があると月曜が憂鬱じゃない」なんてお声も聞きますし(笑)。革靴は磨くほどに育ちますから、その成長や変化を楽しみながら、ぜひ習慣にしてもらえたらと思います」

      靴を磨くことで、普段の生活にも良い影響がありそうですね!お気に入りの一足を長く、楽しく履くために。そして、毎日を充実させるために。この春は、靴磨きを始めてみませんか?

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