【初心者も必見】コロンブスの工場で、シューケアの深い世界へ。ハンズコラボアイテムも解説!

コロンブスの工場で、シューケアの深い世界へ。ハンズコラボアイテムも解説!

ハンズのシューケアマイスターが靴にまつわる「あの人」に会いに行き、聞きたいことや知りたいことを深掘りしてトークを展開する連載企画。第4回目の今回は、シューケア用品の老舗〈コロンブス〉の「松戸FACTORY」を訪ねて、研究担当の田所さんにお話を聞きました。ハンズとのコラボアイテムについても掘り下げます!

※シューケアマイスターとは:「一般社団法人 日本皮革製品メンテナンス協会」が主催するシューケアマイスター試験に合格した、知識とスキルを兼ね備えたシューケアに関するスペシャリストのこと。
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松戸FACTORYはどんなところ?どうやって製品を開発しているの?

今回のホストとなるハンズのシューケアマイスターはこちら!

ハンズ北千住店 シューケアマイスター 森

ハンズ北千住店 シューケアマイスター 森

今回のゲストはこちら!

株式会社コロンブス 松戸FACTORY 研究担当 リーダー 田所貴雄さん

株式会社コロンブス 松戸FACTORY 研究担当 リーダー 田所貴雄さん

森:今日はよろしくお願いします!

田所さん:よろしくお願いします!

―まず基本的なことで恐縮ですが...ここ「松戸FACTORY」はどんな施設なんでしょうか。

田所さん:コロンブスの研究・開発の拠点であり、ほぼすべてのアイテムをここで製造し、ここから国内外に発送している、弊社の中枢となる施設です。1999年4月に開業したので、もうすぐ25年になりますね。

森:私は10年ほど前に一度来たことがあります。ハンズ各店のシューケア担当スタッフが集まる研修で訪問し、「靴クリームとはなんぞや」というところから学びました。今日は久しぶりに来て、ちょっとワクワクしています!

ハンズ北千住店 シューケアマイスター 森と株式会社コロンブス  田所さん

―シューケアマイスターになってからは初ということですね。

森:はい。田所さんは研究担当ということなので、今日はぜひ聞いてみたいことがあって。シューケアマイスターになってから以前よりも成分が気になるようになったんですが、製品を開発するときは「こういうものをつくる」と決めているんですか?それとも研究で配合をいじっているうちに偶然よいものができたりするんですか?

田所さん:偶然の産物もあったりはしますが、基本的には計算してつくりますね。材料の特徴を頭に入れつつ、これまでの経験を踏まえて「これとこれを組み合わせるとこうなる」というイメージを描いています。

森:やはり計算されているんですね。

田所さん:でも最終的には開発者の感覚の部分が重要になります。どの材料を選んで、どう組み合わせるか、どれくらい使うか。そこはセンスです。

株式会社コロンブス  田所さん

森:配合にも、開発する人の特徴が出たりするものですか?

田所さん:けっこう出ますね。配合の仕方もそうですし、その人の好きなワックス原料が入っていたりするので、「これは誰々っぽい配合だな」とピンと来ます。

森:「その人っぽい配合」というのも面白いですね。不思議な世界です(笑)

 

工場内に潜入!そこから垣間見える、コロンブスのこだわりとは

田所さん:では早速、工場をご案内します。製造現場に行く前に、まずは一部ですがワックスの原料の紹介から。それぞれの特性を活かしながら、ワックスをはじめとした5〜15種類ほどの材料をミックスしてクリームをつくっていきます。

ワックスの原料

森:製品に合わせたベストなブレンドを考えるわけですね。ワックス原料は10年前にも見せていただきましたが、いま改めて見たり話を聞いたりすると、やっぱり興味深いです。

ミツバチの巣から採れるワックス「ミツロウ」を精製したもの
こちらはミツバチの巣から採れるワックス「ミツロウ」を精製したもの。

と、ここから工場内へ潜入しましたが、残念ながら今回は内部の撮影はNG...。ということで、下記の過去記事より写真を抜粋しながら工場内の様子をお伝えします(基本的な製造工程や設備は現在も変わっていません)。

【靴好き必見】100周年を迎えた〈コロンブス〉の工場に潜入!シューケアの魅力や奥深さを探ってきた>>

こちらの記事もあわせてご覧ください!

研究・開発が行われている「松戸LABO」

研究・開発が行われている「松戸LABO」。製品はすべてここから生まれます。製品づくりのための材料は何千種類にも及ぶとのこと。

靴クリームなどを製造する工場

こちらはクリームなどを製造する工場のメインフロア。2層構造の2階部分で製造されたクリームが1階部分でタンクに充填されます。

9連式自動充填機

製造量の多い製品はこちらの9連式自動充填機で瓶に充填。この機械、50年ほど前から使っているもので、現在は製造されていない代物なんだとか。

手作業で瓶に靴クリームを充填する

製造量の少ない製品は手作業で瓶に充填します。この作業はかなり難しく、できる人も少数。それぞれ自分用にカスタムした充填器を使っているそうです。

シューケア用品のラベル貼りや梱包が行われる

ラベル貼りや梱包が行われる仕上げ作業のフロア。キャップとラベルの向きが揃っているかなど、微かなズレも見落とさない細かなチェックを経て、製品として完成します。

森:コロンブスさんの製品はクリームが瓶の中にぴっちり詰まっているし、ラベルもズレなくきれいに貼られているのでいつも感心させられるんですが、その秘密を垣間見ることができました。瓶詰めが手作業なのもすごいですよね。

田所さん:そうですね、そこは弊社のこだわりの部分でもありますので。大変ですけどね(笑)

シューケアマイスター森とコロンブスの田所さん

森:それと、10年前に来たときはそれほど感じなかったんですが、いま改めて見てみると、意外とコンパクトなスペースですべてを製造しているんだなという印象を受けました。

田所さん:製品の種類自体は増えていますが、その分それぞれの生産量は少量になっています。特別大きなサイズのものをつくるわけでもなく、小さなものを数百、数千とつくるので、このスペースでも賄えているんです。

 

特徴も、使い方も。コロンブス×ハンズのコラボアイテムを解説!

―ここからはハンズコラボの3アイテムを、研究担当としての目線を交えて紹介していただこうと思います。まずはこちらから。

コロンブス×ハンズ プレミアムクリーム ブラック

コロンブス×ハンズ プレミアムクリーム  1,375円(税込)

田所さん:汚れ落としの後に塗る、栄養補給+ツヤ出し効果のある「油巻き」の乳化性クリームです。

森:乳化性クリームで「油巻き」は珍しいですよね。

―すみません、「油巻き」とは...?

田所さん:クリームの構造的に、油を水で覆ったものが「水巻き」、水を油で覆ったものが「油巻き」と呼ばれ、一般的な乳化性クリームは「水巻き」です。〈プレミアムクリーム〉は、乳化性クリームならではのなじみのよさと油性クリームならではのツヤ出し効果という"いいとこどり"をした製品ですね。

コロンブス田所さん

森:靴全体に塗りやすくて色もよく入りますし、ブラッシングした後のツヤの出方も他とは違います。

田所さん:ブラックですが単純な黒ではなく、赤系など複数の色を混ぜ込んで色をつくっています。シューポリッシュのようなツヤを簡単に出したいという方は、まずこれを試していただくとよいかもしれません。

森:油分が多くてクリーム自体も柔らかいので、1箇所にたくさん塗ってしまうと素材によってはシミなどになるので注意が必要ですね。

田所さん:はい。少量を取って伸ばして、重ね塗りをしてください。たくさん塗ればよいというわけではありません。

―では続いてはこちらを。

コロンブス×ハンズ デリケートクリーナー

コロンブス×ハンズ デリケートクリーナー  1,540円(税込)

田所さん:水系の汚れも油系の汚れも取れる汚れ落としクリーナーで、靴だけでなくバッグなどの革製品全般、さらに布地にも使えます。クリーナーとしては刺激が比較的少なく、ポンプ式で泡状になって出てくるので使いやすいのも特徴です。

森:使うのは、靴であればブラッシングでホコリを落とした後ですね。消臭・抗菌・防カビ剤も入っていてとても便利なんですが、これって靴の内側やインソールにも使えるんですか?店頭でもよく聞かれるんです...。

田所さん:靴の内側は外側と違う加工が施されていたり、逆に加工が施されていなかったりすることがあるので、基本的には内側には使えません。

シューケアについて語るシューケアマイスター森とコロンブス田所さん

森:やはりダメですか...。

田所さん:靴下や足に成分が移ってしまうことも考えられますし、意外とデリケートな問題でもあるんですよね。

―なるほど。使い方のアドバイスはありますか?

田所さん:泡で汚れを浮かせて、それを拭き取るイメージです。表面に塗ったら、汚れが浮いてくるまで数分待ってから拭き取り、その後は十分に乾燥させてください。

森:手軽で簡単なので、シューケア初心者にもおすすめですね。

―では最後にこちらを。

コロンブス×ハンズ デリケートレザープロテクター

コロンブス×ハンズ デリケートレザープロテクター  1,980円(税込)

田所さん:UVカット効果も併せ持った、保革もできる靴用の防水スプレーです。ひと通りのお手入れが終わった後、仕上げとして表面にサッとスプレーします。

森:防水も保革もUVカットもできる、よくばりな"全部入り"(笑)。靴用ですが、バッグなどに使うのもおすすめです。

田所さん:1回スプレーするだけでも十分に効果はありますが、5〜10分乾燥させてからもう1回スプレーすると、より効果が出るという研究結果が出ているので覚えておいてください!

ハンズコラボアイテムについて語るシューケアマイスター森とコロンブス田所さん

森:それは知らなかったです。覚えておきます!防水効果で油も汚れも防いでくれますし、これだけでも使っておけば表面はきれいに保てますね。

田所さん:2〜3週間に1回で大丈夫なので、コンスタントに使っていただきたいですね。雨に濡れた場合は水気を拭き取って、乾燥させてからもう一度スプレーを。あまり履かない靴の場合、靴箱に保管する際に吹きかけておくのも効果的ですよ。

 

店頭での反応は?そしてこれからのコロンブス×ハンズの展開について

田所さん:ハンズさんとのコラボアイテム全般に「レザーノート」の香料を入れていますが、お客様の反応はいかがですか?

森:反応はすごくよいです。違う香りの商品と比べてみて「こっちのほうが好き」と言われることが多いですね。特に女性のお客様のウケは抜群です。

田所さん:安心しました。香料を入れるのはけっこう難しい問題でもあるんです。年配の玄人の方などからは「昔ながらのニオイがしないと磨いた気がしない!」と言って電話がかかってきたりもするので(笑)

ハンズシューケアマイスター森とコロンブス田所さん

森:(笑)それは大変...!

田所さん:ハンズさんとのコラボだからできることも多いですし、ハンズさんの客層だからこそのニーズもあると思います。これからも高めあってよい商品を生み出していきたいですね。

―では最後に、これからシューケアを始めてみようという方に向けてメッセージをお願いします。

田所さん:履き古した靴のお手入れは難しい面もあるので、シューケアの入り口としてはまず新しい靴から始めるのがおすすめです。そこから徐々に覚えていくのが、長続きさせるためにも一番かと。

森:始めてしまえば5〜10分で終わりますし、それだけで見違えるほどきれいになります。そしてそれを1回経験すれば、その状態をキープしたくなるはずです。だから、まずはとにかく1回やってみてもらいたいですね。

田所さん:その際は、ぜひ今日ご紹介したコラボアイテムを使っていただいて。

森:ですね(笑)。今日はありがとうございました!

 

おわりに

今回はコロンブスの工場から、老舗ブランドならでは、研究開発担当者ならではのお話をお届けしました。これからのコロンブス×ハンズの展開にもご期待ください!

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