いま、女性やシニアの方を中心に注目を集めている水筒があります。その名も〈ポケトル〉!今まで見たことのない小ささのステンレスボトルは、発売からわずか4ヶ月足らずでハンズでも大人気の商品になっています。今回は、その生みの親、小林さんにお話を伺ってきました。商品が生まれたきっかけや、広がる〈ポケトル〉の世界についてお届けします!
開発のきっかけは、「飲みきれないペットボトル」。
〈ポケトル〉を開発したDESIGN WORKS ANCIENTの代表、小林祐介さん。
―早速ですが、〈ポケトル〉が生まれたきっかけを教えてください。
小林:きっかけは私自身の体験です。日々、ペットボトルの飲み物を買っていたのですが、ある時、小さなサイズの280mlのペットボトルしか選ばない自分に気づきまして。
―500mlではなく?
小林:はい。ちなみに私は、身長180㎝でラグビーをやっていましたので、そこそこ体格はいいんですけど(笑)。そんな私でも、1日の中で500mlという量を必要としていないという事実があって。
―なるほど。
小林:私ですらそうなのであれば、例えば女性の方はなおさら必要ないのではと思いまして。カバンも重たくなりますし。
―女性は他にも持ち物が多いですしね。
小林:そのふとした考えをきっかけに、ボトル開発のリサーチをはじめました。またもう1つの理由として、〈ポケトル〉とは別にもう1つ別会社も運営しているのですが、そこがちょうど10周年を迎えることになりまして。節目の機会に、自社のブランド商品を開発できないだろうかと考えていた折でもありました。
―ちょうどいいタイミングで、リサーチを始められたと。
小林:はい。そこでわかったのが、業界の傾向として「ボトルは軽くしたい、でも容量は維持したい」というニーズがあると。でも、ボトルをいくら軽くしても、そこに飲み物を入れればどうしても多少は重くなってしまうわけで。
―いわれてみれば!盲点でした(笑)。
小林:そこで、私が出した結論が「注ぎ足し」だったんです。飲み物を軽く、コンパクトに持ち運ぶにはこれしかない。小さなボトルで、飲みたい時に飲み物を補充すると。
―一度に多くの量を持ち運ぶ必要はないと。
小林:はい。注ぎ足しであれば持ち運ぶのは軽いし、無駄もなくなる。あとは環境にもやさしいんじゃないかとか、その瞬間に考えていたアイデアがパズルのようにピタッとはまった感覚がありました。
―たしかに、いいことづくめだと思います!
小林:今はオフィスにウォーターサーバーがあることも普通になってきていますしね。これはいけると思ったんですが...
―ですが...?
小林:ちょっと想像していなかった苦労が待っていたんです。
―聞かせてください!
自分の仮説を確かめるために、業界の常識に立ち向かった。
ポケトル ステンレスボトル 各1,200円+税
(※左の3本は、ハンズ限定カラー。)
小林:〈ポケトル〉には2つのユーザーイメージがありまして。1つは、東京都内で働く通勤時間30分〜1時間圏内の女性の方。容量は120mlなのですが、このサイズであれば通勤の間の水分補給に、もしくはちょっとしたブレイクのための飲み物が楽しめるなと考えたんです。
―そこまでたくさんの量はいりませんよね。たしかに。
小林:もう1つはシニアの方々。私の両親も70歳くらいですが、健康のために毎日30分のウォーキングをしているんです。その時に持ち歩く量としてもぴったりじゃないかと。
―どちらも、持ち歩く時間にちょうどいいサイズだと。
小林:ただ、このイメージというか仮説をもって業界の知り合いなどにヒアリングをしても、まったくというほどいい答えが返ってきませんでした。この〈ポケトル〉のようなサイズの商品がないのは、つまりニーズがないからだと。だからどこもつくっていないんだということを散々言われまして...。業界の常識といいますか、通念といいますか。
―そう言われると、一応説得力はありますね...
小林:はい。いろいろな方にそう言われ続けると、自分でもやっぱり不安が大きくなって。会社のスタッフも「本当に大丈夫ですか?」なんて心配するくらいで、本当に発売していいものかと悩みました。ただ、私が元来ひねくれ者ということもありまして、潜在的なニーズは絶対あると信じていました。
―つくりたいものは明確だったんですね。
小林:そうですね。ですから、とにかく価値を伝えるためにどうしたらよいかということを考えました。先ほどのターゲットをもとに、使うシーンをよりイメージしてもらえる什器や、店頭のPOPも自分たちで考えまして。ちなみに、ハンズさんにも売場を工夫していただきました。本当にありがとうございます(笑)。
こちらがハンズの実際の店頭。ジーンズのポケットにひょっこり〈ポケトル〉が!
―でも、きっと相当なプレッシャーがあったことだと...
小林:はい、とにかくしんどかったです。 ものづくりの苦労というより精神的な苦労といいますか(笑)。でも、今は本当につくってよかったと思います。
―次は、発売してからの反響についてもお伺いしたいです!
反響は想像以上!生産数は当初予定の10倍に!
―当初、目標としていた生産数などはあるのでしょうか。
小林:当初は年間で5万本。これだけつくれれば、売上としてもプラスにできるかなと想像していました。
―そしていま、発売から4ヶ月での結果はいかがでしょうか。
小林:まだ集計中ではありますが、おそらく50万本以上にはなるかと。
―目標の10倍!
小林:はい。本当にありがたい話です。ただ生産がまったく追いつかない状況が心苦しくて...。
―うれしい悲鳴といいますか。これは仮説が当たっていたということですね!
小林:今のところはそうですね。発売前に展示会にも出展したんですが、その時に業界の方が見に来られて「やられた...」ってつぶやかれた時に、ああやってよかったなと思いました。
―価値を伝えるための工夫が身を結んだんですね。
小林:そうですね。さらに嬉しかったのは、想定していたターゲット以外の方から、それぞれ工夫して使っているという声をいただいたことです。
―例えばどんな使い方ですか。
小林:お母さんが、お子さんを習い事に行かせる時に持たせたりとか。あと私が特に驚いたのは、常備薬をお持ちのシニアの方。お薬を飲む時にちょうどいい使い勝手のようで。
―なるほど!それは便利な使い方ですね。ペットボトルを持ち歩かなくていいわけですし。
小林:私もユーザーの方に負けずに、もっと使い方の想像をふくらませないと、と考えています。
―今は、さらに〈ポケトル〉ブランドの商品も広がっているようで。
ポケトル ボトルカバー カラビナ付 各700円+税、ショルダー付 各800円+税
小林:はい。まずは似たサイズの商品がないということで(笑)、専用のボトルカバーをつくりました。
―こちらもかわいらしくていいですね。
小林:これだけみなさんに気に入っていただけているので、今後もブランドとしての世界観を大事にしていきたいなと。そこで、専用のお茶も開発しました。
―お茶ですか?!
ポケルティ 粉末茶
左から:宇治抹茶、ルイボスティー、アーモンド抹茶、竹炭宇治抹茶、ジンジャー紅茶、ジャスミンクコブレンド
各680円+税
小林:私どもは京都の会社なんですが、土地柄お茶のメーカーさんが多い。ポケトルの注ぎ足しというコンセプト、あとはシニアの方の健康志向なども考えますと、お茶があってもいいかなと。
―オフィスでお茶を淹れる女性も多いでしょうしね。
小林:そうなんです。そういった方々も想定して、唐辛子の容れ物をベースに特注でつくった容器や「アーモンド抹茶」のようなオリジナルフレーバーなど、〈ポケトル〉らしさが伝わる味や見た目にもこだわりました。
―見たことある穴が!ここから注ぐわけですか。
小林:はい。お茶の粉末は、溶けやすいように特に細かい粒子にしています。これを〈ポケトル〉に入れて、お湯を注いでシェイクするだけでおいしいお茶ができ上がりますよ。
―これからますますブランドが広がっていきそうな予感がしますね!では最後に、今後の〈ポケトル〉についてお聞かせください。
小林:私がものづくりで大切にしていることは、使う人にとってやさしいものかどうか。この視点を込めたからこそ、〈ポケトル〉も受け入れていただけたのではと考えています。今後も、〈ポケトル〉はもちろんですが、それ以外のものも含めて、やさしさのあふれる商品づくりをしていきたいなと思います。
―今日は貴重なお話をありがとうございました!
おわりに
ニーズがないと言われ続けたことをバネに、ステンレスボトルの新しい価値を広めつつある小林さんと〈ポケトル〉。ぜひ実際に手に取ってみて、その小ささを感じてみてください。もしかしたら、あなたが欲しかったサイズかもしれませんよ!
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