おいしいコーヒーの淹れ方を世界チャンピオンに聞いてみよう!

2016年に世界一のバリスタを決めるWorld Brewers Cupでアジア勢初のチャンピオンに輝いた、粕谷哲さんが提唱する「4:6メソッド」。「おいしいコーヒーは誰でも簡単に淹れられる」をテーマに生み出した新しい抽出理論を、実演していただきながら解説してもらいました。おいしいコーヒーを淹れたいと願うすべての方々にとって、これは朗報です!

おいしいコーヒーを淹れるメソッドは、圧倒的にシンプルだった!

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いよいよ「4:6メソッド」の実践編!その方法は、粕谷さんが「おいしいコーヒーは誰でも簡単に淹れられる」をテーマに考えたこともあって、驚くほど単純明快。
① ペーパーを湯通しすること
② 総湯量はコーヒー粉量の15倍にすること
③ 総湯量を40%と60%に分けて淹れること
大きなルールはたったの3つ!粕谷さんが世界大会で優勝した際にもベースにしたルールですから、おいしくなること請け合いです!

透明感のある味わいのカギは、「粗挽き」にあり!

これまでも、粗挽きの豆の味わいの良さは知られていましたが、おいしく抽出するのが難しいとされていました。そこを解決したのが、この「4:6メソッド」!写真は、中細挽きと粗挽きの比較ですが、右のカップくらい粗く挽いた状態でOK。あとはルールに沿って注ぎ方とお湯の量を工夫するだけで、透明感のある味わいが引き出されていきますよ!

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二投目のタイミングは、一投目のお湯が落ちきってから!

「4:6メソッド」の「4」にあたる最初の40%のお湯は、2回にわけて注ぎます。ポイントは、どちらもある程度の勢いを保って注ぐこと。そうすることで粉がフィルター上で攪拌され、甘みや酸味といった味わいを抽出することができるのです。ちなみに、一投目のお湯は、蒸らしの役割も兼ねているため、粉全体に行き渡るように注ぎましょう。

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さらに重要なのが、写真のような一投目が落ちきった状態で二投目を注ぐこと。粕谷さんも、「湯量を4:6にわけることよりも、このタイミングをつかめたことが大きな発見かもしれない」と語るほど。この「4:6メソッド」の核となるポイントですよ。

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残り60%のお湯で、コーヒーの「濃度」を調整する

コーヒーを淹れるということは、すなわち、コーヒー豆の成分を水に溶け込ませることにあります。その工程が、先ほどまでの40%のお湯の役割。そして、溶け込ませたあとは残りのお湯で濃度を調整していく工程です。残ったお湯をできるだけ等分しながら、3回にわけて注いでいきます。おいしいコーヒーまで、あと少し!

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いよいよ完成!プロ直伝の一杯がここに!

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シンプルなルールのもと、出来上がったコーヒーがこちら!取材スタッフももちろん一杯いただきましたが、苦味がほとんどなく、ほどよい酸味があり、何より口にした瞬間から後味まで本当にクリアな味わいを感じることができました。コーヒーが苦手で普段飲まないスタッフも「これなら飲めます!」と、おかわりを希望するほどでした!

素晴らしいメソッドを生み出した粕谷さん。最高の一杯をいただいたあとに、ご自身のお話を少し伺いました。

3年で、ITコンサルタントから世界一のバリスタへ

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「4:6メソッド」生みの親の粕谷さんは、意外な経歴の持ち主。前職のITコンサルタント時代に、入院したことをきっかけにバリスタへの道を歩み始めます。
「糖尿病での入院だったのですが、その時に飲めるものを探した結果、たどり着いたのがコーヒーでした。入院時はたっぷり時間があったので、道具を一式そろえて自分で試行錯誤したり、近くのコーヒーショップに通って淹れ方を教わったりしました」
それまでは、あまりコーヒーショップにすら行かなかった粕谷さんですが、その後はおいしいお店を回り、自宅に戻っては研究する毎日。そして、ついに仕事を辞めてバリスタで生きていくことを決意します。
「やはり入院のときには、すでに人生観が変わっていたんですね。誰だって、いつ身体を悪くするかはわからないということがわかって、それなら手遅れになる前に自分の好きなことをやろうと。そして選んだのが、その時に一番夢中になっていたコーヒーだったんです」

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そんな粕谷さんにコーヒーを淹れる楽しさを伺うと、こんな答えが。
「私は絵も音楽も才能がないのですが、表現したい気持ちはずっと持っていまして。私にとって、その方法がコーヒーなんですね。コーヒーには終わりがないことが楽しい。一杯淹れるごとに、なぜこの味になるのか、違うやり方があったんじゃないかといろいろ思考を巡らせる。その時間が好きなんですね。」
おいしい一杯を突き詰めていった先に、世界チャンピオンの称号と「4:6メソッド」を手に入れた粕谷さん。業界でも注目を集める存在として、今後のコーヒー業界やトレンドについても語ってくれました。
「私は異業界からやってきましたが、まだまだコーヒー業界は視野を広げていく必要があると思っています。というのも、個人的に次のトレンドとして『自動化』の波がやってくると考えているから。おいしく淹れる技術論は終わり、機械で淹れてもおいしい時代がやってくるはずです。今後、私たちバリスタの価値は、一杯の味だけでなくコーヒーを通じた「体験」をどれだけすてきなものにできるかが勝負になる。味や技術から、その先の世界へと目を向ける必要があると思うんです」
今後、ますます活躍が期待される粕谷さん。コーヒーに対して、本当に真剣に取り組んでいらっしゃる姿勢が、会話の端々に感じられました。

おわりに

プロの技術と聞くと、門外不出だったり、長年の経験だったりと、身に付けることが難しいものが多いなかで、粕谷さんの「4:6メソッド」は本当にシンプルそのもの。きっと、誰もが真似することができるはずです。そして、その方法を惜しげもなくシェアする粕谷さんのスタンスに、コーヒーの味だけでなく学ぶことが多い取材でした。ぜひ、みなさんもこのメソッドを使って、毎日のコーヒーライフをもっと充実させてくださいね!

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