タイトルのセリフは『機動戦士ガンダム』でアムロが勝手な事をしてブライトさんに怒られて独房に入れられた時に反抗して「僕が一番ガンダムをうまく使えるんだ・・・」と言ったセリフのオマージュです。
50代以上の方でないと何だかわからないですかね。
こんにちは!梅田店 11Fツクル・ナオスのお悩み解決商店・店主の岡田です。
ホームセンターのカインズさんのメディア、となりのカインズさん、略して「となカイ」って知っていますか?
いつも面白くて、ハンズでブログを発表している私には大変勉強になっています。
その「となカイ」で、私の大好きなピカールが紹介されていました!
https://magazine.cainz.com/article/104776
ピカールは私の大好きなツールの一つです。 私の最初のブログでもご紹介しました。
ピカールは金属磨きの能力がとても高くて、こすらなくても塗っておくだけでも錆が取れるんです。
こんな風に5円玉と10円玉に塗って置いてみました。
しばらく置いておくとイオン化反応みたいな緑色が出てました。
水洗いしたら光っていました。 成分の「脂肪酸」の影響でしょうか。 物理的な研磨と化学的な作用で金属を光らせるのですね。
さて鏡面仕上げは奥が深く、 「鏡面沼」 にハマる人も多い世界です。
一番多いのはナイフや包丁などの刃物の鏡面磨きですが、今回は「となカイ」と同じくシンクを鏡面磨きしていこうと思います。
でもシンクを磨くのはけっこう腰にくるので、腰を痛めやすい方は気をつけてくださいね。
まず、使用した物から
・耐水ペーパー の
#320番 #400番 #600番 #800番 #1000番 #1500番 #2000番 #3000番...各1枚
・ピカール(液)
・スポンジゴムとかペーパーを巻いて削るもの(これは途中で使わなくなったのでいらないかも)
・ウエス(古いタオルとか不要な布)
・使い捨て手袋(ピタッとするゴムの薄いタイプ)
・台所用洗剤
あと、水切り用のスクイジーがあると便利です。
手が真っ黒になるのと、ピカールが灯油臭いので使い捨て手袋は必要です。
耐水ペーパーがこんなにフルラインで要るのかとのご不審はごもっともです。 しかし、よりきれいな鏡面にするには、これ位あった方がいいです。
その分工程も増えるのですが............。
ちなみに缶ボトル入りのピカール液とチューブ入りのピカールケアーは、研磨剤の目の粗さは同じです。
液状かクリーム状かの違いで、液が垂れたら困る所にはピカールケアーが使いやすいです。
今回は磨く面積が広いので、液状で伸ばしやすいピカール液を使いますが、どちらも鏡面磨きに使えます。
「ピカール ラビング コンパウンド」は目が粗めなので鏡面磨きには使えません。
では始めていきます。 いろいろ考えて、最初からピカールを使ってみることにしました。
いきなりピカールだとどうなるかを見たかったので。
使う前にはよく振ってくださいね。
一通り磨くと今後の注意点も見えてくるのでおすすめです。
ピカールだけでも水垢や頑固な汚れが取れて、結構スッキリしました。
蛇口やシンクのまわりにも使えるので、日常のお手入れならこれでも充分です。
しかしながら鏡面を目指すのであればペーパーがけが必要です。下準備として、洗剤で汚れとピカールの成分の灯油を落とします。
洗い流す作業は何度も何度もあります。
蛇口の先が引っ張り出せるタイプじゃないのでペットボトル等で流します。
いよいよ削っていきます。
耐水ペーパー#320に水を付けてこすります。
スポンジゴムがあったのでそれに巻いてみました。 これはこれで良いのですが、最終的に手で磨いた方がやりやすかったです。
最初の一番荒いペーパーがけはとても重要です。 ここで残った大きなキズは最後まで消えません。表面をよく見ながら目立つキズは消しましょう。
とは言え、削り過ぎも良くないです(金属が薄くなるので)それにこれだけ広いとキリがないので手が疲れたら終わりにしましょう。
#320で削ると、最初よりツヤがなくなったと感じるかも知れませんが問題ありません。
ツヤ消しのマットな感じが均一になっていればOKです。
次に#400で削ります。
同じ様に隅々まで削ります。
スポンジゴムに巻いて削るより手で持って削る方が楽でした。このシンクは曲面も多いし。
研磨が終わったら必ずきれいに洗い流してください。
#400の研磨剤が残っていたら、次に#600で研磨した時に#400のキズが付いてしまいます。
#600で削ります。
ところでシンクは、ステンレスの板をプレスしてつくられています。
平らな板を型に押しつけて曲げているわけです。
ですから、側面とか特に曲面部分は板が伸ばされて薄くなっています。
古い使い込んだシンクなのでそれも気をつけながら削っていきます。
ここで残念ながら今日は時間切れです。
思ったより時間がかかり、晩ごはんをつくる時間になりましたのでこれ以降は後日。
洗いおけ等を戻します、大きなキズが付かないと良いのですが・・・。
作業再開です。 やっぱりキズが付きました。
シンクを使っていればキズは付きますから当たり前です。 これくらいなら直ります。
キズの部分だけもう一度#400か#320で削った後#600でキズが見えなくなるまで磨きます。
その後もう一度全体を#600で削ります。
削る度に水洗いと乾拭きで研磨剤の除去が必要なので、窓ガラスのお掃除によく使う水切りのスクイジーがあると便利です。
無ければ乾燥させる為に結構な量のウエスが必要です。
ここまでに時間がかかりすぎたので、計画を立てました。
底面を磨く 10分(縦方向に5分 横方向に5分)
側面を磨く 10分(縦方向に5分 横方向に5分)
全体の仕上げ 10分(円運動)
洗い流して次の準備 10分
けっこう腕と腰を使うので、ジムのワークアウトみたいになって来ました。
#800で磨きます。
ところでステンレスは何故錆びないのでしょうか?
答えは 「表面が目に見えないほど薄く錆びていて、それ以上錆びないから」 なのです。
ですから今回の様に表面を削ると、ステンレスは表面を保護しようとしてすぐ錆びます。
錆びると言っても目に見えない程の錆びなので、錆びた様には見えません。
目に見えない程の錆びですが、何年もすると我が家のシンクの様にくすんでくる訳です。
#1000で磨きます。
さっき立てた10分毎のスケジュールは守れない事がわかったので、気がすむまでとことんやることにしました。 今日終わらなければまた後日やります。
よりよい仕上がりを求める気持ちと腕の筋肉の持久力とのせめぎあいです。
#1000位になると、だんだん削ると言うより磨く感じになって鏡面が近づいてくるのを感じます。
サンドペーパーがだんだんペチャっとくっつく様になってきました。 今までより多く水をかけながら研磨します。
#1500で磨きます。
ひたすらに研磨しているとあっという間に時間が過ぎてゆきます。
無心でやっているはずなのに、なぜかいろんな事が頭に浮かんできます。
昔読んだ漫画や小説のセリフ。
幼かった頃の思い出。
昔見た光景とその時の気持ち。
「あの時こうしていれば......」
「いや、あれでよかったんだ......」
次々と頭に浮かんできます。
#2000で削ります。
#2000になると耐水ぺーパーを金属研磨以外に汚れ落としにも使う事ができて、陶器の洗面台やトイレの水タンクの上の水受けの水垢や鏡のウロコ取りなんかにも使えます。
陶器のカップの飲み口が何となくザラザラしている時に#2000くらいの耐水ペーパーで磨くと少しサラッとするそうです。
縁に金が塗ってあったりしたら取れちゃいそうですが。
#2000で磨いた後、シンクを覗いてみました。
ようやく顔が写ってきましたがまだ鏡面とは言えませんね。
#3000で削ります。
#3000の耐水ペーパーは入手しにくいかも知れません。
その時は、#2000のペーパーの研磨面同士を擦り合わせると研磨剤の目が細かくなって#3000になると塗装職人さんに聞いた事があります。
本当かどうかはわかりません。 入手できなければ#3000は飛ばしても構いません。
#3000で研磨後、シンクをのぞき込むとこんな感じです。 だんだん鏡面に近づいてきました。
ようやくピカールの出番です。
ピカールに入っている研磨剤の粒子のサイズはおよそ3μ(ミクロン)です。
サンドペーパーで言うと#5000くらいにあたるので、#3000の次としてはちょうどいい感じです。
ここで裏技を。
金属磨きやサビ落としをする時には、研磨剤をラップに付けて使うと効率がアップします。
コンパウンドに含まれている研磨剤は小さな粒なので、布につけて対象物に押し付けると布の中に入り込んでしまいます。
でもラップなら研磨剤がラップの中に入り込む事が無いので、研磨剤が対象物にしっかり当たり、実力を発揮してくれると言う理屈です。
この段階ではピカールはたっぷり使いましょう。 全体を時間をかけて磨きます。
ラップ磨きは何故かすぐ磨きにくくなるので、磨きにくくなったら水を少し掛けると滑りが良くなります。
一通り磨いたら洗剤で洗い流します。 灯油が入っているので水では洗い流しにくいです。
良く磨けていますが、ラップに付けての磨きはやりにくかったです。小さいものにはいいと思いますが。
ラップを使っての研磨はなんとなく楽しくないので、やっぱり布に付けて研磨する事にします。
一通り磨いてもういいかなと思ったら、ピカールを新たに付けず黒くなった布のままで更に磨きます。
これはさっきの「ペーパー同士を擦り合わせると目が細かくなる」の理屈で、ステンレスを削って丸くなった研磨剤は元々の3ミクロンより小さくなって、つまり研磨剤の目が細かくなっているのでより鏡面に近くなるから、だそうです。
本当かどうかはわかりませんがたしかにそんな気がします。
研磨作業毎にシンクを洗剤で洗うのですが、今まで使っていたアクリルタワシを使うとアクリルの繊維でキズが入りそうなので手袋のまま洗剤を付けて洗います。
そんなこんなをしながら気がすむまで磨いたら完成です。 結局ピカールで3回、研磨と洗いを繰り返してしまいました。
対象物をアップで撮ってみます。
水の流れ方が全然違います。 新品の時はこうだったのかな。
これでピカールでの鏡面磨きは完成です。 とても楽しい時間を過ごせました。
毎日使うシンクなのでまたすぐにキズや曇りが出て来くるでしょうが、また磨く楽しみができるってもんです。
どうやら「鏡面沼」にハマったみたいです。
お読みいただきありがとうございました。
後でわかったのですが、一番鏡面にできていたのは、毎回ついでに磨いていた排水口のフタでした。 おまえいつの間に・・・
過去の【梅田店】ツクル・ナオスのお悩み解決商店のブログはこちらです。 https://hands.net/hintmagazine/11f-umeda-staff/