自転車に乗るすべての人のヘルメット着用が努力義務化されてから、3ヶ月以上が経ちました。この間に新調した方はもちろん、買い替えた方も多いのではないでしょうか。
せっかく手に入れたヘルメットならば、できるだけ長く、大切に使っていきたいもの。そこで今回は、世界中の自転車やそのパーツ、アクセサリをメインに取り扱うダイアテック株式会社の松野岳さんに、ヘルメットの正しいお手入れ方法を伺いました。
自転車ヘルメットの役割をおさらい
―松野さん、本日はよろしくお願いします。
松野さん:こちらこそ、よろしくお願いします!
―自転車のヘルメット...と聞くと、なんだか子どもの頃を思い出します。親や学校の先生から「この白いやつをかぶりなさい」って、よく言われたものです。
松野さん:昔と比べると今はヘルメットにもたくさんの種類があって、デザインもさまざまです。ダイアテックでは、ドイツの〈ABUS〉やアメリカの〈GIRO〉など、海外の人気ブランドのヘルメットも仕入れています。
〈ABUS〉のアイテムはこちら>>
〈GIRO〉のアイテムはこちら>>
―わあ、見た目がスタイリッシュ。そしてすごく軽そう。
松野さん:もともと自転車は海外(ヨーロッパ)で発明された乗り物なので、こういったアクセサリーも豊富なんです。
―なるほど。日本にも、いわゆる「ママチャリ」文化があるからか、大人になっても自転車には親しみがあります。ちなみに今年の春、「すべての自転車利用者のヘルメット着用」が努力義務化されましたね。ずばり、この理由として考えられるのは...
松野さん:ヘルメットを着用しているか否かが、自転車事故時の致死率に大きく影響することが挙げられます。
―どれくらい影響するのでしょうか。
松野さん:警視庁の調べによると、ヘルメットを着用していない場合の致死率は、着用している場合と比較すると、約2.3倍も高いことが分かっています(※1)。
―2倍以上ですか...。
松野さん:また、死亡事故の約7割が頭部に致命傷を負っている(※2)ことから、やはりヘルメットの最大の役割・目的は、事故時の死亡リスクを下げることですね。これはとても大事なことです。事前に事故をしないための備えももちろん重要ですが、特にヘルメットが必要になるのは本当にその瞬間。最後の命綱になります。死亡率の一番高い事故は追突事故なので、後ろから車が追突してきたことを想像してもらうとヘルメットの大切さが分かると思います。
―通勤・通学もそうですが、「ちょっとそこまで乗ろう」という時も注意が必要ですね。
松野さん:あくまで「努力義務化」ですが、自転車に乗る時は必然的に手に取っていただきたいもの。「ヘルメットの着用=命を守る」行為なんですよ。
※1、2ともに警視庁ウェブサイトより(2023年7月時点)
お手入れのシンプルな大原則
―命を守るアイテムだからこそ、日頃のお手入れも大事ですよね。
松野さん:いよいよ夏本番で汗をたくさんかく時期ですし、いつも気持ちよく使いたい、というのもありますね。
―でも、いざお手入れするとなっても、何をどうすればよいのか意外と分からない...。
松野さん:まずはヘルメットを「外側」「内側」の2つで捉えましょうか。ここでは「外側」を「アウターシェル」と呼び、内側を「インナーシェル」、インナーシェルの素材を「EPS(※)フォーム」、内側のクッションをインナーパッドと呼びますね。
※Expanded Polystyreneの略。ビーズ法発泡スチロールのこと。
―ほう...。
松野さん:アウターシェルの汚れの主な原因は、雨や砂ぼこり、排気ガス。インナーシェルには汗や皮脂が付着しやすく、汚れのもとになりがちです。
―なんだか服の汚れ方と似てますね。何を使ってお手入れすればよいのでしょうか。
松野さん:いずれも、ふきんとぬるま湯(30℃〜35℃)、中性洗剤があればOKです。
(左から)
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―シンプルで分かりやすい!気になる汚れを拭き取っていく、というイメージですか?
松野さん:その通りです。水でバシャバシャ、ゴシゴシ洗ってしまうと、隙間に水が入って接着剤が弱くなったり、素材が傷んだり、ヘルメットにとって良くないので、あくまでやさしく、ていねいに、です。紫外線も劣化の原因になるので洗った後は日陰に干しておきましょう。
―ほかに注意すべきポイントはありますか?
松野さん:ひび割れなどの破損部分がないかチェックすることも大事ですね。丈夫につくられたものなので極度に神経質になる必要はありませんが、直に触れるものですし、いざという時の衝撃の緩和力に影響を与えかねません。使い終わるごとに確認するクセをつけ、もし破損部分が見つかったらそのまま使わず、新しいヘルメットを入手してください。
【実際にやってみた編①】アウターシェル(外側)のお手入れ
ここからは実際にお手入れの工程を紹介します。
ふきんをぬるま湯に濡らしてしっかりとしぼり、拭いていきます。
雨の日は泥が付着する場合もあるので、穴部分の汚れも念入りに拭き取ってください。汚れがひどい時はぬるま湯に中性洗剤を薄めて使いましょう。
あまり汚れが目立たない時は、軽く霧吹きして拭き取るだけでもOKです。
霧吹き後は乾いたふきんで拭き取って干しましょう。アウターシェルの主な素材である樹脂は紫外線に弱いので、日向で干すと劣化する恐れがあります。必ず日陰で干してくださいね。
【実際にやってみた編②】インナーシェル、インナーパッド(内側)のお手入れ
内側のお手入れをする前に、どの位置にどのインナーパッドがあるのかを忘れないよう、スマホなどで撮影して記録しておきます。
インナーパッドをひとつずつ外したら、アウターシェルと同じように、インナーシェルの汚れを拭き取っていきます。外す時に、マジックテープを固定する両面テープ側が剥がれないように慎重に。
拭き終わったら、外したEPSフォームのお手入れもぬかりなく。ぬるま湯でひとつずつていねいに手洗いしていきましょう。汚れがひどい場合は中性洗剤を薄めて使ってもOKです。
ここまで洗うと気になってくるのが、あご紐の汚れ。顔まわりに最も触れる部分なので、できれば一気にジャブジャブ洗ってしまいたいところ...ですが、あくまでていねいに。
特に気になる部分は、歯ブラシなどを使ってピンポイント洗いしましょう。留め具を緩めて隙間などにもアプローチするのが◎です。
あご紐を洗う時に中性洗剤を使ったら、洗剤が残らないように水でしっかりとすすぎ落としてください。その後は同じく、乾いたふきんで水気を拭き取って日陰干ししておきましょう。
インナーシェル、インナーパッド、あご紐がすべて乾いたら、あらかじめ撮影した写真を見ながらインナーパッドを正しい位置に戻し、完了です。
もしEPSフォームを外しづらい場合は、パット用の洗浄フォームを使うのも手ですよ。
マックオフ(MUC-OFF) FOAM FRESH 400ml 1,628円(税込)
泡が細部に密着して汚れを浮かすので、あとは拭き取るだけ。ヘルメットをお手入れする頻度は「使い終わるごとに」が理想ですが、毎回時間を確保するのは難しいかもしれません。その点、洗浄フォームはスピーディーにお手入れできるので、デイリー使いにもぴったりですね。
自転車のプロがおすすめするヘルメット!〈GIRO・CORMICK MIPS〉
―これを機に、「新しいヘルメットを手に入れようかな」という方も多いと思います。ずばり、松野さんのおすすめヘルメットを教えてください!
松野さん:いろいろあって迷いますが...目的や使用シーン、年齢や性別などを問わずにおすすめしたいのが〈GIRO・CORMICK MIPS〉です。
―どんなヘルメットですか?
松野さん: MIPS(多方向衝撃保護システム)と呼ばれるセーフティーテクノロジーを搭載し、直接的な衝撃エネルギーはもちろん、転倒時などに生じる回転的な衝撃エネルギーを分散して頭部を守るヘルメットです。後部には反射で光るリフレクティブハイライトを採用しているので、被視認性もピカイチですよ。
―夜間でも使いやすそうです。
松野さん:通気性に優れた設計で、蒸れにくいのもポイントです。約275gと軽く、「ちょっとそこまで」の移動時にもストレスなく使えます。
―汗っかきの身としては心強い。ストレスフリーで着用できるのはありがたいですね!
そのほかにも、ハンズではダイアテックが取り扱うさまざまなヘルメットをご用意。
安全性を考慮した緻密な設計、スタイリッシュなデザイン、使いやすさと、三拍子が揃ったヘルメット。ぜひ手に取り、試着し、自分にぴったりの1個を見つけてくださいね。
おわりに
すべては安心・安全のために。ヘルメットを着用し、こまめにお手入れをしながら、気持ちのよい自転車ライフを楽しんでください。
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