コスプレイヤーの方がパーツ製作によく使われるコーヨーソフトボード(旧ライオンボード)。
伸縮性、柔軟性の高い特殊塗料「ウレヒーロー」との相性は抜群です!
それらを組み合わせて、コスプレパーツでよく使われる「肩防具パーツ」をつくってみました!
こんにちは!梅田店ツクル・ナオスのお悩み解決商店店主の岡田です。
コスプレ用の武器や防具は、3次元的な造形と塗装が必須なので、ソフビや布等の軟質素材に塗装できる塗料が必要です。
株式会社斎藤塗料から発売された「ウレヒーロー」なら、そんな目的にピッタリ!
「ホビーのPVCなどの軟質パーツ、コスプレ造形などの 柔軟素材に対して追従する特殊塗料です」との紹介通りに、コスプレパーツ製作には最適です!
今回は「ウレヒーロー」とコスプレパーツ製作に欠かせないコーヨーソフトボード(旧ライオンボード)で肩防具をつくってみました。正式な商品名が長いので以下はライオンボードと言うことにします。
斎藤塗料「ウレヒーロー」の詳しい情報はこちらのウレヒーロ―HPよりご確認ください。なかなか画期的な塗料です。
ソフトなものに塗るには最適な「ウレヒーロー」全11種、各カラーとも光沢ありと全つや消しの2種があります。
ここまで素材の変形に追従して伸縮する塗料とは驚きです。ソフビやゴム素材、軟質塩ビ(PVC)には最適ですね。
ではまず設計から。
紙を切って仮止めして体に当ててみて「こんなもんかな」で始めます。最終的には型紙よりずいぶん大きくなっちゃいましたがそれもまた良し。
さてここで「加熱すると三次元的に膨らませることができ、その形をキープする」というライオンボードを加工する練習をしておきます。
ドライヤーで加熱してみましたが上手くいかないのでコンロであぶることにしました。ヒートガンがあると一番いいそうです。
ヒートガンとはドライヤーの強力なやつですが、ご自宅にある方は少ないでしょう。
火に近づけすぎると溶けた樹脂をまき散らしながら燃えるので注意して下さい!
加熱した後、素早くボールなどの型に押しつけます。
そのまま冷えるまで待つか、濡れタオルに当てるとかして常温に戻します。冷えればその形をキープしてくれます。
しっかり冷やすのがポイントです。冷える前に手を放すと元にもどってしまいます。
こんな形に変形できました。このように三次元的に曲げるのではなくて二次元的に曲げるだけならもっと簡単です。今回は厚さ5ミリのライオンボードを使っています。2ミリの物もあります。それならもっと楽に変形させられるかも。
素手で触れる程度の温度で変形できます。練習でけん玉もやってみました。本番前に、どのくらいの温度で変形するのかを練習して確認しておきましょう。
さて製作に戻ります。ライオンボードをハサミで切った後、変形させていきます。
手で持てるくらいの温度で変形できるのですが、火が熱いのでお箸で持って加熱しました。
細かい修正はライターで加熱して行います。画像は無いですが、ボールを型にして押しつけたり親指でぐいっと押したりして変形させます。やり直しができるので、気が済むまで加工しましょう。あぶりすぎて焦げた跡が見えますね。
フチに細く切ったライオンボードを貼っていきます。カーブ部分はあらかじめ曲げておくと接着しやすいです。
柔らかいもの同士の接着には接着後硬くならない接着剤が適しています。
今回は「コニシボンド ウルトラ多用途 SU プレミアムソフト」を使いました。曲げる部分の接着に向いていますので、靴底の剥がれをくっつける時や軟質塩ビ、革、合皮の接着に向いています。
次は塗装前の下地処理です。ライオンボードに直接ウレヒーロ―を塗っても吸い込んでしまってツヤが出ません。「木工用ボンドに水を少し加えたものを塗ることで下地の代わりにとして使える」との情報があったのでテストしてみました。
結果は「水性塗料の上に油性塗料を塗るのはNG」という塗装の基本に反した為、こんな風に下地が何だかデコボコになりました。やはり基本は守らなければ。
やはり下地と言えばジェッソです。曲げにも強く塗料のノリも非常に良いです。水性ですが油性塗料の下地にも問題なく使えました。
今回は使い込んだ金属感を出したいのでジェッソの上にそのまま黒を一回塗りしましたが、より光沢を求める場合はジェッソ乾燥後にペーパーがけしてから黒を2~3回塗るとか、クリアを塗るとかして光沢を出した後シルバーを塗ります。
ジェッソを塗る前にグルーガンで模様を描いてゆきます。ファイヤーパターンを下描きして、なぞっていきました。グルーガンは接着以外に盛り付けも出来るので、クラフト全般で役に立ちます。
ジェッソが完全に乾いてから「ウレヒーロー」の黒を塗りますが、いくら下地専用のジェッソと言えども水性なので、乾燥が不十分だと後でべとつきが出たりするので本当は乾燥に3日くらい置きたいところです。
乾燥後の表面に刷毛スジが目立つようなら、目の細かいサンドペーパーで平らにします。今回の様にラフな仕上げでよければ気にしなくていいです。
「ウレヒーロー」は乾燥が早いので、塗料がネバっこくなってきたら「ウレヒーロー専用薄め液」で少し希釈します。油性塗料は薄め液の指定が必ずあるのでそれを使いましょう。違うのを使うのはトラブルの元です。
ここからは「ドライブラシ」という技法で銀を塗ります。ドライブラシとは、筆につけた塗料を紙や布でふき取ってカスカスにしてわずかに塗料が付く状態で塗る技法です。初めての方はちょっと練習しないとうまくいきません。私も久しぶりなので何度か試し塗りをしました。
今回は黒の上に銀をドライブラシで塗ることで、黒く塗った鉄が使い込まれてこすれた部分から下地の鉄が見えてきた状態を再現するのを目指しました。
いきなり銀を原液で塗るのではなく、まず黒に少し銀を混ぜたものを塗ります。その後に黒を減らして少し明るめに調色したものを塗ります。最後に原液の明るい銀を塗ります。3段階に明るさを変える事でグラデーションが明確になります。
2段階目の銀黒を塗った状態がこれです。
特に光らせたい部分にはドライブラシではなく普通にハイライト的に銀を塗ります。これで塗装は終了です。写真では分かりにくいですが、さっきの写真より使い込んだ金属感が増しています。
ブログの一番下の紹介商品の「詳しく見る」から見ていただくと説明があるのですが「メッキシルバーとメッキゴールドは希釈済みのエアブラシ推奨品です。筆などでも塗装できますが、メッキ感の見た目は損なわれる可能性があります」との注意があります。
たしかに黒に比べてかなり粘度の低い塗料でした。本来はエアブラシ用ですが、下地に光沢があれば筆塗りでもメッキ感は出ると思いました。
乾燥したところで、グイっと曲げてみました。これだけ曲げても柔軟性と伸縮性の高い塗料「ウレヒーロー」なら塗装がひび割れたりしません、普通のラッカー塗装ならここまで曲げると塗膜がひび割れるはずです。
内側に装着用の安全ピンを付けて完成です!
こういうのを身につけると、やっぱり武器を持ちたくなりますね。本当は斧がいいのですが、代わりに鈍器を持ってみました。
肩防具だけで何だか違う自分になるようで気持ちが上がります。胴体部分もつくりたいとか、斧をつくりたいとかモヒカンにしたいとか思いました。コスプレをするの方の気持ちが少しわかりました。
テストや練習を繰り返しながらだったので時間はかかりましたが、だんだんできていくのを見るのは楽しかったです。
シンナー臭が強いので換気を充分にしながら塗装してくださいね。あとあまり湿度の高い日は「かぶり」と言ってツヤが出ず白っぽくなる事があるので梅雨時に塗装する場合はご注意ください。
今回製作した肩防具は梅田店11Fツクル・ナオスのお悩み解決商店店主のブースに展示しています。ぜひ一度ご覧ください。
皆様のご来店を心よりお待ち申し上げております。