「手ぬぐい」というと、記念品として貰う物というイメージがありませんか?
そんな旧来の手ぬぐいのイメージから脱却した製品。ストールの「hirali」首の肌着「Oo(ワォ)」などの商品をつくるメーカーが堺市の「竹野染工株式会社」です。
前回の東京オリンピックの3年前、昭和36年(1961年)に創業した竹野染工は、全国で唯一の技術「両面捺染(りょうめんなっせん)」という、裏表で違う色を染色する高い技術を活かした、和晒し織物業界全体の新しいブランディングを進めています。
こんにちは! 梅田店 11Fツクル・ナオスのお悩み解決商店・店主の岡田です。
梅田店11Fで「大阪製ブランド」を集めたコーナーが始まりました。
大阪府にあるの高い技術と強い個性を持つ企業の商品をご紹介するコーナーです
今回はそんな「大阪製ブランド」の企業の中の一つ、「竹野染工株式会社」の魅力をお伝えするため、大阪府堺市中区毛穴町にある工場へ行ってまいりました!
JR阪和線 鳳(おおとり)駅から東へ徒歩20分。のどかな石津川のほとりにある、のんびりしたたたずまいの建物の中では、職人さんたちが汗をかきかき作業をしておられました。
今回工場内を案内していただいたのは、竹野染工株式会社ブランドマネージャーの織田美里さんです。 織田さん暑い中ありがとうございました。
工場の入り口近くに染色する前の生地が大量にありました。
これらの布は糸から布にする「織屋」にて布になった後、やはり生成りの布を釜で炊いて、晒しの生地にする「晒屋」を経てここにやってきた、和晒しの生地です。
どちらも堺市内に工場があります。手ぬぐいのまち堺ならではですね。 なんだかすごく和晒しの産業を支えていこうという意気込みを感じます。
和晒しの種類は大まかに分けて 文(ぶん)と岡(おか)があり、糸の太さが文の方が太く、生地に厚みがあります。
上のランクに上文(じょうぶん)、特岡(とくおか)があります。 「hirali」は上文を使っています。 納品されてきた生地にもそんな表記がありました。
「特岡」「上文」と書かれていました。
工場の中を見学しました。 竹野染工では、ロール捺染(なっせん)とシルクスクリーン染めを行っています。 お得意のロール捺染の元となるのがこの超重い鉄のロールです。
連続している柄でしたらこれくらいの細いもので対応できますが、一枚の絵のような柄の場合はもっと太いものになります。
これを柄を変えるごとに入れ替えるので、結構な筋力が必要です。
ロール捺染とはこのロールに染料を付け、柄となる凹みの部分にだけ染料を残してそこ以外はステンレス製の長い刃物で余分な染料を落としてから生地に圧着し、生地に柄を付ける染色方法です。
紺の染料の向こうの銀色の円筒状の物が先程のロールです。
ロールに刻まれた柄がきれいに生地に付き、上がっていって乾燥工程に進みます。 この柄の部分だけに染料をきれいに残すためには、刃が鋭い方がいいのですが、鋭すぎると強度がなくなってしまい長持ちしません。
このブレードには鋭さと強度のバランスのとれた研ぎの技術が要求されます。
この刃物は職人さんがステンレス板をヤスリや砥石で研磨してつくっています。 何年も修行してその技術を身につけて初めて独り立ちできるそうです。
刃を研いでいるこの方は現在のロール捺染の職人さんで、ベテラン職人の元で4年修行したのち、去年独り立ちされました。
まだ20代の方だそうです。 寡黙な職人さんという感じでしたが、私に研ぎ中の刃と刃のもとになるステンレスの板を見せて説明してくれました。
お仕事中ありがとうございました。この方に限らず、全体に若い方が多かったです。
染色された生地は、上部の乾燥機を通ってここに出てきます。これは試し摺りとの事でした。
実際には赤い枠の部分がスイングして出来上がった生地がどんどんたたまれてゆきます。
ロール捺染の命とも言えるロールの倉庫です。織田さんによると「1,000本以上あります。全部同じに見えますが 職人達は何処に有るか頭の中に全て入っています。凄いです!」との事です。
こちらはシルクスクリーン印刷です。 ロール捺染は顔料と染料両方使う事が出来ますが、シルクスクリーンは顔料のみを使用します。
型はシルクスクリーンの方がかなり安く、小ロットの場合はスクリーンでの対応となることが多いです。
染色後は乾燥機の中を通り、折りたたまれます。
奥で顔料を注いでいる方は工場長の大石さん。若き工場長としてスクリーンの染めのスケジュール管理や工場の運営を仕切っておられます。
こちらは調色を行う場所です。 調色は調色専門の職人の方がおられるそうです。
写っていませんが、あちこちにすごい種類の染料と顔料が並んでいます。
完成した商品はここから出荷されます。
これは出来上がった生地を折りたたむ機械。70年くらい前につくられた機械だそうです。
無骨な鉄の感じがたまりません。
横の、この機関車の車輪みたいなのが回転して円運動を上下運動に変換して・・・なのですが、言葉では伝わらないですね。
竹野染工さんのインスタグラムで動きを確認できます。
それと梱包の為に体積を小さくするプレス。
技術と情熱の凝縮された商品がここから旅立ってゆきます。これをご覧の皆さまにもぜひ使っていただきたい。
竹野染工のストール「hirali」と首の下着「Oo(ワォ)」商品は、2022/8/31までハンズ梅田店11F 「大阪製ブランドコーナー」にて販売しております!
その他にもいろんな製品があります。HPもぜひご覧ください。
今回は堺市の和晒染色工場の竹野染工さんにおじゃまして見学をさせていただきました。
織田さん、職人のみなさんお忙しい中ご協力ありがとうございました。