この連載は、文具沼にハマった事務用品バイヤーの大瀬が、あなたを深い深い文具沼へと誘(いざな)う物語。今回は、さまざまなキャラクター文具でおなじみ〈サンスター文具〉さんの新商品〈おしりマウス〉誕生エピソードに迫ります。取材直前に「実を言うと、かわいい文具を避けがちだった」と、(本人的には)打ち明けていた大瀬。しかしその胸を打ったのは、おしりをこよなく愛する大人の本気、日々の暑さをもしのぐ情熱でした。
さて、大人が本気を出したなら
時は2023年7月中旬。
―ふう、暑い日が続いてダラダラしちゃうなぁ。でも、今回の取材先は〈サンスター文具〉さん!キャラ文具のときめきでモチベを上げてくれそうだ。さて、大瀬さんはと...
集合時間は厳守。大人の手本・大瀬
―あ!おーせさ〜ん!!
ハンズ歴33年の大ベテラン。古武道歴は10年
大瀬:あらあら。お久しぶりですね。
―うだるような暑さが続きますが、いかがお過ごしでしたか?
大瀬:ええ、健やかに過ごしておりました。来週、天然理心流の序目録という階梯に進む予定です。
―大瀬さんって、どんなに暑くてもちゃんと大瀬さんですよね。安心します。がんばってください。
大瀬:ふっふっふっ。ありがとうございます。
―さて、今回は〈サンスター文具〉さんに新商品〈おしりマウス〉のお話を伺います。ポップでキャッチーなキャラ文具で有名ですよね。...ちなみに、大瀬さんは普段どんなマウスを使っているのですか?
大瀬:いたって普通の、シンプルなものです。
【連載vol.10】定番モノは文具沼への入り口 〜テレワークで便利なアイテムを紹介したかった編〜の大瀬(2020年7月)
―ほんとだ。「ザ・定番」という感じですね。でも〈おしりマウス〉はなんというか、変化球感ありそうですよ。名前からして。この企画でよいのでしょうか?
大瀬:...どうしても気になったのです。
―?はい。
大瀬:実は私、「かわいいもの」がそんなに得意ではない。どちらかと言うと地味めな事務用品が好みなのですが。
ここまで来たのに
※〈サンスター文具〉さん本社ビル受付にて
―(今ここで...?)はい。
大瀬:...ですが、気になったのです。大の大人が〈おしりマウス〉というものを、なぜ、どのように追求したのか。おしりを。
―おしりではないと思いますが。
大瀬:ふっふっふっ...。細かいことは気になさらず。では参りましょう。大人だから、というところにミソがあるかもしれませんからね...。
〈おしりマウス〉で救いたい。毎日がんばる社会人
バタン(ドアを開ける音)。
―あれ、この会議室ですよね。担当の方がいらっしゃらない...?
大瀬:どうやら、おしりがお出迎えのようですな。
―?!?きゃっっ、きゃわ〜!!!おしりが「つるプリッ」としてる〜〜!
??さん:こちらが弊社新商品の〈おしりマウス〉です!
〈サンスター文具〉のクリエイティブ本部・人見友佳子さん
大瀬:人見さん。本日はよろしくお願いいたします。
―(大瀬さん、全然動じないんだな...。)ビックリしちゃいました!よろしくお願いいたします。あ!手に持っているのも〈おしりマウス〉ですね。
人見さん:そうです。どうぞご覧になってください!
サンスター文具 おしりマウス 各3,080円(税込)
商品ページはこちら>>
※左からジャンガリアン、ゴールデン、ロボロフスキー
―3匹(個)もいる!
大瀬:これらはPCの入力装置の1つ、いわゆるマウスですね。
―急に現実的ですね。
人見さん:はい。〈サンスター文具〉史上初のPCマウス、〈おしりマウス〉です。では改めまして、おしり側をどうぞ。
―わ〜!「つるプリッ」としてる!こうして並べるとかわいさ倍増ですね!ね、大瀬さん!
大瀬:ほう...。
ほくそ笑む大瀬
―しかしなぜ、〈おしりマウス〉は誕生したのですか?
人見さん:デスクワークって、楽しいことや、わくわくすることばかりではないじゃないですか。
大瀬:...お察しします。組織のルールや、予算や、納期や、目標や、計画や、自分の体力や能力の限界、しかし叶えたいこと、周りが求めること、何よりお客さまが望まれていることや(長いので割愛)...現実と理想がありますから。デスクでは、さまざまな感情が生まれます。特に社会人は。
突然の世知辛トーク
―(さっきまで二人とも笑顔だったのに...。)はい。
人見さん:なので、デスクに癒しと、ときめきを。かわいいのど真ん中をお届けしたかったんです。みなさまの笑顔を、少しでも咲かせたく。本当にその一心で。
―なるほど。なんだか説得力がありますね。
(...でも大瀬さん、取材前に「かわいいものは苦手」的なことをいってたような...あっ)
ちょっと楽しそうな大瀬
大瀬:この子と私、よく目が合う。
議論と交渉と説得、その果てに
―ところで、〈おしりマウス〉のデザインはどんな発想からスタートしたんですか?
人見さん:もともと弊社は、〈卓上クリーナー・もぐもぐズー〉という、ハムスターをモチーフにした商品を手がけておりまして。
サンスター文具 卓上クリーナー もぐもぐズー 各880円(税込)
商品ページはこちら>>
―これまたかわいいですね。デスク上のゴミを、ハムスターが「もぐもぐ」と食べるように掃除すると。
大瀬:うむ。持ち運びしやすいし、目も合う。よき。
加速する愛おしさ
人見さん:はい、おかげさまで大好評でして。ただ予想外だったのは、SNSなどで「おしり側」の写真をアップされる方がとても多かったんです。
大瀬:この「プリッ」とした表現が注目を集めたのでしょうね。非常に「映え」ますし。
人見さん:そんな折に社内の営業サイドから、「これ、マウスとかにできませんかね〜?」とぐいぐいっと提案を受けて。でも、私たちはマウスをつくった経験がない。だから十分な知識もない。「そんな簡単にいわれても...」と思いました。悩みました。でも確かに、「あったらいいな」と思ったんです。私自身、癒しがほしい。デスクに。
―マウスにマウス(ハムスター)。
大瀬:ふっふっふっ。
人見さん:そこからはもう、議論の積み重ねでした。「かわいいおしりのマウスをつくるためには」という発想をベースにしつつ「いや、つぶらな瞳も」「いやいや、それだけじゃなくて機能性も、丈夫さも、適度なサイズ感も...」と、社内一丸となってさまざまな意見を出し合いました。
大瀬:マウス本来の目的から外れるわけにはいきませんからね。気合いを入れるべきは、おしりだけではないぞと。
前後の「脚」もデザイン。見えない裏面にもこだわりを詰めた
―あっ。
大瀬:後脚が宙に浮いている...デスクに当たらないように配慮されているのですね。
人見さん:デスクを傷つけたり、動かすたびに音が出たり、モノにひっかかって可動性が悪くなったりすると、使う側にとってはストレスですから。本末転倒です。
大瀬:なんと気の利いた設計。こういったモチーフものは、最初から型が存在し、そこに柄や色を足していく手法がほとんど。しかし...こちらは型からつくられていますね?
人見さん:さすが鋭いですね。製造をお願いしたのは、おもちゃをメインに受注されている工場さん。「そもそもマウスにおしりというモチーフが珍しいのに、そんないろんなオーダー...本当にやるんですか?」と。そうですよね。ファンタジーとリアリティーの融合ですから。色だってそうです。実在する種類のハムスターの色になるべく揃えたかった。なので、相談と交渉、説得を続けました。どうしたらできるのかを考え抜いていただきました。数えきれないほどの試作を重ねました。みなさん、プロフェッショナルでした。
大瀬の手の中にあるもの。それは職人技の結晶
―胸アツです。
大瀬:そして、やはりこの光沢たるや。...美しい。
おしりにうっとり
人見さん:うふふ。ありがとうございます。表面部分は「エポキシコート」という特殊な樹脂を使用し、光沢のある「つるプリッ」感を表現しました。ボールペンのインクやキズがつきにくいんですよ。小さくってもタフな子です。
―一切の妥協ナシ!ですね。人見さんの情熱を感じます。
大瀬:ええ。さまざまなご苦労を重ねられたのですね。その責任感と使命感、遂行力に、社会人として、いや人として、深く尊敬いたします。多くの方とのチームワークにもあっぱれです。
―そうなんですけど、表現のスケールがすごい。
人見さん:でもやはり...〈おしりマウス〉づくりの日々を振り返って鮮明に思い出されるのは、おしりについて真剣に考え続けたこと。おしりの魅力を考え直そう。それは曲線美かもしれない。いや、あくまで親しみやすさが重要だ。しかしそもそも、ハムスターのおしりは2つに分かれるものなのか。人のおしりはどうなんだろう。2つで1つなのか、どこを1つと数えるべきか。いやいや重要なのはキャッチーさで、きっと現実に走りすぎてはいけない...とぐるぐるぐるぐる。私の人生において、おしりのコンセプトについてこんなに考えることは、後にも先にもないと思います。
―スケールがすごい。
人見さん:かわいさと使いやすさをきっちりと両立させた結果が現在の完成形です。
大瀬:奥が深い。〈おしりマウス〉の型に、その存在に、命を吹き込まれた物語ですね。尊い。
―こんなにおしりが主題となるお話を白昼に伺えるのも、ある意味大変貴重です。
仕事だ!勉強だ!おしりまつりだ!
人見さん:〈おしりマウス〉とあわせて注目していただきたいのが、〈おしりマウスパッド〉です。
サンスター文具 おしりマウスパッド 1,650円(税込)
商品ページはこちら>>
※写真はハムスター。コーギー、柴犬など全4種類
―まだあるんですか!おしりが!
人見さん:はい。ここまでやったからには、とことん癒しをお届けします。同時発売でございます。
大瀬:非常に徹底されている。
セットで使うとかわいさ◎
人見さん:おしりの部分にはジェルクッションを採用しています。もっちりぷにぷにっとした感触で、手が疲れにくい設計です。
大瀬:ほう...これはまた愛らしい...。そして手首をやさしく支えてくれる感じがなんとも...。
滑り止め加工もばっちり。〈おしりマウス〉をすいすい動かせる
―大瀬さん。もう人見さんの前で正直にいっちゃいますけど、取材前に「かわいいものは苦手」的なこと、話してましたよね。実際どうでしょう、このおしりまつり。忖度ないようお願いします。
大瀬:...。
この笑顔を見よ!
大瀬:ふっふぁふっ...!これはまさに、癒し...!お誂え向きの笑顔ではなく、自然と表情がニヤついてしまう...。仕事がはかどりそうですな。本当に。
―おお〜!!
人見さん:え?!そんなやりとりがあったんですか?でも安心しました...。よかったです〜(涙)。
かわいいは平和を築くのです
―緊張感あふれる過酷な状況でも、ゆるっとした癒しをくれる〈おしりマウス〉シリーズがあれば、きっと乗り越えられますよね!笑顔とともに!
人見さん:はい!そんな社会人の方はもちろん、勉強に勤しむ学生さま、お子さまにも愛用していただけると嬉しいです。小・中学校でPCに触れる機会も多いので、親御さまにもご注目いただきたいです。
大瀬:私たちの幼少期と比べると、今の子どもたちはデジタルに触れる機会が圧倒的に多い。オンライン授業やタブレット端末の導入...。自分好みのデジタル機器を「選ぶ」時代といえるでしょう。事務用品の「定番」も変わっていくかもしれませんね。
―事務用品バイヤーがいうとさらに説得力がある!まさにこの企画です!せっかくなら「好き」の沼にハマりたいですもんね。プレゼントにもいいかも!
人見さん:〈おしりマウス〉と〈おしりマウスパッド〉は8月26(土)日より発売予定です。夏休み明けの授業から、どんどん使っていただけます!
大瀬:ぜひ全国のハンズでお求めください。
―最後までぬかりなし。人見さん、本日はありがとうございました!
推しといっしょに! 人見さん:ロボロフスキー 大瀬:ジャンガリアン
おわりに
事務用品バイヤー大瀬のココロをもくすぐった、かわいさMAXの〈おしりマウス〉、さらには〈おしりマウスパッド〉で、癒しのおしりまつりをデスクにオンしていきましょう!
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