皆さん文具はお好きですか?世の中には、かわいいデザイン、素晴らしい機能を持った文具がたくさんありますよね。きっと、その全てに物語があるはず...。この連載では、ハンズのバイヤー今津がいろいろな文具メーカーに声をかけ、文具女子会を開催。気になる商品の誕生秘話などをお届けします。
第三回目の文具女子会のお相手は、いろは出版株式会社でブランドマネージャーをされている松尾さん。勉強の計画を立てるのに便利な「スタディプランナー」の開発秘話とさらにパワーアップしたその魅力について聞きました。
学生の頃からプランニング好き!松尾さんと文具女子会スタート♪
いろは出版株式会社 ブランドマネージャー 松尾さん
今津:本日はよろしくお願いします。
松尾:よろしくお願いします。
今津:松尾さんは、普段どういったお仕事をされているのですか?
松尾:今は企画部という部署で商品企画や工場さんとのやりとり、スケジュール管理、デザイン監修など一貫して商品開発に携わっています。
今津:やはり文具は昔からお好きだったんですか?
松尾:はい。小さな頃から大好きです!特にノートや手帳が好きで、学生の頃も自分で勉強の計画ノートをつくったりしていました。
松尾さんが学生の頃に使っていた勉強手帳。
今津:すごい!マメですね!
松尾:ページを埋めたいという気持ちもあったと思います(笑)
今津:ノートや手帳を含め、文具のどういった部分に魅力を感じますか?
松尾:手にとったときに使い方が何通りも思い浮かぶところです。こんな使い方もできそうだなって考えるのがすごく楽しいですね。
今津:企画部の皆さんも、文具がお好きですか?
松尾:文具好きというよりは、ものづくりが好きな人が多いですね。
今津:なるほど。そのことが、いろは出版さんの商品づくりに生かされているんですね。
ヒットの理由は日本人にあったフォーマットづくりにあり!
今津:早速、スタディプランナーの特徴について教えてください。
松尾:スタディプランナーは、勉強をかわいく、計画的に楽しむための手帳です。ゴールの設定から逆算して、3カ月間の計画を立てることができます。立てたプランに沿って勉強をして、その内容を振り返ると言うプロセスを繰り返すことで、勉強をするうえで大切な習慣が身につきます。
今津:表紙の「& STUDIUM」とは何ですか?
松尾:「study」の語源で、「熱意をもってがんばる」という意味なのですが、そういう気持ちを持ってがんばる人を応援したいという想いを込めています。
今津:なるほど。開発のきっかけは、松尾さんの学生時代につけていた勉強手帳が影響しているのですか?
松尾:経験をもとに、勉強を楽しめるグッズをつくりたいと考えていたんです。そんな時に、SNSで「#勉強垢」というワードを知ったことが大きいです。2016年頃から、いろんな人の勉強垢をフォローして動向をチェックしているんですが、当初約32万件だった投稿が、今では80万件を超えるほど盛り上がっているんですよ。
今津:「勉強専用のアカウント」のことですね。私も、学生たちが「今日はここまで勉強したよ!」と、勉強した時間や量を手帳に書いて投稿しているのをよく見かけます。
松尾:韓国にもこのような文化があることをSNSで知ったのですが、韓国はかなりの勉強大国なので、勉強量がとにかくすごいんです。一冊に収められる期間も1年単位が普通なんですが、それをそのまま参考にはできないので、どうにか日本の勉強垢向けにアレンジできないかと思ったのがスタディプランナーの始まりです。
今津:確かに、日本人と韓国人では求めているものが違うかもしれませんね。日本の勉強垢の方は、毎日同じような写真にならないように投稿しているのに対し、韓国はスケジュール帳と24時間のうち、どれだけ勉強したかをひたすら投稿しているイメージです。
実際にどういった部分を日本人向けの仕様に変えたんですか?
松尾:1冊に収める期間設定は特に意識しました。
松尾:こちらは実際のラフなのですが、当初は1冊に収める期間を1年にすることも考えていたんです。でも1年は始めるのにハードルが高いなと思って、100日、50日、3カ月のどれかで検討しました。50日や100日だと1週間単位で区切れないので、最後は3カ月のフォーマットに落ち着きました。
今津:確かに、3カ月だと手軽に始められる気がします。ウィークリーページと1日ページも韓国のものを参考にされたんですか?
松尾:1日ページは参考にしましたが、ウィークリーページのプランとレビューを書くところは完全にオリジナルです。学生の頃に1週間単位で予定を立てて、「できた」「できなかった」などの振り返りと、次週の予定立てを繰り返していたのを思い出して、あると便利だなと思い取り入れてみました。
今津:1週間を可視化できるのは良いですね。
松尾:また、ウィークリーページは、勉強の計画だけでなく、社会人や主婦の方が生活の記録として使うのにも便利なんです。例えば、お仕事、家事、子育て、自由時間など、自分の生活を可視化することができるので、「今週はがんばりすぎたから、来週は少し息抜きの時間を増やそう」とか生活を見直すこともできます。
今津:なるほど。自分の生活を見直す機会ってあまりないので、可視化して改善したり、計画を立てられるのは良いですね。
スタディプランナーの「かわいい」はこうして生まれる!
今津:機能面以外にデザインへのこだわりはいかがですか?
松尾:紙の素材やフォント、色使いなど細部にまでこだわっています。実は、スタディプランナーをつくっているデザイナーは、男性なんですよ。
今津:意外ですね!女性心をくすぐるデザインなので、てっきりデザイナーさんも女性なのかと思っていました。
松尾:「かわいいが分からんのやけど〜」とよく言っています(笑)
今津:デザイナーさんとは、どのようにやりとりされているのですか?
松尾:デザインは、私が思う"かわいい"のイメージを伝えて、それを「この雰囲気の、ここのポイントがかわいいんやろ?」とくみ取ってもらい、デザインに落とす流れで作業しています。
松尾:私がつくった簡単なラフも、この通り。私の頭の中の"かわいい"をしっかり再現してくれます。「"かわいい"わかってるじゃないですか〜!」っていつもやり取りをしています(笑)
今津:かわいいポイントを伝え合って進められているんですね。
松尾:他にも、いろんなアドバイスやアイデアをくれますよ。そう言えば、以前、大胆なデザイン変更を提案されたこともあります(笑)
今津:え!何ですか!?
松尾:ほぼほぼ確定していた表紙案を「紙の素材から変えたい」といきなり言われました(笑)
松尾:これがその時、実際に持ってきたペーパーです。当初は柄ありの案で進んでいたのですが、「色はシンプルにワンカラーで、素材感でそれぞれの個性を出したい」という提案をもらったんです。
今津:土壇場の提案!
松尾:このタイミングで!とも思いましたが、デザイナーの判断は正解だったと思っています。ただかわいいだけでなく、シンプルでクリアな世界感にも繋がったので、学生さんだけでなく、社会人や主婦の方にも手にとってもらえるものになりました。
今津:確かに大人っぽいデザインなので、ハンズの店頭でも主婦の方が購入されるのをよく見ます。
表紙に比べ、中ページはシンプルながらも、かわいい印象がありますがいかがですか?
松尾:表紙がシンプルな分、中ページに遊び紙を入れたりして「ザ・勉強ノート」にならないように全体のバランスを意識しています。
今津:このようなページがあると使っていて気分が上がりますね。
さらにパワーアップした第二弾が登場!
今津:ところで、スタディプランナーの第二弾が発売されたんですよね!どのように変わったんですか?
松尾:まず、綴じ方が変わりました。第一弾のときは、雑誌などでよく使われる中綴じだったのですが、第二弾からリングタイプに変更し、ブルーなどを含む新しいカラーも仲間入りしました!
今津:どうして仕様をリングタイプに変更されたんですか?
松尾:スタディプランナーをつくる者として、私も勉強垢をはじめてみたんです。実際に使ってみると、勉強中もページを開けておきたいなと思って。あと、SNSに投稿される方も多いので、撮影する時にリングタイプの方がページを開いた状態で維持しやすいので、仕様を変更しました。
今津:松尾さんの実体験も反映されているんですね!
松尾:使って気づくことはたくさんあるので。ブルーカラーを追加したのはお客さまからの「もう少し大人っぽいデザインが欲しい」というお声があったからです。
今津:第一弾もシンプルで使いやすかったですが、カラーバリエーションが増えたことで、さらに好みのものを選べるようになりましたね。
ところで、お客さまの声は、どうやって集められているのですか?
松尾:SNSを活用しています。スタディプランナーの公式Instagramアカウントがあるので、そこで直接お客さまとやり取りをさせていただいています。恐らく今、500人位の方とメッセージしているんじゃないかな?メッセージの他に、こちらから投稿で質問を投げかけることもありますよ。
今津:どのような内容のやりとりをされているんですか?
松尾:例えば、「ウィークリーページの使い方がわからないので見本を見せてください」とコメントをくださる方もいれば、「各ページのタイトルを日本語を入れるなどして、もう少し分かりやすくした方が良い」などプロ目線でご意見くださる方もいたり。
あと、スタディプランナーにはスタプラ部という部活動があるんです。
今津:どのような活動をされているのですか?
松尾:SNS内でフォロワーさん数十名を集めて、非公開アカウントで新商品について意見をいただいています。
今回ですと、「リングになるのは良いが、リングサイズが大きいと手に引っかかるから小さくしてほしい」というご意見もいただきました。なので、できるだけ小さいサイズで調整しています。
松尾:後は、専用の付箋などを新たにつくる時も「ハートの形はどれが良いですか?」とこちらから質問してみたり。
普段から熱心に勉強をがんばられていて、その中でスタディプランナーを活用してくださっている方々なので、コメントもすごく参考になるんです。本当にありがたいです。
ページをかんたんに、かわいく埋める手帳用付箋
松尾:「かわいくページを埋めるコツはありますか?」というメッセージもよくいただくのですが、そういう方にはスタディプランナーの手帳用付箋をオススメしています。
今津:スタディプランナー専用のアイテムですか?
松尾:一応そうですが、スタディプランナー以外にももちろんお使いいただけます。マス目にぴったりはまるメモ付箋や、ハートモチーフの付箋など使い勝手が良いので、デコることが苦手な方でもかんたんにページをかわいくできます。
松尾:使い方のコツとしては、付箋や専用のシールの他に色ペンなどを上手く使うことで分かりやすく、まとめられます。
今津:見た目もきれいで分かりやすいですね!
そろそろ、お開きの時間になりましたが、文具女子会はいかがでしたか?
松尾:すごく楽しかったです!開発当初や学生の頃のことを思い出して懐かしい気分にもなりました。
今津:お話をたくさん聞けて、私もスタディプランナーを使って勉強を始めたくなってきました!
松尾:続けることでしっかり習慣化されて行くので、ぜひ挑戦してみてください!
最後にひと言、いただきました◎
勉強をがんばっている方もそうですが、勉強が苦手な方にもぜひお試しいただきたいです。スタディプランナーを使うことで、勉強をがんばれたり、好きになってもらえたら良いなと思います。さらに、いろんな方が自分らしい使い方で楽しんでもらえたらうれしいです。
(2018年10月17日時点
次回予告
今津さんがマークスの開発者と女子会を開催。ライフログを楽しむシステム手帳について、お話を伺います。お楽しみに!
―――「文具女子会はじめました。〜物語のある文具の話」連載記事―――
【集中連載Vol.1】バイヤー今津、文具女子会はじめました。「物語のある文具の話」
【集中連載Vol.2】"いい日"をつくる文具って?キングジム〈HITOTOKI〉女子と文具トーク。
【集中連載Vol.4】システム手帳のイメージが変わる!マークス ノートづくり好き女子と文具トーク。
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