皆さん文具はお好きですか?世の中には、かわいいデザイン、素晴らしい機能を持った文具がたくさんありますよね。きっと、その全てに物語があるはず...。この連載では、ハンズのバイヤー、今津がいろいろな文具メーカーの方々に声をかけ、文具女子会を開催。気になる商品の誕生秘話などをお届けします。
第5回目の文具女子会のお相手は、サンスター文具株式会社で企画開発を担当されている原さん。スライド式のペンケースで人気を博した〈DELDE(デルデ)〉シリーズについて、商品のこだわりや開発秘話を聞きました!
車づくりから文具づくりへ。人気商品の開発者は理系女子だった。
左:今津 右:原さん
今津:本日はよろしくお願いします。
原:アイデア文具の開発を担当している原です。よろしくお願いします!
今津:アイデア文具といえば、今回ご紹介いただく〈DELDE〉シリーズはまさに!という感じですね。
〈DELDE〉の代表商品とも言えるペンケース ペンポーチ(定番柄)各1,200円+税
原:そうですね。〈DELDE〉は機能性とデザイン性を兼ね備えた文具・雑貨ブランドで、一番最初に発売したスタンド式ペンケース「ペンポーチ」は、私が入社して初めて採用された商品なんです。
今津:そうだったんですね!アイデア出しの場は結構あるんですか?
原:週に1回、一人2〜5個くらいのアイデアを持ち寄っています。
今津:その量を毎週ですか!?すごい(笑)
原:今、入社して4年目なんですが、およそ540個の案を出しました。
今津:すごい量!テーマなどは設けられているんですか?
原:あったり、なかったりです。ペンポーチの時は、ペンケースに絞っていろんなアイデアを提案していました。
今津:その頻度と量だと、常に文具のことを考えていそうですね。やはり昔から文房具はお好きでしたか?
原:文具というよりものづくりが大好きです!子供の頃からどんな形でもいいので、商品づくりに関わる仕事がしたいと思っていました。大学生の頃も理工学部で車や風車などのものづくりを学んでいました。
今津:車!?風車!?意外です!そこから文具づくりに移行されたきっかけって...。
原:車などの工業製品は世に出るまで時間がかかるので、提案して開発、商品化までのスパンが短いものがいいなと。
今津:なるほど。それで文具メーカーに入社されたんですね。
ヒット商品 ペンポーチは「指示棒」からインスパイアされた!?
今津:〈DELDE〉を語るには、やはりペンポーチは欠かせませんね!
原:はい!こちらは、ペンケースや化粧ポーチなどにお使いいただけます。サイドのタグを下げると、スライドしてペン立てになるんです。
今津:この機能を見たとき、個人的に感動しました。このようなアイデアはどこからみつけるのですか?
原:これは、先生などが授業で使う「指示棒」の伸縮する仕組みを参考にしました。
原:プレゼンのときに、仕組みや動きをわかりやすく伝えるために試作品もつくりました。
今津:確かに、この仕組みを言葉で説明するのは難しそうですね。そして、イメージしたものをここまで忠実に形にできるのはすごい!理系女子、さすがです!
原:ありがとうございます(笑)
今津:試作品の完成度もすごいです!この他に、こだわったポイントはありますか?
原:この赤い生地部分の硬さにこだわっています。ここがしっかりしていないと、スライドしづらくなってしまう。でも硬くしすぎるとポーチ自体のかわいさが失われてしまうので、程よい硬さの芯材を見つけるのは大変でした。底は安定感を出すために、さらに硬い芯材を使っています。でも、内側にはクッションを入れて、ペン先が傷まないようにしたり。
今津:底の内側部分まで硬さが違うとは!細部にまでこだわりが詰まっていますね。
毎シーズン楽しみになる、季節限定デザイン&新作!
2018コレクション ペンポーチ (左2つ:春、中2つ:夏、右2つ:秋冬柄) 各1,380円+税
今津:毎シーズン新しいデザインが登場する〈DELDE〉のペンポーチですが、デザインはどのように決めているんですか?
原:いろんなファッションブランドのコレクションをチェックして、色や素材を決めています。
今津:いい意味で文房具っぽくないですよね。私も次はどんなデザインだろうといつも楽しみにしているんです。
原:うれしいです!ありがとうございます!
新商品 ペンポーチ 各1,380円+税
原:2019年1月にはペンポーチにポケットが付いた新作も登場しました。
今津:ポケットを付けた理由はなぜですか?
原:従来のものだと消しゴムなどが取り出しづらいという声があったので、その解決策としてポケットを付けました。
今津:なるほど。ポケットにはマチもあって収納しやすそうですね。シリーズを通して新しい柄や形などを頻繁につくられていますが、原さん以外にも担当の方はいるのですか?
原:〈DELDE〉の担当は私一人です。
弊社は基本、デザインから原価の設定、工場さんとのやりとり、カタログ撮影の備品集めや、商品のキャッチコピーを考えるなど、すべて一人で担当するのが決まりなんです。
今津:それはすごい!他社さんだと、企画とデザインをする人は別にいて、二人三脚で製作されているところが多かったので、新鮮です。
原:大変ですが、自分の思いをほぼ形にすることができるので、やりがいがあります。
【新商品】一見お財布、1秒でペントレーに!
新商品 フラットポーチ 各1,600円+税
今津:2019年1月に、ペンポーチとはまた違ったペンケースが登場しましたよね!なぜ、今回のペンケースを出そうと思ったんですか?
原:スタンドタイプのペンケースの使用を禁止する学校があると聞いたのがきっかけです。それで、スタンド式ではないもので、便利なものをと思い開発したのがこのペントレータイプのペンケースです。
今津:なるほど。今このタイプのペンケースは、人気がありますよね。
原:そうですね。なので〈DELDE〉ならではの機能を仕込んで、便利で使いやすいものを目指しました。
原:例えば、蓋を開けてもそのサイズのままペントレーになるので、机を占領する心配がありません。さらに、開いた状態をキープできるので、ペンなども探しやすく、取りやすくなっています。
今津:場所を取らないというのは、ペンポーチとも通ずるものがありますね。この仕組みは何を参考にしたのですか?
原:これは折りたたみ式のメガネケースを参考にしました。
今津:メガネケースですか!飛躍がすごい。
原:普段から、面白い仕組みをみつけたら、メモするようにしています。
今津:着想を得るヒントが「仕組み」なんですね。お財布のような見た目から、まさかここにペンが入っているとは思わないです(笑)。苦労したことはありますか?
原:フラットな形なので収納力が下がってしまい、ペンを入れるとファスナーが閉まらなくなってしまうということで、マチをつくって収納スペースを確保したのですが、この「マチをつくる」という考えに到るまでに時間がかかりました。
今津:ヒラメキのきっかけは何だったんですか?
原:同僚から「マチを付けては?」とアドバイスをもらって。
今津:なるほど。マチがあることでペンがしっかり収まるので、ストレス無く開閉できそうですね。カラーバリエーションも豊富ですが、色はどのように決められているんですか?
原:女子高生や女子大生の間で流行っているブランドのアイテムで、よく使われている色を参考に選んでいます。
今津:やはり、デザインやカラーはファッションから取り入れているんですね。
一瞬で変身するバッグシリーズなど、雑貨も充実!
クラッチインバッグ 3,500円+税 ダングルポーチ 2,000円+税(現在は、販売を終了しております)
今津:2018年の春には、バッグやカードケースなどの雑貨もデビューして、〈DELDE〉がどんどん大きくなってきていますね。
原:自分でも、ここまで広がるとは思っていませんでした。
今津:なぜ、バッグをつくろうと思ったんですか?
原:ペンポーチの入れ物もつくりたいと思ったからです。つくるからには、普段不便に感じることを解消するものをつくりたいと思い、機能にはこだわりました。
今津:なるほど。
トートリュック 5,800円+税より(現在は、販売を終了しております)
原:写真の商品の場合、背負っていると邪魔になるような電車の中では、トートバッグの方がいい。荷物が重たいときは、トートバッグよりも背負えるリュックの方がラク。バッグは日ごとに変えるのではなく、その時々で変化して使えるものが欲しいと思ったんです。
今津:確かに、シーンに合わせて仕様を変えられるのは便利ですね。
原:それで、2WAYバッグとうたっている他社商品をチェックして、より手軽に形を変える方法を考えました。
今津:トートバッグの持ち手をそのままリュックのショルダーベルトにスライドできる仕様ですね。しまう手間がなく、ラクでいいなと思いました。
原:お取引先様にも、「この発想はバッグメーカーでは出てこない」と言っていただいて、〈DELDE〉ならではのアイデアを詰め込めたとうれしく思います。
今津:〈DELDE〉シリーズは、どの商品も誰かに自慢したくなるような機能が詰まっていますよね。
原:私自身、使い手が便利だと思えるもの、そしてその機能を周りに教えたくなるものをつくろうと心がけています。
今津:コミュニケーションが生まれる文具・雑貨ってステキ!どんどん進化し続ける〈DELDE〉シリーズ。これからどんな商品に出会えるのか楽しみです!
最後にひと言、いただきました◎
みなさんの生活の中で、〈DELDE〉の商品が話題の一つになればうれしいです。これからも、機能的でかわいい文具や雑貨をお届けできるようにがんばります!
次回予告
今津が株式会社勝竜社の開発者と女子会を開催。趣味や仕事のタスク管理などが簡単にできるミーツプランナーについてお話を伺います。お楽しみに!
――「文具女子会はじめました。〜物語のある文具の話〜」連載記事――
【集中連載Vol.1】バイヤー今津、文具女子会はじめました。「物語のある文具の話」
【集中連載Vol.2】"いい日"をつくる文具って?キングジム〈ヒトトキ〉女子と文具トーク。
【集中連載Vol.3】きっと勉強が好きになる!?いろは出版 プランニング好き女子と文具トーク。
【集中連載Vol.4】システム手帳のイメージが変わる!マークス ノートづくり好き女子と文具トーク。
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