梅田店のオカシューです。
つくったり直したりするときに欠かせない接着剤。
今回は接着剤の中の一大勢力「瞬間接着剤」について、選び方と使い方の注意をお伝えしたいと思います。
さて今回は「瞬間接着剤の選び方」をご紹介いたしますが、具体的な根拠や証拠はあんまりありません。しかし私が長年お客様にご説明してきて問題の無かった選び方ですので大丈夫です。
瞬間接着剤以外のいろいろな接着剤の選び方は、過去にヒントマガジンでお伝えしたことがあります。
「どちらかと言うと社内向けかも!シーン別オススメの接着剤!」
「こんな接着をしたいならこれ!」みたいな感じでご紹介していますので、お役に立てれば幸いです。
瞬間接着剤の大まかな分類
瞬間接着剤はものすごく大雑把に分けると「ゼリー状」と「ゼリー状じゃなくて水みたいにさらっとしているもの」に分けられます、と個人的には思います。
どのように違うか実験してみました。
左がゼリー状、右がゼリー状じゃなくて水みたいにさらっとしている瞬間接着剤(長いので低粘度と言うことにします)です。木材に塗ってみました。
低粘度の方は木材に使うと木に吸い込まれてしまいます。
この状態で上からアクリル板を乗せてみると、ゼリー状の方は接着剤が広がって接着してくれますが低粘度の方はほとんど接着されません。
木材のように水が染み込む素材には低粘度の瞬間接着剤は使えないことがわかります。
次にアクリル板の上にゼリー状と低粘度の瞬間接着剤を置いてみます。
その上にアクリル板を乗せてみると、どちらも広がって接着してくれます。
「だったらゼリー状なら吸い込む素材にも吸い込まない素材にも両方使えるから、低粘度の瞬間接着剤は要らないんじゃないか」とのご不審はごもっともです。
しかし低粘度の瞬間接着剤には
「ゼリー状より早く固まる」
「くっつけた時にゼリー状よりも接着剤が均一に大きく広がる」
「接着剤がひび割れにも浸透してくれる」
と言うメリットがあります。
またゼリー状のデメリットとしては
「低粘度よりも固まるまで時間が長い」「粘度が高いので圧着した時材料が動いてズレる場合がある」
「接着剤がはみ出したときにきれいに拭き取れない」
と言うデメリットもあるような気がします。
くどい説明はこれくらいにして、瞬間接着剤の選び方にまいりましょう。
選び方はパッケージに書いてある
瞬間接着剤に限らず、接着剤は「何と何をくっつけてどのように使うか」で選ぶことが出来ます。
「何かと聞かれても素材が何かなんてわからないよ」とのお話しをよく聞きます。
でも、大まかでいいんです。
接着剤の表面に書いてあるのも、そんな大まかな分類です
「プラスチック」「ゴム」「金属」「木材」「陶器」「軟質ビニール」「革」・・・
例えば「ゴム」と「金属」を接着するような場合は、パッケージに両方書いてある物を選べばくっつきます。
これくらい大雑把な区別でかまいません、それならだいたいわかりそうですね。
でも「プラスチック」だけは注意していただきたいんです。
「プラスチック」だけは注意
プラスチックの種類でポリエチレン(PP)とポリプロピレン(PE)と言うのがあります。これらは接着剤界隈では別物扱いですので注意が必要です。
「プラスチック」とだけ書かれている接着剤だと、とりあえずはくっ付きますが取れやすいので「PP」「PE」と書かれている物がおすすめです。
左から
セメダインPPX 6gセット CA-522 1,420円(税込)
商品はこちら>>
コニシ アロンアルファ プラスチック用 2g 798円(税込)
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通常の使い方と違い、接着面にあらかじめ「プライマー」を塗って表面を変質させてから接着するという手間がかかります。
そういわれても、プラスチックの種類なんてよく分からないですよね。
ポリエチレン、ポリプロピレンの特徴としては
「やわらかい」「水を弾く」「水に浮く」「半透明か不透明」「なんとなくぬるっとしている」のが特徴です。
具体的には、こういうのはだいたいポリプロピレンかポリエチレンです。
こういう容器はだいたいポリエチレンです。
その他にはシャンプーのボトルや消臭スプレーの容器などもだいたいPPかPEです。
これらの接着に使う場合は、上記の「PP」「PE」と書かれている接着剤をお使いください。
その他のプラスチック、例えばペットボトルや卵が入っていた容器、とても硬い部品はPPやPEではないので、「プラスチック用」で接着できます。
もちろんPP・PE用でも接着できます。
危険な使い方
便利な瞬間接着剤ですが、使い方によっては高温になってやけどをする場合があります。
つけ爪に使う瞬間接着剤をティッシュでふきとったところ、発熱してやけどをするという事例があり、店頭でもご注意くださいとのご案内をしています。
※参照 瞬間接着剤の使用によるやけどに注意 - 国民生活センター
確かに発熱はするのですが、やけどするほどの熱さになったことはないので、実際にどれくらい発熱するのか試してみました。
空き缶の上に布を置きます。
この時点では23℃です。
瞬間接着剤をかけます。接着剤を布で拭き取ったのと同じ状況です。
数秒後に一気に100℃まで発熱しました!これが軍手ならひどいやけどになります!
こんなに発熱するとは驚きました。実は5~6回実験してそのうちの1回なのです。
他の時はだいたい50℃くらい(それでもかなり高温です)だったので、何か条件があるのだとは思いますが、危険です。
染み込むと危険なので、手袋を使うなら軍手ではなくビニールかゴムの手袋を使いましょう。
さらに時間短縮できる「硬化促進剤」
瞬間接着剤は空気中の水分と反応して固まるので、空気が乾燥している冬などは接着しにくくなります。
接着する前とした後にはぁ~っと息を吹きかけるとその水分で固まるのが早くなるという裏技があります。
それより効果的なのが「硬化促進剤」を使うことです。
アルテコスプレープライマーmini 17mL 710円(税込)
商品ページはこちら>>
片方に瞬間接着剤、もう片方に硬化促進剤をスプレーしてくっ付けると、2~5秒くらいでくっ付きます。
小さいパーツを接着する時や弾力のある物をくっつける時、両手で持っておかないと接着する材料をその位置で保てない場合がありますが、そんな時に大変便利です。
つまようじでやってみました。
片方に瞬間接着剤を付けます。
もう一本に硬化促進剤をスプレーします。
くっつけて5秒くらいで固定できました。
硬化促進剤を使わない場合は、瞬間とは言えゼリー状だと20~30秒くらいは手を離せないのでずいぶん楽です。
完全に接着するには20~30分くらい置いた方がいいのですが、とりあえずこれで手を離すことが出来ます。
硬化促進剤そのものは接着剤ではないので効果促進剤だけでは固まる事あありません。
不要なところに付いたら拭き取っておきましょう。
瞬間接着剤が指に付いた時の取り方
「瞬間接着剤でくっつけようとしたら、くっつけたいものじゃなくて指にくっついた」
と言うケースがよくあります。
これは、瞬間接着剤は空気中の水分と反応して固まるというのが原因です。
指はだいたい湿っているので、乾燥している素材よりもくっつきやすいのです。
指どうしがくっついてしまった場合は「慌てて剥がそうとせずにぬるま湯につけて少しづつもむようにして剥がしてください」とメーカーさんは言っています。
その他には「はがし隊」を使う方法もあります。
コニシボンド アロンアルファ はがし隊 338円(税込)
商品はこちら>>
まちがって手についてしまってカチカチになった所に「はがし隊」を塗ります。
接着剤がやわらかくなってくるので、少しづつ剥がすことができます。
剥がした後は指に残った接着剤にまたはがし隊を塗って、布で拭き取ります。
ティッシュでは拭き取れません。
一回できれいにならなければ何度かやらないといけませんが取れます。
爪に付いたのでなければ、ほっといても次の日にはだんだん取れてきますが。
「はがし隊」は、はみだした瞬間接着剤をふき取ることも出来ます。
わざとはみ出して塗ってみました。
「はがし隊」をたっぷりめに塗って2~3分置きます
布で拭き取ると取れます。一回で取れなかったので何回か繰り返しました。
「はがし隊」の成分は「アセトン」といって非常に強いシンナーです。ネイルのリムーバーと主成分が同じです。ですので、プラスチックによっては表面が荒れます。塗料を塗った面も荒れると思うので、気をつけてくださいね。
はみだした部分の接着剤は取れましたが、写真のように素材が接着している部分は全く変わりません。「はがし隊」という名前ですが、接着している物どうしを剥がせるのではありません。
ちなみに「はがし隊」は瞬間接着剤にしか効果がありません。
DIY以外にも広がる瞬間接着剤
医療の分野でも瞬間接着剤の利用が広がっています。
具体的には外科手術の縫合の際に使用する為や、救急時の止血にもつかわれているそうです。
(こちらは医療用の瞬間接着剤のため、ハンズでは販売しておりません)
指がすぐにくっついてしまう事から何となくわかるような気がします。
今後も医療分野での瞬間接着剤の使用が増えていくそうです。
一般に売られている瞬間接着剤は皮膚につかう物ではないのですが、ロッククライマーや弦楽器奏者が指先を固めたり守ったりするためつかったり、スポーツ選手が指や足のタコを守ったりするのにつかう方も居るそうです。
DIYだけではないのですね。いや、そういうのもDIYなのでしょうか。DIY心を感じます。
しかし一般的な使い方ではありませんので、「指先がカチカチになるのか・・・」と興味本位で絶対やらないでくださいね。
今回瞬間接着剤のことをみなさまにご紹介するためにいろいろやってみて、とても勉強になりました。
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