もはや芸術品!?職人の技が生む、フォルム、切れ味。「SUWADAの爪切り」のこだわりを聞く

もはや芸術品!?職人の技が生むSUWADAの爪切り

「爪切りなんて、どれでも同じ」と思っていませんか?SUWADAの爪切りと出会えば、そんな考えもきっと一変するはず。
職人の技で生み出されるフォルムや切れ味は、もはや芸術品。今回は、そこに込められたこだわりについて、諏訪田製作所の齊藤さんに詳しくうかがいました。その実力と価値を知ったら、もう普通の爪切りでは満足できなくなりますよ!

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諏訪田製作所のはじまりは、大工道具「喰切」の製造から

株式会社諏訪田製作所 営業部 部長 齊藤類さん

株式会社諏訪田製作所 営業部 部長 齊藤類さん
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―歴史や成り立ちなど、まずは諏訪田製作所の紹介をお願いします。

齊藤さん:世界有数の刃物産地である新潟県三条市で1926年(大正15年)に創業した鍛冶屋です。1923年に起こった関東大震災の住宅復興需要の増加にあわせ、初代の小林祝三郎が大工道具の「喰切(くいきり)」の製造で事業をはじめました。

―耳慣れない言葉ですが、「喰切」とは?

齊藤さん:釘の頭の部分を切り落とすための道具です。刃と刃を擦りあわせて薄いものを切るハサミなどとは構造が異なり、喰切はぴったりとあった刃と刃で厚いものを切る刃物です。

―喰切からはじまり、爪切りへ。そこにはどんな経緯があったのでしょうか。

齊藤さん:戦時中に中断していた喰切の製造を戦後に再開しましたが、喰切はプロ向けの道具なので、それだけで商売をしていくのは限界があり。喰切づくりの技術を応用して一般向けのものがつくれないかと思案した結果、行き着いたのが爪切りでした。喰切というルーツは弊社の特徴でもありますので、「刃と刃をあわせて切る」ニッパータイプの刃物に特化した商品製造を続け、近年は培ってきた金属加工技術を活かして爪切り以外の商品も展開するようになりました。

培ってきた金属加工技術を活かして爪切り以外の商品も展開

―なるほど。では、会社のモットーなども教えてください。

齊藤さん:「我々にしかできないものづくり」です。弊社のロゴマークには、日本語だけに存在する句読点「、」と「。」が鍛冶屋に欠かせない炎の色でデザインされていますが、そこには「日本にしかない」「諏訪田製作所にしかできない」ものをつくろうという思いが込められていて。研磨の精度や美しさ、使いやすい形状など、その思いが弊社の商品づくりの根底には必ずあります。

会社のモットーは「我々にしかできないものづくり」

―数々の賞を受賞するなどデザイン性も高く評価されていますが、その部分に対するこだわりは?

齊藤さん:かっこよく、ではなく、無駄な装飾はせずに使いやすさを重視した「機能美」を大切にしています。
我々がつくっているものは"道具"なので、使ってもらってナンボですから。使いやすい形こそが一番美しい形である、という考え方に基づいた結果、デザインとしても認められたという形ですね。

 

ニッパータイプからクリッパータイプまで。商品を紹介&特徴を解説

 

SUWADAの代名詞的スタンダードモデル〈ネイルニッパー〉

―では早速ですが、実際に商品を見ながら特徴などの解説をお願いしたいと思います!

齊藤さん:はい。まずは弊社の爪切りの中でも最もスタンダードなモデルとなるこちらから。

諏訪田製作所(SUWADA)ネイルニッパー

諏訪田製作所(SUWADA)
左:ハンズ限定 ネイルニッパー(ブラック) 8,910円(税込)
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右:ネイルニッパー クラシックL(ステンレス) 9,130円(税込)
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齊藤さん:〈ネイルニッパー クラシックL〉は男女ともに使いやすい全長約12cm。〈ネイルニッパー〉はそれよりもひと回り小さいハンズ限定サイズで、ハンドル部分の太さと長さ、そして仕上げが異なります。

2つのネイルニッパーの比較

―素材は何でできているんですか?

齊藤さん:ブラックの方は炭素鋼、いわゆる鋼です。国産材料の高級刃物鋼を使い、防錆のためにブラックの塗装が施されています。シルバーの方はその名の通りステンレス刃物鋼で、錆びにくいというメリットがありますが、硬度や耐久性などはどちらも優れています。

―機能面やデザイン面のポイントはどこでしょう?

齊藤さん:爪の形に沿うように緩やかにカーブした刃で、手の爪も足の爪もきれいに切ることができ、刃が大きく開くので巻き爪や分厚い爪にも対応します。ハンドル部分の稜線の美しさにも注目してほしいですね。表面には傷や汚れを目立ちにくくする仕上げが施されています。

切れ味の秘密は、刃と刃の

 

切れ味の秘密は、刃と刃の"ドンピシャあわせ"にあり!

―切れ味のよさを生みだす秘密はどこに?

齊藤さん:喰切と同様に、刃と刃がぴったりドンピシャであうところです。

爪を押しつぶすことなくきれいに切れる

―それによってどんな違いが生まれるんですか?

齊藤さん:切った後の爪の状態が全く違いますね。刃と刃がズレていると爪を押しつぶすような形で切ることになるので「バリ(切ったときにできる出っ張りやギザギザ)」が出てしまい、そこをヤスリで整える必要があります。でも"ドンピシャあわせ"だと両側から入った刃がズレずにぶつかり、爪を押しつぶすことなくきれいに切れるので、ヤスリで整える必要がほぼありません。

―ドンピシャにあわせるのは技術的に難しいことなのでしょうか。

齊藤さん:難しいです。弊社は喰切のノウハウを活かしてそこにこだわっていますが、技術的に高度なので"ドンピシャあわせ"で爪切りをつくっている会社はおそらく弊社以外にないのでは。一般的な爪切りは刃と刃が微妙にズレています。

―喰切づくりの伝統がここに活かされているんですね!

齊藤さん:まさに。職人の手によって研磨された刃そのものの切れ味も抜群なので、爪への負担が少なく、サクッと刃が入るのも大きな違いです。

―ニッパータイプを使う際に気をつけることも教えてください。

齊藤さん:普通の爪切りのように持つのではなく、工具のニッパーと同様に手の平全体で握るように持って使います。あとは刃先が前を向いている状態で爪のカーブに沿わせて切るだけなので、特に難しいことはないですよ。

よく切れそうなので、ちょっと怖いというイメージがありますが

―よく切れそうなので、ちょっと怖いというイメージがありますが...

齊藤さん:たしかにものすごく切れると思われているところはありますね。でも包丁のように鋭利なわけではなく、刃の端には髪の毛1本分くらいの厚みを残しています。だから、触っただけでスパッと切れてしまうようなことはないのでご安心ください。

 

爪切りのイメージといえばこれ。テコ式の〈ネイルクリッパー〉

齊藤さん:一般的な爪切りと同じ「テコ式」のクリッパータイプもご用意しています。

テコ式の〈ネイルクリッパー〉

諏訪田製作所(SUWADA)
左:ネイルクリッパー 5,940円(税込)
右:ネイルクリッパー ミニ 5,940円(税込)
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※こちらの商品は品薄のため、店舗によっては在庫切れの場合がございます。

―「SUWADAの爪切り=ニッパー」というイメージですが、このタイプもあるんですね。

齊藤さん:2020年に登場しました。爪切りといえば一般的にはこの形ですし、「ニッパーは怖い」という声が多いのも事実で。ニッパータイプだけをつくり続けたい気持ちはありましたが、「同様の切れ味のものがつくれるなら、クリッパータイプもありなのでは」ということで開発に至りました。

―諏訪田製作所ならではのポイントはどこにあるのでしょうか?

齊藤さん:刃の研ぎ直しができることです。一般的なクリッパータイプの爪切りは後ろの部分が溶接されているので刃を研ぐことが難しいのですが、分解できる仕様にすることで研ぎ直しができるようにしました。弊社のものづくりは「メンテナンスできること」も重視していますので、長く使っていただきたいという純粋な思いからですね。

諏訪田製作所ならではのポイント「刃の研ぎ直しができる」

―たしかに爪切りの刃を研ぐという発想自体がなかったかもしれません。

齊藤さん:弊社の爪切りは値段もそれなりにするものなので...長く使えるという観点はとても大事で。職人が丁寧に研ぎ直しすることで、新品のときのような切れ味が復活します。
※研ぎ直しは諏訪田製作所の職人が行います(有料)。お客様個人での分解や刃研ぎはお控えください。

―切れ味はニッパータイプと変わらないんですか?

齊藤さん:はい。溶接していないことが切れ味のよさにもつながっています。一般的な爪切りは溶接してから刃を再度研磨して仕上げるのですが、それだと刃を整えるのにも限界があって。でも溶接して固定しないことで、刃の裏側もしっかりと精密に研磨できるんです。

〈ネイルクリッパー〉は計算した刃合わせになっています

齊藤さん:ちなみに〈ネイルクリッパー〉はその構造上、刃と刃は"ドンピシャあわせ"ではなく、ほんの少しだけズラしています。そこも含めて計算した刃あわせになっているので、切れ味はニッパータイプと遜色ありません。

 

ニッパーとクリッパーの中間?新テイストの〈つめ切りプチ〉

齊藤さん:そしてこちらが2022年に発売されたモデルです。

諏訪田製作所(SUWADA) つめ切りプチ

諏訪田製作所(SUWADA) つめ切りプチ
ブラックレッドシルバーピンクゴールドゴールド) 各7,590円
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―ニッパーとクリッパーの中間といった感じですね...?

齊藤さん:形状はニッパーですが、使い方はクリッパーに近く。ただクリッパーよりも刃が開きます。完全に"あいのこ"ですね。2020年に〈ネイルクリッパー〉を発売したところ「使いやすい」という声をいただきましたが、やはり弊社のルーツ的にも"ドンピシャあわせ"のものがつくりたいという声が社内からあり。ニッパータイプをサイズダウンしながらクリッパータイプのような使い勝手が実現できないか、そして弊社の爪切りを女性のお客様や若い年齢層の方にももっと届けたい、という思いから開発されました。

バネにアクセントとなるカラーが入っています

―他の商品とは明らかに雰囲気が違います。

齊藤さん:弊社の商品は基本的にあまり色を使わないのですが、バネのところにアクセントとなる色を入れてかわいらしい印象にしました。
全体のデザインは木製の洗濯バサミをモチーフにしています。従来の商品と切れ味は変わらず、サイズ感やデザインの方向性をガラッと変えた感じですね。コンパクトなので携帯にも便利です。

―伝統のある会社なので、新たなテイストの商品開発には社内で反対意見などもあったのでは?

齊藤さん:弊社には現在45名ほどの職人が在籍していますが、技術を継承しながら徐々に世代交代をして、平均年齢は35〜6歳、しかもその半分以上が女性です。そういう背景もあり、新しいテイストへのチャレンジにも抵抗がなく、特に反対意見もありませんでした。時代にあわせた変化と進化ですね。

木製の洗濯バサミをモチーフにしたかわいいデザイン

 

爪切りは、こうつくられる。諏訪田製作所と職人のこだわりとは?

―爪切りづくりの工程を簡単にご説明いただけますか?

齊藤さん:基本的な手順はどのタイプでも同じです。今日はニッパータイプの材料を例として持ってきたので、そちらで流れを簡単にご説明しますね。

爪切りの元となる鋼の棒材

齊藤さん:まず、元となるのがこちらの鋼の棒材です。この棒材を炉に入れて1000℃以上の高温で熱します。

400トンもの力で叩いて鍛造

齊藤さん:熱した棒材を、部品の形の金型に入れて400トンもの力で叩いて鍛造します。鍛造した後の状態のものがこちらです。

ニッパーの片側の部分の原型が出てきます

齊藤さん:実際に使われるのは真ん中の部分だけなので、まわりの部分は打ち抜きます。すると、ニッパーの片側の部分の原型が出てきます。

この原型をベースに、研磨作業で仕上げます

齊藤さん:この原型をベースに、研磨をはじめ、穴を開けたり組みあわせたり、それぞれの専門の職人による約60の工程を経て、鍛造から仕上げまで約3ヶ月をかけて製造されます。

1本の爪切りができるまで

―最初の棒の状態から見ると、実際に使われる部分は少ないんですね。

齊藤さん:棒全体の約3割しかありません。残りは廃材になりますが、再利用して工場内の照明器具やドアの取っ手、オブジェをつくるなど、廃棄することなく活用しています。

工場内に飾られている、打ち抜かれた廃材を再利用したオブジェ
工場内に飾られている、打ち抜かれた廃材を再利用したオブジェ

ー全工程の中で特に重要なのはどの工程になりますか?

齊藤さん:どれも欠かせませんが...ひとつ挙げるなら最初の鍛造ですね。鍛造とはその字の通り、叩くことで金属を「鍛え」、強固な組織を「造る」こと。しっかり鍛えられた金属は組織が強くなり、刃を薄くしても欠けにくくなります。だから、すべてのベースとなるこの工程がとても重要なんです。
弊社はこの工程で400トンのパワーが出るプレス機を使っていますが、本来このサイズの商品であれば400トンは必要ありません。でも強さや品質にこだわって、しっかりとパワーが出る機械をあえて使っています。

最初の鍛造が重要なポイント

―職人さんの力も大きく影響するんですよね?

齊藤さん:決して機械任せではありません。強固な金属組織をつくるためには適した温度で叩くことが重要になるので、そこを見極める職人の経験や勘がものをいいます。外気温に応じて炉の温度を調整したり、素材の温度の下がり方にあわせて叩くスピードを調節したり。機械にはできない、職人ならではの技術です。

―では、最も手間のかかる工程というと?

齊藤さん:やはり、隙間のない"ドンピシャあわせ"にする工程ですね。この刃あわせに関わる磨きの工程を担当できるのは、ごくわずかな職人だけ。目視できない刃の裏側の部分を研磨するので、意外かもしれませんが経験よりもセンスや感覚がものをいう工程なんです。

磨きの工程を担当できるのは、ごくわずかな職人だけ

―そんな職人の技を外部の人も見られるよう、工場を公開しているそうですね。

齊藤さん:はい。弊社の商品を選んでいただくためには、どういう職人が、どういう環境で、どういう技術でつくっているのかを公開することがひとつの価値になるのではということで、2011年に工場を一新して「オープンファクトリー」を開設しました。興味のある方は、ぜひ一度新潟に足をお運びください!

オープンファクトリーの見学通路。製造の様子を目の前で見ることができます。

オープンファクトリーの見学通路。製造の様子を目の前で見ることができます。

「オープンファクトリー」の様子

 

長持ちさせる秘訣は?あくまでも"道具"なので使うことが大切!

―お手入れ方法など、長く使うためのアドバイスをいただけますか?

齊藤さん:汚れや汗などの水分があると錆の原因になるので、使った後は軽く拭いていただきたいですね。水分がついたままだったり、湿気の多いところに放置しておくのは避けてください。

―これはNGという使い方はありますか?

齊藤さん:やってしまいがちだと思いますが、プラモデルをつくるときに使ったり、ワイヤーを切ったり、爪以外のものを切るのはNGです。あくまでも「爪切り」ですから、切れ味がよいからといって爪以外のものを切ると刃が傷む原因になります。

長持ちさせる秘訣は?

齊藤さん:あとは、ずっとケースに入れたままにしていると動きが悪くなったり、錆がついたりしてしまうことがあるので、適度にご使用いただくことも大切です。日常の"道具"ですから、どんどん使ってもらってこそ価値があるので!

―値段が高いからといって、大事にしまっておいても意味がないと。

齊藤さん:そのとおり。あまり神経質にならず、普通の使い方で日常的に使っていただきたいですね。

―では最後に、お客様に向けてメッセージをお願いします!

齊藤さん:爪切りはあまりテンションの上がらない面倒な作業かもしれません。そんな作業を感動レベルの切れ味で楽しい作業に変えてしまおう、という意味を込めて、〈つめ切りプチ〉の発売時に「面倒から感動へ」というキャッチフレーズをつけました。これは弊社のすべての商品に当てはまる考え方です。
品質には絶対の自信がありますので、この機会に感動の切れ味をお試しいただければと思います!

爪切り作業を「面倒から感動へ」変えたい

 

おわりに

職人の技とこだわりがギュッと詰まったSUWADAの爪切り。「気になってはいたけれど、なかなか手が出なかった...」という人も、これをきっかけにぜひ。ギフトにもおすすめですよ!

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