家でも野菜をしっかり食べたいのに、「忙しい日は調理が面倒」「いつも全部使い切れずに捨ててしまう」と悩む方は少なくないはず。そこに価格高騰の拍車がかかると、ますます手を伸ばしづらい状況...となりそうです。
しかしここに、そんなモヤモヤを吹き飛ばす冷凍解決策あり!冷凍王子こと冷凍専門家の西川剛史さんに、面倒な仕込みが一切不要で、野菜をおいしく、ムダなく食べ切るための「冷凍貯金」テクニックを教えてもらいました。
「冷凍=おいしくなくなる」は間違い!味・栄養・節約にも◎
―冷凍専門家としてさまざまなメディアで活躍されている西川さん、もとい、冷凍王子。本日はよろしくお願いします。
冷凍王子:よろしくお願いします!
「冷凍OK!」と爽やかに登場する冷凍王子。忙しくて時間がない人でも健康的な食生活を叶えられるよう、あらゆる食材の冷凍法を発信中。
―「冷凍する」と聞くと、一定期間保存できても、おいしくなくなったり、栄養価が下がったり...というややマイナスのイメージがあります、正直。
冷凍王子:そういったお声はよく聞きますね。でも、冷凍と解凍のポイントをしっかり押さえれば、味よし、栄養価よし!な、よいことだらけの状態に仕上げられます。
―なんと!今まで、「とりあえず保存するための冷凍」でしたが、そんなことはなくなると。
冷凍王子:そうです。その上、パパっと解凍するだけでそのまま食べられる方法もあるんですよ。いつもの食卓に、手軽に1品、おかずやおつまみとして添えられます。
―手間なくスピーディーにつくれるのは重要ですね!
冷凍王子:おいしく、余すことなく食べられて、お金と時間を節約できる。すると日々、心にもゆとりが生まれるものです。そんな「冷凍貯金」の考え方を、今日から実践していきましょう!
コレだけは押さえよう!冷凍・解凍時の必須ポイント
―冷凍時は、どんなことに気をつけるべきでしょうか。
冷凍王子:まず、食材を買ってきたらすぐ冷凍。そして冷凍庫の中では、食材を空気に直接触れさせないようにしてください。
―その日に使わない食材は、またすぐに使うかも...という曖昧な判断で、まずは冷蔵庫で、そのまま保存していました...。
冷凍王子:野菜や肉、魚といった食材は、鮮度が高いうちに冷凍することで、おいしさや栄養価が損なわれにくくなるんです。ラップやフリーザーバッグ、コンテナーを活用して食材の乾燥を防ぎましょう。
冷凍王子:既製のカット食材は便利ですが、冷凍には向きません。冷凍分を加味した上で、セール日などにまるごとまとめて買っておきましょう。帰宅後は早速、その日に使うものと、使わないものに分けて冷凍します。今週はこれを、来週はこれを食べようという明確な自炊計画が立てられるので、効率的な「冷凍貯金」につながります。
―たしかに!では、解凍時に注意すべきことは何でしょう。
冷凍王子:「魔の温度帯」について知っていますか?
―初耳です。なんだか恐ろしそうです。
冷凍王子:「魔の温度帯」は二つあります。一つは、食材の水分が大きな氷の粒となって細胞を壊す「−5℃〜−1℃」。もう一つは、酸素反応が起こりやすく、食材の色や栄養素、おいしさを奪い、細菌の繁殖を促す常温の「10℃〜40℃」です。これらの魔の温度帯になるべく停滞しないようスピーディーに解凍する、または高温で一気に加熱解凍すれば、食材へのダメージを最小限に抑えられます。
―こう見ると、解凍にもいろんな方法があるんですね。ちなみに、冷凍するとどのくらい保存できますか?食材や解凍法によるのでしょうか。
冷凍王子:食材や冷凍・解凍法が違っても、基本的には1ヶ月以内が目安です。ただし、野菜や肉、魚のおいしさは鮮度に左右されるので、2〜3週間以内に食べ切ることをおすすめします。
―冷凍しても日が経つと、「これっていつ冷凍したっけ...」と、つい忘れがちになります。気をつけなくては...。
冷凍王子:1ヶ月に1度、冷凍庫の中を整理整頓することも大事ですよ。フリーザーバッグやコンテナーに冷凍日を記して食材を見える化したり、定位置化したりして、「どれから使うべきか」が一目で分かるようにしておきましょう。減ったら増やしてストックして...の流れが自然とできあがり、「冷凍貯金」をルーティーン化しやすくなります。
【きゅうり編】まるごと冷凍&冷凍きゅうりの塩昆布あえ
ここからは実践へ!まずはいろんな料理のつけ合わせに役立つきゅうりからスタートです。
きゅうりはまるごと冷凍OK!ラップをピタッと密着させ、空気に触れないようにピシッと包みます。
包んだ後はそのままフリーザーバッグへ。バッグ内の空気もしっかり抜き、徹底的な乾燥対策を講じます。
きゅうりをまるごと冷凍すると水分が抜けて、ふにゃっとした食感に変わりますが、味が染み込みやすい状態に。水を流しながら解凍する「流水解凍」でスピーディーに解凍し、水気をぎゅっとしぼってから、酢の物やピクルス、炒め物として楽しむのがおすすめです。
カンタン+1品レシピをご紹介 【冷凍きゅうりの塩昆布あえ】
〈材料/1人分〉
●きゅうり(5mm幅の輪切り)・・・200g(2本)
●塩昆布・・・10g
●ごま油・・・小さじ1
旭化成ホームプロダクツ ジップロック コンテナー 長方形480mL 2個入 396円(税込)
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きゅうりと塩昆布をコンテナーに入れ、ごま油を加えます。
この状態でフタをし、冷凍庫で保存。解凍時はフタを斜めにのせ、電子レンジ(600W)で3分加熱します。加熱後によくかき混ぜると...
まるで漬けたようにポリッと軽い食感のあえものが完成。塩昆布とごま油の風味が食欲をそそり、お酒のおともにもぴったりです!
コンテナーで保存することで、解凍が電子レンジで簡単、冷凍状態からすぐに使えるのが便利です!
【にんじん編】カット冷凍&冷凍キャロットラペ
サラダにも煮込み料理にも重宝するにんじん。分厚くカットして冷凍すると食感が悪くなりがちなので、薄く、小さめに切るのがおすすめです。
切ったらそのままフリーザーバッグへ。空気を抜く時はバッグ全体を薄く、なるべく平らになるように広げましょう。冷凍・解凍ムラを防げます。
スープや炒め物なら、冷凍した状態のまま入れられるので便利ですよ。
カンタン+1品レシピをご紹介【冷凍キャロットラペ】
〈材料/2人分〉
●にんじん・・・200g
●塩・・・小さじ1
●オリーブオイル・・・大さじ2
●レモン汁(できればストレート果汁)・・・大さじ2
●パセリ・・・適量
ベンリナー 万能野菜調理器ベンリナー 3,439円(税込)
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まず、皮を剥いたにんじんを6mm程度の細切りにします。スライサーがあるとよりスピーディー&楽ちんに仕上げられますよ。
細切りにしたにんじんをボウルに入れて塩でもみ、オリーブオイルとレモン汁を加えて混ぜ合わせます。
フリーザーバッグに調味液ごと入れ、空気を抜きながら薄く平らにならして冷凍。解凍時はボウルに水をはり、フリーザーバッグごと入れて流水解凍します。解凍したら水気を切ってパセリをのせて...
シャキシャキ食感のキャロットラペのできあがり!にんじんのほのかな甘みと調味液の酸味がベストマッチで、肉や魚料理のつけ合わせにも使えます。
にんじんを塩もみすることで食感を守り、調味液で酸化・乾燥を対策。フレッシュな味わいですよ!
【小松菜編】ブランチング冷凍&だしで解凍する冷凍おひたし
野菜のなかでも使い勝手のよい小松菜。冷凍前に塩を加えたお湯でブランチング(軽く下ゆで)しておくと、小松菜本来の甘みをキープできるんです。うまみが流出しないよう、水気は軽くしぼる程度でOK!
フリーザーバッグに入れたら、空気をしっかり抜きます。なるべく薄く平らに、まんべんなく広げましょう。にんじんと同じく、冷凍した状態でそのままスープや炒め物に入れられますよ。
カンタン+1品レシピをご紹介【だしで解凍する冷凍おひたし】
〈材料/2人分〉
●冷凍小松菜・・・100g
●めんつゆ(ストレート)・・・100cc
●かつお節・・・適量
小松菜の葉と茎を4cmの長さにざく切りして混ぜ、フリーザーバッグで冷凍します。空気をしっかり抜くこともお忘れなく!(写真は冷凍後)
冷凍した小松菜をフリーザーバッグの底部分に集めたら、めんつゆをそのまま入れます。その後、フリーザーバッグの空気を抜き、小松菜をめんつゆにしっかりと浸らせましょう。常温であれば10〜20分ほどで解凍できます。その後は軽く水気を切り、かつお節をのせて...
だしがたっぷり染み込んだおひたしの完成です。解凍と味つけが同時にできるので、時短調理としても超優秀!子どもでも挑戦しやすい手軽さも◎です。
冷凍することで小松菜の繊維が崩れるので、まるで火を通したようにやわらかな食感になります!
【番外編】うまみ成分がアップ!冷凍きのこの炊き込みご飯
「冷凍食材で主食もつくりたい!」という方へ。冷凍するだけでうまみ成分「グアニル酸」がアップする、きのこを使ったレシピをご紹介します。
〈材料/2人分〉
●えのき・・・60g
●しめじ・・・60g
●まいたけ・・・60g
※しいたけやひらたけなどでもOK
●米・・・2合
●水・・・規定の量
★しょうゆ・・・大さじ2
★みりん・・・小さじ1
★酒・・・大さじ1
★かつおぶし・・・10g
きのこの石づきをとって一口サイズの大きさに裂き、フリーザーバッグに入れて空気を抜き、冷凍しておきます。
米を洗って規定量の水を入れ、★を加えて混ぜ合わせた後、冷凍したきのこを入れ、30分ほど水分を吸収させます。そして炊飯すると...
いろんなきのこの食感が楽しめる炊き込みご飯のできあがりです。うまみ成分が増えるので、おいしさが口の中いっぱいに広がりますよ。ぜひ、レギュラー献立の仲間に加えてみてください。
冷凍きのこは水から煮込むと一層おいしくなるので、味噌汁にもおすすめです!
おわりに
冷凍は食材を保存するだけの選択肢にあらず。おいしく、手間なく、健康的で豊かな食生活を実現するための「冷凍貯金」を、今日からコツコツ始めましょう!
監修者
西川剛史(にしかわ たかし)
ベフロティ株式会社 代表取締役
冷凍生活アドバイザー
冷凍食品開発コンサルタント ほか
高校生の頃に冷凍食品に関心を抱き、冷凍食品会社に就職。独立後は資格講座の開講や冷凍食品の商品開発支援などに精力的に取り組み、冷凍を切り口とした新しい活動や事業を行っている。
著書に『冷凍王子の冷凍大全』(サンマーク出版)ほか。
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