【連載vol.7】定番モノは文具沼への入り口 〜ぺんてるさんとお手製年賀状を渡しあってきた編〜

この連載は、文具沼にハマった事務用品バイヤーの大瀬が、あなたを深い深い文具沼へと誘(いざな)う物語。
2019年最後の記事となる今回のテーマは、"年賀状"。大瀬バイヤー曰く、「年賀状といえば筆ペン。筆ペンといえばぺんてる」ということで、〈ぺんてる〉さんに筆ペンを使って年賀状を上手に楽しく書くコツなどを聞いてきました!

字の「上手い・下手」から解放してくれる〈ぺんてる筆〉の魅力

―こんにちは。今回は、大瀬さん曰く「年賀状といえば筆ペン」ということで〈ぺんてる〉さんにやってきましたが、大瀬さんは年賀状は筆ペンで書いているのですか?

大瀬:書いてないです。100%印刷派です。

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全身でPを表現する大瀬バイヤー。〈ぺんてる〉さんのPか印刷(プリント)派のPかは謎。

―書いてないとか普通に言っちゃうんですね。どうして書かないんですか?

大瀬:私の字が下手だからです。いつもお世話になっている方へお届けする大切な年賀状なのに、そこへお粗末な私の字が並んでいたらきっと心が曇るはず。なので、基本的には手書き派ではありませんし、書くとしても何年も使っていて書き慣れた万年筆で一言足らずを添える程度です。

―なるほど、大瀬さんのように自分の字に自信がないから手書きにしない方も多いかもしれませんね。なら、〈ぺんてる〉さんに年賀状を上手に書くコツがあれば教えていただきましょうよ。

大瀬:奥義の伝授...私にその器があるのかどうか...。

??:お話、聞かせていただきましたよ!

―あ、〈ぺんてる〉さん!こんにちは、本日はよろしくお願いします!って、いつの間に聞いていらっしゃったんですか!?

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ぺんてる株式会社 マーケティング部
左:萩原さん 右:田中さん

田中さん:「自分の字に自信がない」という大瀬さんのお悩み、わかります。ですが、今回取り上げていただく「筆ペン」こそが、そのお悩みを解決する有効な手段なんですよ!

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ぺんてる ぺんてる筆 中字 500円+税

―そうなんですか!?

田中さん:筆ペン、弊社のアイテムでいうと〈ぺんてる筆〉の一番の魅力、それは文字にいい具合の味が生まれることなんです。
言い換えれば、筆ペンを使うことでその人の個性が強調されるんですね。いかにも達筆に書くのも個性ですし、大瀬さんのような字もまた一つの個性となる。なので、字が綺麗かどうかを気にせず、好きなように書けるのが筆ペンのよいところだと思うんです。

大瀬:これが私の、個性...!お恥ずかしながら、〈ぺんてる筆〉という素晴らしいものがあるにもかかわらず、字が汚いという小さな悩みに囚われ、〈ぺんてる筆〉の魅力に正面から向き合っていませんでした...。が、また一つ、自分一人ではたどり着けない境地に達せたような気がします。ありがとうございます。

田中さん:ただ商品紹介をしただけなのにそこまで言ってくださって、なんか逆にありがとうございます(笑)。

―ちなみに、〈ぺんてる筆〉が生まれたのはいつ頃なのですか?

田中さん:発売したのは1976年なので、もう40年以上、多くのお客様にご愛用いただいています。もともと弊社は筆やすずりなどの書道用品の販売事業から始まったので、筆の書き心地へのこだわりは当初から強かったんですね。
できる限り筆と同じ書き味になるよう、独自の加工技術を駆使してナイロン毛でも獣毛と同等以上の品質になるように工夫を凝らし、満を持して誕生しました。なので、もちろん常に品質改良はしていますが、基本的な書き味についてはずっと変わらずにやってきています。

萩原さん:〈ぺんてる筆〉はカラー展開をしているのも特徴で、1978年には〈カラーブラッシュ〉という名前で海外展開をしています。その後、2012年にリニューアルして〈アートブラッシュ〉となり、日本国内でも販売されるようになりました。

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ぺんてる アートブラッシュ
単品 各500円+税
18色セット 9,000円+税 ※セットは一部大型店のみの取り扱いです。

―こんなにたくさんのカラーがあるんですね!知らなかった!

萩原さん:使い方にも色々あって、例えば水でちょっと薄めて使うこともできますし、あるいはこうやって薄い色の筆の穂先に、濃い色の穂先をつけると、お好みのグラデーションを楽しむこともできるので、表現できる幅はとても広いと思います!

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青とピンクを組み合わせることで、書き始めた時の青色がだんだんピンクに変化しています。

―か、かわいい!表現できる幅が広いということは、文字を書くだけではなく、例えば絵を描いたりもできそうですね!

萩原さん:おっしゃる通りです!従来は筆ペン=年賀状のイメージだけだったと思うのですが、近年はイラストやデコレーションに活用する方がとても増えているんですよ。

大瀬:例えばこういった具合でしょうか?

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萩原さん:さ、逆さ富士...!?

―〈ぺんてる筆〉の力も相まっていかにも画伯が描いたっぽい味が出ている...!

萩原さん:しかも年賀状にふさわしいゴージャスな金・銀色の筆ペン、〈ぺんてる筆 金の穂/銀の穂〉もさりげなく使っていただいている...!

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ぺんてる ぺんてる筆 金の穂/銀の穂 各500円+税

―まさか絵画への嗜みがあるんですか...!?

大瀬:ふふっふっふ...。

田中さん:回答はしないんですね(笑)。

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〈エナージェル インフリー〉の品質に、細部へ宿る神を垣間見る大瀬バイヤー

―いやあ、年賀状を書く(描く)のが楽しみになるお話ですね!って、大瀬さんの手元にあるのはなんですか...?

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※大瀬の私物。 
サンビー株式会社 パペッタ 印鑑ケース たなかさんちのねこ 1,480円+税 をペン置きとして使っています。

大瀬:〈エナージェル インフリー〉という〈ぺんてる〉さんがおつくりになられたボールペンで、個人的にいつも使わせていただいております。

田中さん:ああそうですか!それは嬉しいです!〈エナージェル〉シリーズの中でもこちらの〈インフリー〉は、中のインクが見えるようになっているシンプルなクリアボディが特徴で、5色のカラー展開から自分の好きなものを直感的にお選びいただけるようになっています。

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ぺんてる エナージェル インフリー 各200円+税

―わあ、綺麗!色がとても鮮やかに見えます!

田中さん:〈インフリー〉シリーズのキャッチコピーが、「アイデアが加速する。」なのですが、このメッセージに基づき、インスピレーションが湧いたり、何かをつくるモチベーションが高まったりするようなペンを目指し開発したんですね。
なので見た目にもこだわっていて、クリアボディもそうですが、あとはインクが入っている替え芯の軸そのものにも色を付けているんです。青のインクなら青の軸にするといった具合ですね。

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―なるほど!だからより鮮やかに見えるんですね!「ターコイズブルー」とか「ブルーブラック」とか、色のチョイスも面白いので、ぜひ全色揃えたいです!

田中さん:ありがとうございます!ところで大瀬さん、先ほどご紹介いただいた大瀬さんの私用〈エナージェル〉をもう一度見せていただけませんか?

大瀬:...どうぞ。(スッ)

―.........あれ!?なんですかこれは!?

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大瀬:替え芯の部分に寺西化学工業さんの〈マジックインキ〉柄のマスキングテープを貼っております。

―なんというか度胸がすごいな! 〈ぺんてる〉さんすみません、この鮮やかな色合いが魅力なのに...。

田中さん:いえいえ、大瀬さんがやっていらっしゃるような「アレンジ」要素も、実はこのシリーズのウリの一つなんです。自分の好きなデザインにして愛着が増すことがアイデアが加速するきっかけになるかもしれないので、大瀬さんのそのアレンジは大歓迎ですよ!それに、あの〈マジックインキ〉とコラボできるなんて年末にふさわしいゴージャスっぷりですよね、ありがたいです!

―やさしすぎる...ありがとうございます...!ちなみに大瀬さんはいちユーザーとしてどこがお気に入りポイントなんですか?

大瀬:クリップ部分が金属素材なのがよいです。私の使い方が悪いのかもしれないですけれど、クリップがプラスチックのものは使っていると高確率で折れちゃうんですよ。その点金属なら頑丈ですし、ポケットなどにも挿しやすい。見た目も洗練されている感じがして好きですね。書き味に関しては、0.4ミリと0.5ミリだけで展開しているニードルタイプのペン先がポイント高いです。

―ニードルタイプ?

大瀬:ボールペンのペン先は大きく2種類に分けられて、針のような形をしているニードルタイプと、小さな円柱状になっている砲弾タイプがあるんです。どっちがよい悪いということではないのですが、個人的な感想ですと、ニードルタイプの方がより先端がシュッとなっているので、自分で書いている文字が見やすいんですよ。

あと、ニードルタイプでは、書いていると紙を削ってしまい、ペン先にその紙が詰まって書けなくなってしまう、いわゆる「紙詰まり」が起きがちなのですが、〈エナージェル インフリー〉はそれも全然なくて書き心地もとてもなめらかなので、アイデアやメモなどをどこにでもガシガシ書く時に重宝しています。

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左が砲弾タイプで、右がニードルタイプ。

田中さん:〈エナージェル〉シリーズはインクが大きな特徴で、なめらかな書き心地と、濃くてはっきりとした筆跡、あとは速乾性の3要素を高レベルで実現していると自負しています。なので書き心地にご満足いただけているようで本当に嬉しいです!

ちなみに、同じ色のインクでも実はペン先の太さによって配合を若干変えていて、どのペン先でも同じ書き心地を実現するために細かいところまでじっくり突き詰めているんですよ。

大瀬:神は細部に宿ると言いますが、お話を聞いていてまさにそうだと感じます。インクへのこだわりも天晴れ(あっぱれ)ですし、あと個人的にはノックする時の感触も心地よくて。
ペンで書くという行為に含まれる一つひとつの細かな要素に対して真摯に向き合っておられるのだなあと感服いたしました。これからも〈エナージェル インフリー〉を使い続けたいと思います。

田中さん:そこまでおっしゃっていただいて本当に嬉しいです...!〈エナージェル〉シリーズは2020年で20周年を迎えますが、これからも大瀬さんに満足いただけるように頑張っていきたいと思います!

一人ひとりのクリエーションを支える〈ぺんてる〉のペン

―〈ぺんてる筆〉、〈エナージェル インフリー〉ときましたが、〈ぺんてる〉さんといえばやはり〈サインペン〉に触れない訳にはいかないですよね!

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ぺんてる サインペン 各100円+税

大瀬:学生時代によく使っていた記憶がありますが、生まれたのはいつなのですか?

田中さん:1963年ですね。販売当初のデザインはこのような感じです!

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―当初はベージュのデザインがあったんですね!渋くて格好いい!

田中さん:先ほどお話ししたように、弊社は書道用品の販売事業から始まったので、ずっと前から〈ぺんてる筆〉のような、筆をもっと気軽に多くの方々に使ってもらえるような商品をつくりたいと思っていたんですよ。ただ、なかなかその開発に時間がかかってしまいまして。
ただ、それでもできる限り筆のような書き心地にできないかということで具現化したのが〈サインペン〉だったんです。なのでここからは若干の憶測も入っているかもしれないですが、このベージュのデザインは筆の持ち手の竹をイメージしてつくられたと社内で聞いたことがあります。

大瀬:なるほど。書き心地は当初から今までで変わっているのですか?

田中さん:ボディのデザインはやや変わっているのですが、書き心地は変えていません。今では〈サインペン〉という名前が弊社のいち商品名という枠組みを超えて、もはやペンのカテゴリ名の一つとして認識いただくほどになっていますので、サインペンの先駆けとして書き心地はこれからも変えるつもりはありませんね。

大瀬:筆のような書き心地を目指して1963年に〈サインペン〉が生まれ、その13年後の1976年に念願の〈ぺんてる筆〉が登場と。ふむ...なんとも感慨深いですな...。

萩原さん:ちなみに今では〈サインペン〉と〈ぺんてる筆〉のいいとこどりをしたようなイメージのペン、その名も〈筆文字サインペン〉も登場しています。

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ぺんてる 筆文字サインペン 顔料インキ 各150円+税

―筆文字...サインペン...!いいとこどり感がとても伝わってきます...!

萩原さん:〈ぺんてる筆〉は誰でも気軽に筆の書き心地を楽しめるように生まれたものですが、中にはよりライトに、もっと気軽に筆を楽しみたいというお客様もいらっしゃいます。そこで〈サインペン〉のようにサラサラ書けて、〈ぺんてる筆〉のようにメリハリのある文字に仕上げることができるこのペンが生まれました。

大瀬:確かにより書きやすい...!これなら、私のように筆ペンにあまり慣れていない方でも安心して筆文字を楽しめますね。
本日はさまざまなペンについてご紹介いただきましたが、お話を聞いていて「書くこと」そのものが楽しくなってくるような感覚がありました。〈エナージェル インフリー〉のキャッチコピーが「アイデアが加速する。」だとお伺いしましたが、それ以外のペンでもよい発想が膨らみそうな気がしました。

田中さん:書くことで生まれる芸術文化を後押ししたいという創業者の考えが基にあるので、アイデアや表現などといったクリエーションの部分を支える要素が〈ぺんてる〉のペンには多分に含まれているのかもしれません。どのペンも色展開が豊富だったりするのもこういったポリシーがあってのことですからね。

なので、先ほど大瀬さんが〈ぺんてる筆〉や〈アートブラッシュ〉を使って逆さ富士をお描きになったのもとても嬉しかったです。まさにそういった、何かを生み出す瞬間に我々〈ぺんてる〉もぜひ一緒にいたいと思っているので...!

―なるほど...!ではせっかくなので、大瀬さんと田中さん、萩原さん皆でオリジナル年賀状をつくって交換しましょうよ!

田中さん:よいですね!やりましょう!

萩原さん:楽しそう!

大瀬:むぅん!腕が鳴る...!

―大瀬さんだけなんかテンション違うな(笑)。

(10分後)

―皆さん完成したようですね!では、ぜひ見せてください!

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できあがった後はお互いの年賀状を渡し合いました。

―どれも個性的で素晴らしい!あと大瀬さんは富士山にどれだけこだわりがあるんですか(笑)。

大瀬:一富士二鷹三茄子。

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萩原さん:ほんとだ、書いてありますね。

大瀬:お二人の2020年のご武運を願いまして。

田中さん:ありがたいですけどなんで武運なんですか(笑)。

おわりに

ハンズ歴29年の大ベテラン、大瀬が、定番の事務用品を始め、様々な文具の魅力に迫る連載記事。2019年最後となる第七回は、〈ぺんてる〉さんと一緒にオリジナルの年賀状をつくりました!そしてこの連載記事をご覧いただいている皆様、2019年は誠にありがとうございました!2020年も文具沼の奥深さをお伝えしていきますので、どうぞよろしくお願いします!

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